ringoのつぶやき

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<<アメリカがついに中国を敵と認定した>>

2018年10月08日 16時24分33秒 | 政治
一体どんな転換点なのか。

どんな意味合いがあるのか。

それが1995年に始まった日本を含む欧米諸国による中国甘やかし&収奪シス
テムの終了です。

このメルマガでは、2015年1月19日号年で以下のような2016年から2020年
までの予測を立てました。

「中国は経済も領土も小さくなると考えられます。メキシコのような永遠の中
進国になるかそれとも、公害と著しい人権侵害のせいで場合によっては何らかの
形で国連の管理下におかれるかもしれません。国連バンギムン総長が辞めると直
ちに動きが出るでしょう。なお、力説したいのですが、共産党書記長が軍部を掌
握していない、という見方は止めましょう。あれは共産党書記長を善人に見せる
ためのプロパガンダで、いつも誰が書記長になっても同じ噂が流れます。赤い人
間は誰であっても赤いことを忘れないでください。」

「アメリカは自給自足、引きこもっているでしょう。カナダとラテンアメリカ
の国とどこまで一蓮托生になるか、キューバとは仲直りしましたが、新興のベネ
ズエラあたりも丸め込めれば安泰でしょう。アメリカにとって、今は引きこもり
こそが最強の戦略です。アメリカは第二次大戦以前も引きこもってこっそりと体
力をつけていました。この20年はそうやって覇権II期の底固めをしていきます。
なお、力説したいのですが、オバマさんはアホではありません。アメリカ大統領
をアホとか力のない人と見る風潮もプロパガンダですからやめましょう。」


「国連が機能し始めると急速にチェチェンと東トルキスタンの独立が脚光を浴
びるでしょう。これまで中国とロシアの都合でこれらの独立運動はテロ呼ばわり
されていましたが、徐々に切り分けて考える動きが出てきています」

「日本、オーストラリア、インドは自前で国防の能力と経済圏をアメリカと連
携しながらより強化するでしょう。しかしここもニュージーランドやミャンマー、
カンボジアという不安要素が残りますが、中国の衰退でもっと明るい(!!)雰
囲気の地域になるでしょう」

これらの多くが当たりました。

中国は今見事に、アメリカを含む自由主義諸国全てと直接対決するという崖っ
ぷちに立たされています。

アメリカは広範な地域貿易協定であるTPPから離脱し、自分の箱庭であるカナダ・
メキシコとNAFTAを手直ししたUSMCAを結びました。中国とも経済上の縁を切り
ました。経済的には絶好調の「引きこもり」状態です。金利まで上げ始めまし
た。トランプ大統領が現れたとき彼をアホ呼ばわりした人が多くいましたが、
現在の状況を見て手のひらクルクル返しになっています。

国連も米国も東トルキスタンの人権侵害を真正面から取り上げ、中国を非難する
ようになりました。EUまで非難声明を出しています。

日本、オーストラリア、インドが中国の脅威に対して一丸となって臨むように
なりました。

このときは予想できていませんでしたが、これに加えてイギリスやフランスまでも
「航行の自由」作戦を展開するようになりました。中国の脅威に立ち向かうのが
もはや世界のスタンダードになったのです。

2015年に出した予想でここまで当たったのは、偶然ではありません。

経済の循環というものを丹念にみれば、誰でも予想が建てられたことです。読者
貴兄も丹念に国際情勢に耳を澄まし、統計や指標を見ていれば予想ができたこと
だったと思います。


<<ペンス副大統領の演説に戦慄を覚えるのが正しい>>

ついに来たな、世界はこんなにも一気にくるっと変わることがあるんだな。鳥肌が
立つほどそう実感づけられたのが、ペンス副大統領の10月4日のスピーチです。

「ペンス米副大統領、演説で中国批判 貿易や軍事に幅広く言及」
https://www.cnn.co.jp/world/35126604.html

このスピーチは、中国向け「ハル・ノート」。つまり最後通牒と言っても良いで
しょう。

〇アメリカの中間選挙に対する介入
〇略奪的な経済慣行
〇米国に対する攻撃的な軍事姿勢
〇監視国歌を作り自国民を監視、弾圧
〇宗教団体を弾圧
〇日本の尖閣への軍事的示威行動

ずらっと中国非難を並べました。

よく言った!

