トロント発ワルシャワ行きのLOTポーランド航空の米ボーイング(BA)787ドリームライナーが29日、航空機識
別送信システムの不具合のため、ノルウェーの空域通過を拒否され、アイスランドに着陸した。ボーイングの広
報担当者が明らかにした。
ドリームライナーはこのシステムが不具合でも飛行することもできるが、特定の空域を通過するには航空管制
当局の事前承認が必要になる。このシステムが機能していなかったため、同機は方向を変えレイキャビク近郊の
ケプラヴィーク国際空港に着陸した。
ボーイングの広報担当者は「問題を解決して再びドリームライナーを航路に就かせるために」29日中に交換部
品とLOTの担当者を乗せた航空機がアイスランドに向かったと発表した。「当社は要請があれば助ける準備はで
きている」と述べた。
国有のLOTポーランド航空は乗客を輸送するため旅客機2機を送り込んだ。同社は787型機を5機保有している。
さらに老朽化した長距離用旅客機8機を787型機に買い換えることを計画中。
今回不具合が起きた航空機識別送信システムは、航空機用救命無線機(ELT)とは異なる。ELTは墜落時にしか
作動しない。7月にロンドンのヒースロー空港で駐機していた787型機で火事が発生したが、調査当局はELTの不
具合が事故につながったとみている。
LOTは今月に入り、787型機2機にエンジンオイルのろ過器が搭載されていないことに気付き、すぐに運航を停
止したり延期したりした。今年前半に世界中の787型機が運航停止に追い込まれたことに伴う損害賠償金3000万
ドルに加え、この事故で発生したコストも併せてボーイングに請求する構えだ。
これとは別に先週、ノルウェー・エアシャトルが保有する787型機の1機に技術上の問題が見つかり、バンコク
で運航停止となった。787型機の信頼を傷つける出来事が相次いでいる。ノルウェー・エアシャトルは、このよ
うな事態は受け入れがたいと述べ、ボーイングは「各航空会社がドリームライナーを初めて運航する際には確実
に適切な支援をするよう努めている」と説明した。
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