上海(ダウ・ジョーンズ)中国の政策担当者トップが、人民元の一段の弾力化と最終的な資本勘定開放の可能性
に強い意志を示している。これは当局が、元相場の取引幅拡大にまた一歩近づいていることを示唆している。
温家宝首相と中国人民銀行(中央銀行)総裁の発言は、元相場がこの2週間で際立ったボラティリティー(変動
率)を見せている時期でのものとなった。変動幅が拡大した主な原因は、元相場の双方向取引を後押ししている
中銀による、かつてないほど積極的な誘導政策だ。
20日付け国営チャイナ・デーリーによると、温首相は19日の講演で、中国政府が元相場の一段の弾力化に向けた
政策改革と規制を推進していると明らかにし、元は「適切な時期に」兌換(だかん)通貨になるだろうと述べた
。
着実な経済発展の維持と金融規制のさらなる強化が元の国際化の根底をなす、と続けた。
首相の発言と歩調を合わせ、人民銀行の周小川総裁は16日付けの同行発行の雑誌「中国金融」に寄稿し、元の為
替メカニズムの改善と、元の上下変動幅の拡大を目指すとの姿勢を打ち出した。
総裁は「適切かつ秩序だった方法で、資本勘定の兌換(だかん)性を推し進める」方向だとも述べた。
また当局は貿易と投資の利便性を高めていくだろうとし、漸進的に外国への資本移転経路を拡大し、外国投資の
規制を緩和する可能性を示唆した。
チャイナ・デーリーの記事では、人民銀行元顧問の余永定氏もまた、元相場の一段の弾力化を図るのに今が完ぺ
きな時期だと指摘した。
中銀が3月初め、1日の許容変動幅を通して元安を明確に誘導して以降、元相場は実際不安定な値動きを見せ、先
行き見通しを立てにくくなっている。基準値はこの2週間の12営業日中7営業日で下落した。
元相場は12年に入って以降、ドルに対して0.4%下落している。
これとは別の国営上海証券報の20日の報道によると、人民銀の金融政策委員会学術委員に就任して間もない陳雨
露氏は、国際的な慣行に基づき元相場が2016~20年の間に完全な変動相場制に移行することも可能だと述べた。
陳委員は20~30年以内に、ドル、ユーロ、元が世界の為替システムの軸になる公算が大きいとの見方を示した。
中国は10年以内に、元を近隣諸国で影響力のある通貨に育てることで国際化を推進すべきだとし、その後10年で
(アジア)地域通貨に、さらにその後10年でグローバル通貨にすべきだとした。
陳委員は、中国人民大学学長を務めるエコノミスト。前週、人民銀の3人の学術委員に指名された。
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