ECB(欧州中銀)のバランスシートが過去最大の3兆ユーロ規模に拡大した。
外為市場の日足テクニカルによると、ユーロ/ドルの一目均衡表チャートでは20日前後に変化日を示す「雲のネジレ」が観測されている。
現在のところ雲のネジレの水準は、1.3055-1.3075ドル前後に位置している。これから20日にかけては、雲のネジレとの乖離を修正するユーロの続落リスクが消えていない。
最終的に20日にけて雲のネジレを上抜け通過していけば、ユーロが再上昇へ。反対に雲のネジレを完全に下抜けていくと、ユーロの一段安と1.3000ドル方向への下値トライ、あるいは1月の直近安値1.2620-25ドル方向を試しに行く「2番底模索」の波乱余地も警戒されることになる。
日本の財務省がEFSF債購入について6日、入札でEFSF証券の4.7%に相当する1.6億ユーロを購入したことを明らかにした。
私はよく「勘」という言葉を使います。「勘」とは何かといいますと「知識、経験、知恵」で生み出すものです。相場分析とは何かといいますと、理論的に解明できることです。
例えば、イスラエルの中銀総裁が「既に金融緩和政策は終わり、これからは据え置き政策に変わるべきだ」と発言しました。そして、世界で行われていた金融緩和、利下げは「欧州」を抜かしては終焉した可能性があります。
さらに、バーナンキFRB議長が2014年までゼロ金利政策を継続し、2%のインフレターゲットを設定しましたが、その途端に米国経済指標が好転、QE3の実施の可能性が遠のいてきました。
ここから「金融緩和で上昇した世界の株式市場が、金融緩和の終焉によって調整に入る」ということを理論的に言うことができます。
これに対して、昨日の「森田のつぶやき」でつぶやいたことは「勘」といえます。それは具体的に理論武装できない問題であるのに、SQを境に相場が変わるというのは「いろいろな問題が頭の中で攪拌されて出てきた結論」であり、「勘」という以外に説明する言葉がないからです。
もちろん、細かな手口や機関投資家動向が分かれば、この問題は勘ではなく理論的に説明することができますが、そういう情報は当事者と一部の関係者以外には入ってきませんので「勘」という以外に言い方がありません。
■今後の好悪材料
今の日本の株式市場を動かしているのは「金融緩和」と「円安」です。共に「森田のつぶやき」で解説しましたが、シナリオが変わりますと相場展望も変わってしまいます。
もし、金曜日の雇用統計の結果が悪かったり、米国で懸念されている個人消費と住宅販売の悪い指標が出たりしますと、再び金融緩和要望論が出てきます。ということは「QE3は終わった問題」ではなく、当面は遠のいた問題ということになります。
米国の金融緩和が行われれば「円高」になって、日本の株式市場は一時的に円高ショックで下落します。しかし、円高問題を織り込んだ後は金融緩和によって上昇します。つまり、売りと買いの両方ができることになります。
米国の金融緩和が無いということになれば、円安が進行します。ということは、今回の調整の後に「再び、日本の株式市場が上昇する」ことになります。
中国はGDPを7.5%成長に下方修正しました。なぜ中国はGDPを下方修正したのか。それは、欧州危機が欧州経済危機に発展して、欧州向け輸出が一番多い中国経済に打撃を与えるからです。つまり、中国は1980年代に日本が行った「内需中心による経済成長」に転換しなければならないと考えて、GDPを7.5%に下方修正したわけです。
中国は最低8%以上の経済成長率を達成しなければ失業者が増えると言われています。さらに、中国の政府要人の財産は西側諸国の政府要人の財産の何倍にもなっているといわれています。そこで、中国の暴動を防ぐために中国政府は「2012年予算を11年比で14%増やす」ことにしました。
予算を14%増やしても経済成長率を下方修正しなければならないほど、中国の欧州に対する輸出依存度は高いということになります。
ここで分かることは「欧州経済危機が起これば、これまでのシナリオは全て吹っ飛ぶ」ということです。この場合は2011年8月に起こったような世界的な株式市場の急落が起こります。
1ヶ月でドイツは30%以上、イギリスは20%、米国は17%、日本も17%の急落となりましたが、欧州経済危機が起こった場合には、前回のような急落にはならないと思いますが、ボディーブローのように中期に下げ続けると思われます。
この中期に下げ続けたり、中期に上げ続ける相場というのは「転換点シグナルが出やすい相場」です。だらだらと上がったり、だらだらと下がったりする相場の場合は転換点シグナルは出ません。
なぜ、今回の欧州危機による中期に下げ続けたり、中期に上げ続ける相場というのは「転換点シグナルが出やすい相場」なのかと言いますと「政治が動く」からです。
いずれにしましても、昨年のようなだらだら相場とは違う相場が今年は起こると思われますので、昨年から申し上げているとおり、2012年の株式市場は「転換点投資」という投資スタイルの場合は非常におもしろい年になると思っています。
レポート担当:ケンミレ株式情報 森田 謙一