6月利上げが迫るなか、足元の相場は低金利と株価のじり高を継続中。これはどちらかの判断が間違っているとしか思えない不思議な相場展開です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年5月30日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
暴落の「黄信号」が点灯。株・債券・為替の動きがバラバラに
なぜ?資産クラス間の相関性が低下
FOMCの議事録が開示されましたが、どうも金融市場の反応は実にまちまちの状況で、すでに相場では個別の市場ごとの相関性がすっかり崩れ、独自の動きが示現しはじめています。
金利再上昇が目前に迫っても、米国の債券長期金利はまったく反応を示さず低金利が継続中で、NYダウ株価だけがじり高を継続する動きになり、どちらかの相場の判断が間違っているとしか思えない不思議な相場展開になってきています。
またOPEC総会で減産が来年3月まで延長になった直後に、WTIの原油価格が1バレル50ドルを割る動きになっても、株式市場や為替市場はまったく反応しない状況で、VIX指数はまたしても10を割り込むという総楽観の相場が継続しています。
モルガンスタンレーの指摘通りの展開か
すでにこのコラムでもご紹介していますが、モルガンスタンレーが顧客向けに発行しているレポートで指摘されているように、今年に入ってから金融市場の資産間の相関性が急激に低下しているという話があります。
米国の株と債券と為替だけをクローズアップしても本当にバラバラになりつつあり、いよいよ中央銀行が主導してきたバブル相場が終焉の域に差し掛かってきている可能性が高まりつつあります。
為替相場におけるドル円は、米国の金利が低率のまま動かないことからほとんど膠着状態を保っていますが、どうもこのまますんなり何事もなかったかのように進んでいくとは思えない状況になりつつあります。
6月はまたしてもリスク満載月に
6月は8日の英国総選挙がまたまた大きなリスクイベントになりそうで、まさかの保守党敗北ともなれば、ポンドがこっぴどく下落することからポンド円の大幅下落は免れず、ドル円もポンドにつられる形で110円を割れて下押しするリスクが高まることになりそうです。
また、翌週の日本時間15日朝3時にはFOMCの政策金利の発表がありますが、市場の予想どおり追加利上げとなっても材料出尽くしで金利下落からドル円下落、また延期となってもドル円はまた売られることになりそうで、為替市場にとっては決して安穏とはしていられない厳しい月が到来しそうです。
相場の大幅下落タイミングというのは、なかなか正確に当てられるものではありませんが、どうも金融市場が変調をきたしはじめている中に利上げが持ち込まれることになれば、それなりの影響がでるのは当たり前で、ここからのドル買いについては相当慎重に対応することが必要になりそうです。
7のつく年は7月まで株式相場は保つ、といったアノマリーがありますが、果たして今年もそれが適応になるのか、かなり疑わしい状況になってきているようです。
相場の危険信号をとにかく見逃さないように、細心の注意を払ってトレードを進めてきたい時間帯です。