なぜか日本の自民党は中国に対して何も言わず、「遺憾砲」を打ち続けるだけでした
が、ペンス副大統領がみんなが言いたくて仕方がないことを全部言ってのけました。

<<副大統領の重みを知らない中国>>
さて、このようなペンス・スピーチですが、中国はいまだにボケています。

副大統領が個人で妄想で言っているんだろ、くらいの理解のようです。

「ペンス米副大統領が中国の政策を批判=中国政府は即座に反論─米メディア」
https://www.recordchina.co.jp/b651226-s0-c10-d0035.html

しかし、アメリカにおいては実は副大統領というのは実務と政策遂行の面で、大統領
よりも重みがあります。アメリカの場合、大統領というのはエンターテイナー、道化の
ようなモノで、さらに悪く言うと客寄せパンダのようなもので、裏の副大統領が実験を
握っているのです。

その証拠に副大統領は戦争が始まったり、大統領に重大な危機が訪れるとどこかに姿を
隠します。いつでも実務を大統領に代わって代行できる体制に移るのです。

ちょっとアメリカ副大統領の恐ろしさを見てみましょう。

古くはジョン・F・ケネディが暗殺され、副大統領だったリンドン・ジョンソンが直ちに
大統領職に就きました。

ロナルド・レーガン政権の副大統領だったジョージ・H・W・ブッシュは後の大統領と
なり、麻薬王パナマのノリエガを逮捕したり、第一湾岸戦争で多国籍軍を率いて
サダム・フセインと対峙しました。

アル・ゴーアがビルクリントンの副大統領だった時に、インターネット・スーパー
ハイウェー構想がゴーア自身でぶち上げられ、ありもしない二酸化炭素排出ビジネスまで
作られ、あるのかどうかわからない地球温暖化まで一般的な概念になり、現在2018年
では当たり前になったビジネスの基本的な考え方や生活ぶりが作られました。

ブッシュ政権の副大統領ディック・チェイニーもオバマ政権の副大統領ジョー・バイデンも
アメリカが軍事行動を起こすとき決定的な決断をした人たちでした。

副大統領が次の大統領になることもアメリカでは珍しくありません。

すなわち、ペンス副大統領が直接「中国をぶっ叩く」と宣言した以上、中国がぶっ叩かれて
再起不能になるまでアメリカは手を緩めることはないのです。

<<アメリカを見誤った中国共産党>>

この世界の転換点について、当事者である中国は全くその意味合いを理解していません。
自由経済もどきを導入してまだ25年しかたっていませんので無理もありません。

数百年にわたって日本も含めて経済を巡り自由経済圏が苛烈な覇権争いをしていたなどと
いう<本当の歴史>のことは全く知らないのでしょう。中国には歴史がないですから・・・
自分を正当化する自分語りみたいなものばかりです。


仮に理解していても、

「米中首脳会談で譲歩すりゃいいだろ?」

「何かアメリカのモノを買ってあげればいいだろ」

くらいのノリでした。実際、五月に米中で貿易当事者の協議がもたれ、アメリカのモノを
もっと買いましょう!と中国がいつものように言いましたが、それがトランプ政権を激昂
させました。

「米中通商協議 中国副首相が15日訪米 貿易戦争回避へ」
https://mainichi.jp/articles/20180515/k00/00m/020/099000c
↑すでにだいぶ話がこじれていますが、あまり中国は気にしなかったようです(笑)

その時アメリカが要求していた、

〇軍事・産業両面のスパイ行為をやめろ

〇知的財産権を侵害するな←これには中国企業と合弁で企業を作らなければならないこと、
その際技術の供与を要求されること、資本と技術を譲らなければ撤退も難しいことなども
含まれているでしょう。

〇南シナ海から手を引け←これには尖閣も含まれていたのはペンス副大統領のスピーチ
から明らかです。

といった、この時点で中国が妥協して差し出せば何とかなったかもしれないものを何一つ、
中国は差し出さなかったからです。


<<更にハードルが高くなり、立ち直れないところまで要求される中国>>

この、「金を与えればおとなしくなる」式の対米交渉は、ヒラリー・オバマ政権なら
通用しましたが、トランプ政権には通用しませんでした。

トランプ政権が誕生した時、中国は最初から彼のことを見誤っていて、「トランプ氏は
ビジネスマンだから金で何でも解決できる」と公言していました。

「トランプに「好感」を抱く中国人の心象風景を読む」
https://www.huffingtonpost.jp/foresight/trump-china_b_12952146.html

