2015年8月のブログ記事一覧-ringoのつぶやき

コモディティー・アイ～金・原油レシオが示す不気味なサイン

2015年08月31日 14時16分03秒 | 株

世界の株式市場で株価が神経質な展開になるなど世界景気の不透明感が増している。中国を始めとした新興国経済の先行きへの不安は根強く、しばらく警戒を要しそうだ。商品市場のある指標に目を配ると、不気味なサインも点灯している。
　金の価格を原油の価格で割った「金・原油レシオ」は、１トロイオンスの金を買うのにいくら原油が必要かを示し、一部の商品市場関係者で注目される指標だ。単純に商品市場で注目度が高い２つの品目を比べただけ、という印象はある。ただ、景気の後退局面で買われやすい金と、景気と値動きが正の相関を示す原油の値動きを比べることで何らかの景気動向を把握できるとの主張は根強い。
　実は、この金・原油レシオが現在、歴史的な高水準にある。27日時点の金・原油レシオは26.3倍（金１トロイオンス1122.6÷原油１バレル42・56＝26・３）。24日には30倍の大台を突破し、今年の最高値を更新した。やや水準を下げてきたものの、依然として高水準にある。過去には金・原油レシオは平均で16倍程度で推移していた。
　金・原油レシオが高水準となった背景には、昨年からの原油の急落が影響している。米シェールオイルの増産や、中東産油国の増産を背景に現在、原油は６年半ぶりの安値圏にある。単純に原油が急落しているだけなら、あまり気にする必要はないかもしれない。だが、金・原油レシオは８月に入り、金が買われ、原油がさらに下がる形で上昇した。
　エモリキャピタルマネジメント代表取締役の江守哲氏は金・原油レシオに注目する一人だ。「金・原油レシオの１月の上昇は原油が急落した要素が強い印象だが、８月以降の上昇は明かにリスク回避の上昇だ。景気後退的な要素を感じる」と指摘する。
　過去に金・原油レシオが25倍程度に上昇したのは、今年の年初のほか、2011年の欧州債務危機、2008年～09年のリーマン・ショック、そして1998年のアジア通貨危機だ。市場では現在の景気減速懸念を新興国通貨安と関連して、「アジア通貨危機の再来で金融危機に波及するのではないか」（エコノミスト）と懸念する向きもある。
　もちろん金・原油レシオは80年代には景気動向というよりも、原油価格の要因で高騰した局面もみられた。ただ、過去にこの指標の上昇時には、グローバルな経済危機と重なった場合が多いのは事実。不気味さは増すばかりだ。（山本修平）

夏の嵐の過ぎた後　変わる株式市場の景色　

2015年08月31日 13時17分57秒 | その他

世界の株式市場を襲った夏の嵐は過ぎ去った。だが、嵐が去った後の市場の光景は、以前と同じには見えない。世界の株価暴落が改めて教えてくれたのは、中国景気の大変調ぶりと、政府の経済をコントロールする力への懐疑。そして米国の利上げを前に、市場が長く続いた金融緩和時代の終わりに強い恐れを抱いていることだ。市場参加者はファンダメンタルズの総点検と、相場シナリオの練り直しを求められている。

■戻り相場をけん引した主役

　公的マネーの下値拾いとヘッジファンドの買い戻し、そして逆張り個人によるレバレッジ型ＥＴＦ（指数連動型上場投資信託）の買い――。前週半ばからの、急な相場の戻りをリードした３人の主役たちだ。

　市場関係者によると、公的年金は前週初めから積極的に急落相場に買い向かったもよう。ゆうちょ銀行、かんぽ生命なども右にならえで買い出動したようで、市場では「官邸筋から連絡があったらしい」などと、もっともらしいうわさが飛び交っていた。

