(ウォール・ストリート・ジャーナル)米銀行や投資機関の一部では、リスク志向の高まりを背景に米保険大手
アメリカン・インターナショナル・グループ(NYSE:AIG)の救済に関連した最も複雑で問題を含んだ資産の購入意欲が高まっている。
ニューヨーク連銀が保有する未払い元本470億ドルの債務担保証券(CDO)は、先の金融危機のまさに中心で金融業界全体に記録的な損失をもたらした金融商品と同じものだ。
CDO価格の急落を受けて2008年にAIGは破綻の危機に立たされ、政府が救済に入った。
AIGや大手銀行への公的資金の注入による1820億ドル規模の政府による救済は批判の的となった。
現在、高リスク・高利回り資産に対する投資家の需要が高まるなか、金融機関がこうした同じ種類の資産を購入
しようと試みていることから、さらに論争が巻き起こっている。
大手銀行のいくつかは金融危機の際にAIGのCDOに対する投資が成功し、政府によるAIG救済から利益を上げた。
今後ニューヨーク連銀が実施する可能性があるCDO売却に加え、財務省によるAIG株式の一部売却再開で、今年の大統領選前に政府が救済資金の多くを回収するお膳立てが整う可能性もある。
状況に詳しい複数の関係者によると、現在の時価付近で複雑な住宅ローン担保証券を購入する意欲をみせている金融機関には英バークレイズ・キャピタルやスイスのクレディ・スイス・グループ(NYSE:CS)(CSGN.VX)、米ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)が含まれる。
関係者らはさらに、購入に興味を示している金融機関の一部はCDOについてニューヨーク連銀に打診していると明らかにしたが、当面売却はないとみているという。
関係者によると、NY連銀はAIG救済以来受け皿会社「メイデン・レーン3」が保有するCDOの放出計画は示唆していない。
-0-
Copyright (c) 2012 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.