しかし、私は絶対トランプ大統領は中国にきつく、きつ~く!当たると思っていました。

なぜかというと、彼はあのロバート・キヨサキ氏と親友で、「金持ち父さん」の本では
キヨサキ氏は何度も「アジアの奴隷工場では幸せは生まれない」ということを言って
いたからです。二人には「あなたに金持ちになってほしい」という共著もあります。

賃金が安いのでアメリカ資本がアジアの国に工場を建てて現地人、それも学校に通うべき
幼い子供たちを奴隷のように使う。キヨサキ氏はサーファー向け財布などを台湾あたりで
作らせていたようですが、現地を訪問してその残酷さに衝撃を受け、そのビジネスから
撤退しました。

また同じ商品を現地でパクられたという経験もあったようです。

こうした会話は何度もトランプ氏とキヨサキ氏との間で交わされたはずです。つまり、
絶対にトランプ氏は大統領になったら中国の「世界の工場モデル」をつぶす、
ということは予想ができていたのです(中国人以外は(笑))。

今年五月に激昂させられたトランプ政権は7月6日に中国から輸入する818品目に
ついて関税を引き上げました。これはいくつもある中国潰しのカードの一番マイルドな
ものの一つです。

ここでもまた中国は見誤って、「よし、こちらも強国らしく見せかけるため、同じ
ように関税をかけよう」としましたが、アメリカが輸入する額と同じ額を中国は
アメリカから輸入していなかったというお粗末な事実に気づかされました。

大豆もLNGもアメリカから買わないと言って強がりましたが、LNGの関税は上げて
いないようです。自由経済幼稚園児以前の中国は、エネルギーを自給でないのです。

さらに偉そうに自由貿易の旗手を気取って世界中にトランプ政権を非難する声明を
ばらまこうとしましたが、これがさらにアメリカの怒りを買い、封印してあった
人権外交をついに国際的に展開し始めました。

ウイグル人の収容所の問題です。

さらにはこれまでの航行の自由作戦では中国の違法埋め立て地を遠巻きにして、
船を航行させるだけでしたが、なんと今度は東シナ海で爆撃機(笑)を出しました。
これはさらに驚きでなんと日本の自衛隊機も一緒に訓練の形で出撃しました。

「戦闘機16機と米戦略爆撃機B52と共同訓練」
https://mainichi.jp/articles/20180929/k00/00m/030/077000c

これには中国は涙目で、もはや情報の収集も分析もできなかったことでしょう。

その証拠に、9月30日には米軍艦に中国軍艦が41メートルいう距離まで接近し、
米軍艦のほうで回避行動を取るという異常な行動を始めるところまで行きました。

「中国艦船、米軍艦に異常接近 「航行の自由」作戦中」
https://www.cnn.co.jp/world/35126396.html

もはや中国には余裕もなく、いったい米軍に対してどう対処したらいいか
分からなくなっている証拠でしょう。

ペンス副大統領が明確に尖閣は日本の施政権下にあると断言しましたので、今後は
沖縄の米軍が尖閣に近づく中国船を拿捕したり撃沈する可能性も出てきました。

まさにこれでもか、これでもかという中国叩きラッシュです。

実はアメリカには台湾を独立させるとか、中国人にはアメリカの土地を買わせない
とか、米国債も買わせないとか、ちょっと練習でもうやりましたが、中国人の口座を
凍結しドルにアクセスさせないなど、まだまだ、まだまだ数々のカードがあるのです。

「米、中国軍高官らを制裁指定 ロシアから戦闘機など購入」
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO35611380R20C18A9EAF000?s=1

中国の敗因は、アメリカは大きな日本のようなところと甘く見積もり、日本に対して
やっていたようなことがアメリカにも通じると思っていたところです。

なお、日本も今後はアメリカと全く同じ処置ができる(←アメリカがやれ!と言えば
ですが)ということなどおそらく中国は想像すらしていないことでしょう。


<<2008年に本当は中国民主化かチベットの開放がされるはずだった>>

ハードコアなチャイナウォッチャーは2008年春にチベット人の蜂起に対する大規模な
虐殺があったのを覚えているでしょう。北京オリンピックの数か月前です。

衛星写真ではあまりにも多くのチベット人が撃ち殺され、路上に打ち据えられているのが
映っていました。

CIAがサポートしたと言われるこのチベット人の蜂起、本当は、チベット人自身が蜂起した
姿をうまく海外のメディアが世界中にライブで報道し、中国が弾圧しているところを
自由主義国に見えるようにして国際的な非難の声が上がり、そしてチベットは独立を
果たす、という段取りだったようです。