　それ以上に市場の注目を浴びていたのが個人のレバレッジ型ＥＴＦ買いだ。基準価格の変動率が連動する指数の前日の変化率の２倍になるという投機商品で、投資家がこのＥＴＦを買うと運用会社はレバレッジをかけるため先物を買う。その大量の先物買いが裁定取引に伴う現物株買いを誘発し、日経平均の戻りに弾みをつけた。

日経平均株価は１万9000円台に戻したが、すんなり２万円台を回復するかどうか……（東京・八重洲）

　「個別銘柄を選ぶ手間は面倒」「通常の指数連動型ＥＴＦでは物足りない」という投機的な個人が買い手。日経平均レバレッジ上場投信（ＮＥＸＴＦＵＮＤＳ）の売買代金は東証１部で連日トップとなり、週末の28日も２位のトヨタの２倍以上だった。大波乱の市場はまさに鉄火場だ。

　日経平均株価は８月17日の直近高値（２万0620円）から25日の安値（１万7806円）まで2800円強下落、その後の３日間で約1330円戻し、１万9000円台を回復した。「テクニカル分析では日経平均の上昇トレンドの継続が確認できた。年末２万2000円を目指す」（ＳＭＢＣ日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリスト）という見方もある。では、このまますんなり２万円台を回復しそうかというと、そうたやすくはなさそうだ。

■景気・業績見通しの前提が変わった

　まず、いつもながらではあるが、誰が上値を買うかという問題。戻りをリードした公的年金や個人はあくまで逆張り投資が基本で、相場が上がれば買いの手を引っ込める。頼みの海外投資家は、今回の世界的な株価暴落でグローバル投資家もヘッジファンドも大きな痛手を負い、しばらくは動きが鈍りそう。三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「２万円台の回復を買う投資主体は見当たらない」という。

　景気と企業業績の見通しも再点検が求められている。田辺経済研究所の田辺孝則代表は「ＰＥＲ（株価収益率）が15倍だから割安感が出た、などというのは過去をベースにした話。今回の株価暴落で前提が変わったと考えるべきだ」と主張する。

国内景気は賃金の増加がじわりと消費の拡大につながり、回復の足取りはいずれ確かなものなる、というのがこれまでの見方。だが、家計の消費支出は消費税率の引き上げがあった昨年比で、６、７月と減少し続けている。「天候要因だけでは説明できず、４月以降の食品値上げなどで家計が一段と節約志向を強めている」（藤戸氏）。さらに足を引っ張りそうなのが、株安によるマイナスの資産効果。ＵＢＳ証券が28日に出したリポートによると、日経平均の10％の下落は個人消費を0.17ポイント押し下げるという。

　中国経済への懸念も強まっている。今回の世界株安の一つのきっかけになったのが、21日発表の中国製造業ＰＭＩ（財新版）が47.1と、市場関係者が腰を抜かすほどの弱さだったこと。一方、中国政府は株価の暴落に対し、売りを止め、買い支えるなど力ずくの対応を繰り返すだけ。過剰設備を抱えて大規模な財政出動は打ち出せず、国有企業改革など経済の構造転換にも後ろ向きな姿があらわになった。

　メリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミストは「中国は政治的に大きな経済の落ち込みは許されず、ソフトランディングを目指すしかない。それは調整がかなり長期化することを意味する」と指摘する。世界はかなりの期間、中国景気の停滞に付き合わざるを得ないかもしれない。

■米利上げの影におびえる市場

　上場企業の今期業績は会社予想ベースの11％の経常増益に対し、アナリスト予想のコンセンサスは19％増と、大きな開きがある。円安や消費の回復、輸出数量の増加などを理由に大幅な上方修正があると、市場は期待しているからだ。だが、中国景気の想定以上の落ち込みや資源価格の下落などで、素材や機械、商社などには業績下振れの圧力が強まっている。内需関連も消費の回復がこのまま鈍ければ、値上げもままならず、上方修正の期待は薄れていく可能性がある。

