■今回のまとめ
1)米国市場の下落幅は今年最大となり、昨年12月以来の安値水準となった。
2)騰落レシオはピークアウト感が見られ、低下傾向に入った可能性が高い。
3)過去の調整を当てはめると「彼岸底」の可能性がある。
日経平均が調整局面に入ってきた可能性が高くなりました。チャート分析では、将来「どう」動くのかを過去の経験則に当てはめて分析することも一つの有効な手法となります。今回は、過去の調整局面をあてはめた調整シナリオをレポートします。
本日の日経平均は、米国株式市場の下落を受けて続落となりました。下げ渋っているものの、調整局面になった可能性が指摘されています。
そこで、過去の似たような大幅上昇の相場をピックアップし、その後の調整を分析することによって、今回の調整した場合でのシナリオをレポートします。
日経平均の日足チャート上での「三空(3回窓を空けて上昇すること)」や、騰落レシオ(25日)の過熱圏とされる120%を超えた水準での推移など、既に相場の過熱を示す多くのサインが出揃っていました。
そのような相場環境の中で、昨日、米国市場はNYダウで-203ドル、ナスダックで-40ポイントと、今年最大の下落幅となりました。米国株の大幅下落を受けて、日経平均は昨日までの5日連続陰線から寄り付きの安値は9509円と、9500円目前までの下落となりました。
以上の点を踏まえると、相場の過熱感を冷ますための調整局面に入ってきた可能性が高くなってきていると考えられます。
今回の上昇場面では、相場格言にもあるように「押し目買い待ちに、押し目なし」の展開となり、その上昇ピッチの速さから多くの投資家が買いそびれ、調整を押し目買いの好機と捉えていると考えられます。
では、「調整局面の押し目買いのタイミングはどこなのか?」を過去の類似局面と比較して目安を考えてみたいと思います。
今回の上昇局面では、日経平均は2月29日の高値で「47日、+18%」の短期上昇波動を描きました。その上昇ピッチや騰落レシオ(25日)の140%超えなど特徴的な上昇であり、過去の類似局面が探し易く、比較することができやすいと考えられます。
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過去の上昇局面の抽出条件としては、以下の条件でチャートをチェックしました。
1.底値水準から反発し、それまでの下落局面の下降トレンドが転換していること
2.長期の移動平均線である200日移動平均線を突破していること
3.25日、75日移動平均線のゴールデンクロスを示していること
類似局面は、以下の4つの局面と取り上げました。
◆2010年
上昇日数 46日 上昇率 +16.4% 騰落レシオピーク 163%
調整日数 12日 下落率 -4.1%
◆2003年
上昇日数 51日 上昇率 +32.4% 騰落レシオピーク 128%
調整日数 19日 下落率 -8.4%
◆2002年
上昇日数 22日 上昇率 +27.7% 騰落レシオピーク 133%
調整日数 23日 下落率 -9.4%
◆1999年
上昇日数 80日 上昇率 +31.8% 騰落レシオピーク 141%
調整日数 17日 下落率 -8.1%
過去の4つの局面での「上昇率・上昇期間」はそれぞれ異なりますが、その後の調整での「下落率・下落期間」では、だいたい「-8%程度・20日程度」の調整となっているようです。また騰落レシオ(25日)は80%程度の水準まで低下しています。
今回の上昇局面に、過去の4つの局面で想定できる「下落率・下落期間」を当てはめてみます。今回の高値を9866円(2月29日)とすると、-8%で9076円、3月20日頃が調整の日柄の目安となってきます。
これは他の様々なテクニカル指標と同様に一つの判断材料に過ぎず、あくまでも過去の経験則であり、上記の調整目安が必ず今回の調整に当てはまるものではありません。
ただし、将来の株価の動きはわかりませんが、過去の株価の動きはわかりますので、想定シナリオを分析して用意しておけば、いざというときの判断で迷いがなくなると思います。
相場格言に「彼岸底」というアノマリーがありますが、過去の調整日数を当てはめると、ちょうどお彼岸くらいにあたります。上昇後の調整の日柄が不思議に一致しますし、例年、3月上旬から調整して、3月下旬から配当取りで下げ止まり、4月の新年度入りの新規資金で上昇ということがよくおきますので、押し目買いシナリオの1つとして考えてみてもよいと思います。
レポート担当:ケンミレ株式情報 石原 健一