当時、任期も終りに近づいたジョージ・ブッシュ(子ブッシュ)の最後の大仕掛けだった
のでしょう。

しかし、どうもメディア関係者の中に中国に寝返ったのがいたらしく、事前にチベットに
入ろうとしていた海外のメディア関係者と蜂起に関わるためチベット入りしようとした
海外に住むチベット人が大量に逮捕されてしまいました。

それでも内部のチベット人は計画がうまく行くと信じて蜂起しました。

その結果、蜂起の情報を事前につかんでいた中国軍に大虐殺されたのでした。

しかし、実は中国はここで、成り行きにまかせて、チベット人を独立させればよかったの
です。

ただ見ていればよかったのです。

そうすれば、今のように、中国全土がまさに生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされる
ことはなかったのです。

私には夢があります。チベットが独立して、そこで必要となる産業、おそらく仏教を
軸にした観光産業だと思いますが、に少しでも携わってチベットの発展の力に
なりたいという夢です。

今はチベットに外国人が入ることも難しいですが、もうすぐこの夢は達成できるの
ではないかと今からワクワクしています。


<<20年でも40年でも執拗にやり続けるアメリカ>>

アメリカは非常に長期的なビジョンを持つことが得意です。しかもそのビジョンを
代々次の大統領に受け継がせます。アメリカが1920年代から「オレンジ計画」
という対日本の全面戦争案を作成していたのは有名な話です。

現在の中国についても、1994年ころにはアジアの研究所がある大学でこれまで
盛んだった日本研究を切り捨て、中国研究に一斉に切り替わりました。

敵になるか友人になるか。まだ分からないうちに中国について徹底的に調べ上げて
いたのです。

小国に分裂し、大国になり、また分裂する。民族を浄化しすべて自称漢民族が
飲み込む。そうしたこれまで中国がやってきた悪行を、業の深さをアメリカ人は
25年かけて学び取ったのでした。

↑とは言え、日本人はずっと前から知っているのですが・・・ご注進!と言って
アメリカに教えてあげればよかったんでしょうか?自分たちもひどい目に
あわされるまではアメリカ人は聞く耳を持ってなかったかもしれませんね。

今、ついに刈り取るときが来たのです。
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日本を「民族共通の敵」とする統一朝鮮・金正恩大統領誕生へ

2018年05月06日 10時40分47秒 | 政治
写真

平壌を訪れた韓国芸術団と面会する金正恩 KNS/KCNA/AFP/AFLO

 

 

 日本の左派は米朝対話で戦争が回避されることを期待している。だが、戦争が起きなかった場合こそ、日本にとって最大の危機が訪れると拓殖大学教授の呉善花氏は警告する。

 * * *
 今、韓国では金正恩が大人気だ。蟻のように小さな存在の北朝鮮が、核を保有したことで世界を揺るがし、超大国のアメリカと渡り合っている。その姿が韓国の若者層には格好良く映っているのだ。

 特に平昌五輪後は、韓国の悪口は許されても、北朝鮮や金正恩の批判は許されない雰囲気になっている。

 大統領選で圧勝した文在寅の支持率も平昌五輪後はさらに上昇し、4月第一週には74%にまで達した。

 とくに若者からの支持は絶大で、理由は彼らの資本主義に対する「絶望」にある。サムスンをはじめとする財閥系企業の業績は好調なのに新卒の半数が就職できない。なんとか職を見つけても非正規雇用が大半で、貧富の差は広がるばかりだ。

 こうした現象が顕著になったのは1997年の「IMF危機」がきっかけだった。家族を大切にする儒教社会だった韓国が急速にアメリカナイズされ、共に助け合う精神は消え、実力主義、個人主義に変わった。

 その結果、家族関係は崩壊して離婚が急増した。また現役世代が経済的余裕を失い、老いた親の面倒を見られなくなった。年金制度も未熟なため困窮した高齢者の自殺が相次いでいる。長幼の序はとうの昔に消え去ってしまった。最近では詐欺も横行し、治安も悪化している。

