1)イベント目白押しの9月相場を迎える。
2)日経平均の下げスピードが早くなり、シグナル点灯の可能性も出てきた。
3)個別銘柄を選ぶのが難しい状況なので、日経先物を選んだ方が安心。
◆イベント目白押しの9月相場
今日で8月が終わり、来週からイベント目白押しの9月となります。まず今日は、バーナンキ議長がジャクソンホールでどんな講演をするのかが注目されています。9月に入ると、すぐにスペイン救済などの欧州債務問題のイベントが目白押しになります。
また、米国の格付け会社ムーディーズが8月30日に、世界経済が減速してしまうリスクについて報告書を出しています。その中でリスク要因として警戒されていることをまとめますと、以下のようになります。
1.ユーロ圏のリセッション(景気後退)が予想以上に深刻化すること。
2.2013年に入ってから財政緊縮が起きる米国の「財政の崖」
※前ブッシュ政権時代の減税が今年末に期限切れを迎えるために起きる所得税率などの引き上げ措置。米国議会が財政赤字削減策で合意できなかったので、来年になると1100億ドルの歳出削減が発動される予定。
3.中国やインドなどの新興国の景気が急減速する可能性。
4.地政学的リスクによる原油高。
反対に、株式市場が上昇に転じる強気見通しを考えますと、今の環境は警戒されている要因が思ったほどでもなかったという「悪材料が消えること」ではないかと思われます。
世界景気が回復に向かうシナリオが出てくるまでは、大きく下がったときに買い、上がったら欲張らないで売るというスタイルに徹して、株を持ち続けない投資スタイルがとても有効になると思います。
◆9月にシグナルが出るならば
本日は日経平均が143円も下がり、下げのスピードが早くなってきました。9月のイベントとあわせて、下がり方によっては転換点シグナルが点灯する可能性が出てきました。ただし、日経平均の直近高値(9222円)からはまだ500円も下がっていませんので、ここからどれだけ下がってくるかにかかっています。
転換点投資は株が下がって安いから買うのではなく、大きなリバウンドが期待できるから買う投資スタイルです。ですから普通の調整では意味がないので、下げ幅の大きさと下がるスピードがポイントになります。
転換点シグナルには、大きく下がったときに出る「ドナブ」と、それほど大きくないときに出る「カエサル」があります。
ドナブレベルの急落になるのであれば、欧州の債務問題などで悪材料が表面化する可能性があります。ただし、最近の株式市場は出来高が少なく、市場エネルギーが少ないことが特徴になっていますし、投資家の株式市場離れが指摘されています。
どういうことかといいますと、大きな下げになるためには「売る投資家が多い」ことが必要です。いいかえますと、「株を買って持っている投資家が多い」ことが大きな下げになるために必要といえます。これだけ警戒する材料がそろっていますと、買って持っている投資家も少ないと考えられますから、ドナブレベルの急落になる可能性は少ないのではないかと思われます。
今年4月から6月の下落局面を参考にしますと、シグナルはすべて「カエサル」ですので、9月にシグナルが点灯するとしてもおそらくは「カエサル」の可能性が高いと考えられます。
そしてもう1つの特徴として、現在は銘柄ごとのバラツキが多いことがあげられます。鉄鋼などの中国景気に連動しやすい銘柄や世界景気に影響を受けやすいハイテクなどが下げ続けている一方で、内需系には高値の銘柄もあります。
また、個別の業績にもバラツキがあるので、株式投資の経験が少ない方ですとシグナルが点灯したときの銘柄選びにかなり神経と時間を使ってしまうでしょう。
したがって、もしもシグナルが点灯したときに投資するのであれば、個別株をまとめて買うという意味で「日経平均」を対象にした方が安心感があります。個別株は選んだ銘柄によっては大きく上昇する夢がありますが、確実性を求めてコツコツ投資するタイプの方であれば、シグナルが点灯したときにナイト取引で買える「日経先物」がよいと思います。