　藤戸氏は「保守的な会社予想の業績とリーマン危機後の平均ＰＥＲである14.1倍を基に導かれる日経平均は１万9000円。すでに株価は適正水準にあり、ここから上値は重くならざるを得ない」と主張する。

　今回の株価暴落でもう一つ思い知ったのは、世界中の投資家が近づく米国の利上げに、いかにおびえていたかということだ。中国景気が弱いからといって、米ダウ工業株30種平均が短期間に2000ドル近く下げるのは尋常とは思えない。「相場の急落に理由を求めるのはナンセンス。株価が高すぎたから下げたのであって、行き過ぎた相場はいつもこんなもの」。田辺氏はそう話す。

　その行き過ぎた相場をもたらしたのは、日米欧の未曽有の金融緩和が生み出した世界の過剰流動性だった。そして米国の利上げをきっかけに、今度は未曽有の金融緩和の巻き戻しという、これまた未知の世界に株式市場は直面する。しばらくの間、世界の株式相場は神経質な展開にならざるを得なそうだ。

株、波乱含みの秋　海外投資家がこぞって来日　日本株への関心続く

2015年08月31日 13時14分30秒 | 株

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2015/08/31 13:09 日経速報ニュース 1093文字

　31日午前の東京株式市場で日経平均株価は200円安と大幅反落した。日経平均は28日までの３営業日で1300円余り上昇。25日までの下げの半値戻しの水準（１万9213円）に急接近していただけに、きょうは短期的な達成感から、ヘッジファンドなどによる買い戻しが一巡。戻り待ちの売りや、自律反発を狙って買いを入れていた短期筋の利益確定売りが相場の頭を押さえた。

　世界的に株価が乱高下した直後とあって、市場では、神経質な地合いがしばらく続くとの見方が多い。中国の経済指標の悪化や、米国の早期利上げ観測の再浮上などをきっかけに「日本株は二番底を付けに行く公算が大きい」（みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト）。もっとも市場は弱気一辺倒ではない。「中国の景気減速などといった悪材料は、ある程度織り込みが進んだ」（東海東京証券の太井正人グループリーダー）との雰囲気が出始めているといい、「時間はかかるが、日経平均は再度２万円台を回復する」（Ｔ＆Ｄアセットマネジメントの温泉裕一チーフ・ストラテジスト）との声も聞かれる。

　クレディ・スイス証券のバジル・ダン株式営業本部長は「前週から、売られすぎたハイテク株など景気敏感株などに中長期の投資家が買いを入れている」と明かす。円相場上昇の動きが一服したことが支援材料で、割安感が出た銘柄を拾う動きが水面下で続いているのは間違いない。

　海外勢の日本株に対する関心は依然高い。みずほ証券は９月７～11日、都内のホテルで機関投資家向けに日本株セミナーを開く。９回目となる今年、海外投資家は過去最多となる約620名が参加を予定している。前年の参加者を４割近く上回る。株価は直近で急落したが、出席のキャンセルが出るよりむしろ、企業とのミーティングの場をもっと設けて欲しいという問い合わせが多いという。「日本企業の収益力回復や企業統治に対する取り組みを聞きたいという投資家が増えている」（コーポレートアクセス部）といい、マクロ環境に左右されない日本企業の実力を見極めようする姿勢が強い。

　メリルリンチ日本証券も同日程で海外投資家向けに日本株セミナーを都内で開催する。事前登録人数は500人弱と、前年から60％程増え、過去最高だった2013年（500人強）に次ぐ水準という。

　中国株の動向や米利上げ時期を巡る思惑など、外部要因の不透明感は払拭できておらず、当面はボラティリティー（変動率）の高い状況が続く公算が大きい。それでも、水面下で続く機関投資家の銘柄選別の動きが、日本株の先高期待が消えていない証左といえそうだ。〔日経ＱＵＩＣＫニュース（ＮＱＮ）　椎名遥香〕

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