 こうした絶望的な状況のなかで生まれたのが「ヘル朝鮮」という言葉だ。

 文在寅は大統領選で「資本主義の副作用を取り払う」と訴えて、彼らの不満を巧みに取り込んだ。経済政策として「財閥改革」や「公務員を81万人増員」することを公約に掲げた。日本の国家公務員数は自衛隊員を含めても60万人余りだから、総人口が日本の半分の韓国で81万人という数字がいかに大きいかわかるだろう。財源は法人税の引き上げによって財閥などから確保する予定だ。

 さらに非正規雇用をなくし最低賃金を時給7000ウォン(約700円)から1万ウォン(約1000円)に引き上げると公約している。しかし、最低賃金を引き上げれば中小企業は人を雇えなくなり、法人税を上げれば大企業は海外へ逃げていく。

 そこで文在寅が目指しているのが、中国のような国家社会主義的な統制経済体制である。現在の韓国社会は、全体主義へと傾斜しつつある。実際、与党「共に民主党」からは、憲法にある「自由民主主義」から「自由」の文言を削除し、「所得の保証」や「解雇の禁止」など、反市場経済的な条項を設ける憲法改正案が提出されている。

 韓国の若者たちには新自由主義経済への批判が強くあり、こうした文在寅政権の政策を強く支持している。

 いずれ「一国二制度の連邦国家」(南北連合国家)に移行するという文在寅と金正恩の思惑通りに進めば、核が残ったまま朝鮮半島に統一国家が誕生する。

「統一朝鮮」は、日本を「民族にとって共通の敵」とすることで結びつきを強め、かつてない反日攻勢を展開するだろう。北朝鮮の人権は棚に上げて、慰安婦問題や徴用工問題で世界中に日本の非道を喧伝し、訴訟も相次ぐことが予想される。

 その傍ら、日本に北朝鮮への巨額な経済援助を求めてくるだろう。その時、朝鮮統治という歴史的経緯を踏まえて「譲歩すべき」という声が日本国内で上がれば、彼らの思うつぼだ。

 統一朝鮮では「一国二制度」を経て、やがて大統領選を実施する計画だが、北のほとんどが金正恩を支持し、南の何割かが金正恩に投票すれば、金正恩大統領が誕生し、核のボタンを握ることになる。

 日本人の多くは米朝戦争が「起こらなかった」後のことを考えていない。しかし、日本を待ち受けているのは、悪夢のようなシナリオであることを今から覚悟し、来る時に備えておくべきだ。

【PROFILE】呉善花/1956年韓国済州島生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に『韓国と北朝鮮は何を狙っているのか』(KADOKAWA)、『超・反日 北朝鮮化する韓国』(PHP研究所)など多数。

※SAPIO2018年5・6月号

NEWSポストセブン / 2018年5月6日 7時0分

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世界から嘲笑を浴びかねない日銀正副総裁人事 ~ 玉砕に向かう日本経済(近藤駿介)

2018年02月16日 10時33分06秒 | 政治
「与党には人事案が国会の手続き前に表面化することへの反発があり、調整が難航する恐れもある」(16日付日経電子版 「黒田氏再任、16日にも提示 副総裁に雨宮・若田部氏案 与党内調整難航も」)

そういう問題ではない。

「13年に就いた黒田氏を理事として支え、16年9月に導入した長短金利操作などの設計に関わった」人や、「(19年10月予定の)消費増税の負の影響を吸収して、物価(上昇率)が2%へ上がっていくほどの強力な緩和が必要だ」という過去の失敗を正見せずに「日銀が保有する国債の増加ペースを現在の年80兆円メドから年90兆円メドに引き上げることや購入資産の対象拡大などを提案している」という墓穴をさらに深く掘ることを主張する人が、本当に「出口」に向かわなければならない日銀の副総裁に相応しいかという問題だ。

国民に「痛みを伴う改革」を求める政府が、日銀正副総裁人事で「痛みを伴う改革」を先送りする姿勢を見せれば、世界は日本は「出口」に向かう意思を放棄し、玉砕することにしたと捉えるだろう。

例え「人事案が国会の手続き前に表面化することへの反発」というどうでもいい理由であったとしても、今回報道されている人事案が国会で否決され、異次元の金融緩和の「出口」が将来の日本経済にとって最後の「非常口」かもしれないという危機感をもった人に日銀を率いてもらえるようになることを願うばかりだ。 
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トランプ大統領、TPP政策逆転のワケ 「中国の略奪的な経済慣行」で再認識か

