■今回のまとめ
1)日経平均の大台回復で強気予想が増えてきた。
2)チャートを根拠にした割安株投資なら、日経平均のようなチャートを買うことはできない。
3)個別には割安な銘柄もあるので、投資するなら割安株に限定する。
日経平均が7ヶ月ぶりに1万円を回復しました。このため、強気見通しが増えてきていますが、チャートからは上値が少ない可能性が見られています。今の株式市場で考える投資戦略をレポートします。
週明けの株式市場は、先週末に1ドル=82円台まで円安が進んだことから、買い先行でスタートしました。しかし、日経平均は1万円の大台を回復して始まったものの、ほぼ寄り付きを高値にして利益確定売りに押される展開となっています。
先週末にも日経平均は昨年8月1日以来、約7カ月ぶりに1万円台を回復しましたが、この動きを受けてから、専門家の見通しもガラリと強気一辺倒になったように感じます。
「年末には12000円」との見方も出始めていますが、昨日の3月11日は昨年の東日本大震災が起きた日ですが、東日本大震災直前の日経平均の水準は10434円でしたので、日経平均の震災前が意識されてくる可能性も高まっています。
ただし、強気予想の前提条件は「円安傾向や世界的な金融緩和が継続すること」です。これは「専門家でなくても予想できること」だと思います。問題は「円安傾向や世界的な金融緩和が継続するかどうか?」なのですが、専門家といっても「将来の経済環境の変化は予想できない」ということでしょう。
それでも、「専門家がいっているのだから、買っても安心だ」と考える投資家が増えることは想定できます。先週末の日経新聞トップには、「日経平均1万円回復」という見出しでしたし、一般のニュースでも取り上げられる明るい話題ですから、株式市場を頻繁に見ていない人が「株式市場が投資してもよい環境になった」と考える可能性が高い話題といえます。
しかしながら、強気の予想が増えて楽観的なときに買い、弱気の予想が増えて悲観的なときに売れば、「高値で買って、安値で売る」ことになります。一般大衆が株を買い始めたら株式市場の上昇が止まるといわれるのは、「感情のままに売買する」大衆心理からではないでしょうか。
もちろん、将来を予想して投資するやり方もありますが、予想を根拠にするためには、将来分析が難しいことに加えて、感情のコントロールも難しいやり方だと思っています。個人投資家が高値買いで塩漬け株を作ってしまったり、大きな損をする原因も、感情のコントロールができないからだと思います。
高値で買ったり、安値で投げないためには、チャートを根拠にしたやり方にすればよいと考えています。チャートは過去から現在の事実を記録したものですので、今起こっていることを客観的に知ることができます。
前置きが長くなりましたが、目先の日経平均や強気予想を見ているとわかりませんが、週足で長期のトレンドでは、2010年4月から続いている下落トレンドの上限まで上昇していることがわかります。
そして、この間に2回の大幅上昇をしていて、だいたい25%くらいの上昇率であることがわかります。今回が3回目になりますが、1万円回復で23%程度の上昇になっています。
つまり、「上下25%程度の幅がある長期下落トレンドラインの上限になっている」のが今の日経平均の事実だといえます。
日経平均の目先の上値目処が10200円程度といわれているのも、下落トレンドラインの上限になっているからでしょう。加えて、昨年7月の戻り高値の節目もありますから、株価が抵抗しやすいゾーンと考えられます。
一方で、昨年から始まった「中期上昇トレンドが継続している」状態なのですが、移動平均線と株価の位置(乖離率)を見ても、「買われ過ぎの範囲になっている」と考えられます。
これらから考えますと、「上昇の残りが少なく」「何か出たら、買われ過ぎの反動で大きく下がるリスクがある」タイミングと考えられます。
それでも「強気の予想に乗っかれば」高値を買うことはできます。その結果、勝つこともあるのでしょうが、予想ではなく「チャートを根拠」にした「割安株投資」で考えていますので、今の日経平均のようなチャートだったら、買うという選択はありません。
しかしながら、株式投資は「個別銘柄を買う」ことです。今の株式市場は、日経先物の影響も大きく、指数先行で上昇しているため、個別銘柄では「探せば割高になっていない銘柄」もあります。強気予想を見て株式市場に参加者が増えるのであれば、出遅れている株を探して買ってくる投資家も増える可能性があります。
ただし、株式市場全体が下がってしまえば、出遅れている個別銘柄も影響を受けて下がりますから、大きな損をしないための資金管理が重要になります。
したがって、今の環境で投資をするのであれば、
1.上昇したあとに調整している割安な個別銘柄に限定して、
2.売買の期間は、ケンミレチャートの短期波動ラインの上昇ライン1本を取るくらいの短期で売り切るイメージで、
3.損切りラインを決めてリスクを限定し、
4.投資資金の全部ではなく、一部を使って資金管理をしっかり行う
という方法が、現在の投資戦略の基本だと思います。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明
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