2018年01月30日 22時05分23秒 | 政治

【古森義久の緯度経度】

 米国のトランプ大統領の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についての新たな言明が世界に激震を広げた。スイスでの世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)での1月26日の演説で大統領はそれまでのTPP拒否の立場を一転させ、復帰の意図があることを明確にしたのだ。

 「米国はTPP加盟の諸国とも互恵の2国間貿易合意を交渉する用意がある」

 「TPP加盟の数カ国とは合意があるが、その他の加盟国とも個別あるいは集団での交渉を考える」

 それまでの同大統領のスタンスを知る側にはびっくり仰天の逆転である。だが彼がつい口を滑らせたとは思えない。この演説は世界の政財界リーダー向けに事前に準備されていた。しかも大統領はその前日、米国のCNBCテレビのインタビューでもTPPについてはっきり復帰の意図ともいえる同趣旨の発言をしていたのだ。

 トランプ政権は明らかに政策の変更としてTPPへの復帰や再交渉を試みる方向へと動いてきたのだ。もちろん米国のその切り替えは簡単ではない。だがトランプ政権はこの時点でなぜTPP政策を逆転させるにいたったのか。

 この疑問への現時点での最有力な答えはトランプ政権の国際通商・財政担当のデービッド・マルパス財務次官がトランプ演説直後に述べた説明である。

 「TPP政策のシフトの理由はここ1年間に起きた状況の変化だが、最大の要因といえるのは中国の経済的侵略がグローバル規模で激しくなったことだ。トランプ政権としての中国の略奪的な経済慣行へのより深い理解が、TPPの効用を再認識させるにいたったといえる」

マルパス氏は著名な国際エコノミストで歴代共和党政権の国際通商関連の高官を務め、トランプ氏の政策顧問には選挙戦の早い時期に就任していた。

 マルパス次官の指摘する中国ファクターの重みはトランプ演説自体でも強調されていた。同大統領はダボス会議での演説でTPP再交渉を提起する直前の部分で、明らかに中国を激しく非難していたのだ。

 「米国は大規模な知的財産の盗用、不当な産業補助金、膨張する国家管理の経済計画など不正な経済慣行をもはや放置しない。この種の略奪的行動は世界市場をゆがめ、米国だけでなく全世界のビジネスマンや労働者に害を及ぼしているのだ」

 トランプ大統領はそのうえで公正で互恵の貿易システムが国際的に必要だと述べ、TPPに言及していったのである。

 同大統領やマルパス次官のこうした言葉を追うと、今回のトランプ政権のTPP再考の理屈のプロセスがかなり明確となる。貿易面でのここ1年の中国の不公正な膨張は激しく、「米国第一」という思考からみてもその膨張による米国の被害を防ぐために、本来、対中抑止の意図があるTPPを利用することが賢明だという判断が大きくなってきた、ということだろう。

 マルパス次官は、TPP再評価の要因として米国経済が好転して、この種の国際経済協定への交渉を容易にしていることや、米国を除くTPP11カ国が協定枠組みを1月23日に確定し、米国にとってTPPの全体像の把握を容易にしていることをも挙げていた。(ワシントン駐在客員特派員)

産経新聞

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DJ-【焦点】米大富豪コーク兄弟、次の政治標的は中間選挙(1)

2018年01月29日 15時34分31秒 | 政治

 【インディアンウェルズ(米カリフォルニア州)】

 米国の大富豪コーク兄弟の政治団体「アメリカンズ・フォー・プロスペリティ(AFP)」は過去10年に2000億ドル(約21兆7600億円)超を投じて医療保険制度改革法(オバマケア)撤廃を目指したが、果たせなかった。ティム・フィリップスAFP理事長は「間違いなく私たちの政策における最大の敗北」だとしている。

 この献金ネットワークの関心は今、より差し迫った問題に移りつつある。今年秋の中間選挙で、上下両院での共和党の過半数議席を守ることだ。

 「すねてはいられない。進まなくてはならない」と、長らく理事長を務めるフィリップス氏は述べた。「永遠に多数党ではいられない。そして私たちにはまだ多くの政策目標がある」。コーク兄弟にとってAFPは、州・連邦レベルで医療などの政策実現を訴える主要な組織だ。

 連邦議会共和党と同様、コーク兄弟の諸団体はオバマケア撤廃の取り組みを棚に上げ、税制改革法の成立を優先してきた。今は新税法を国民に売り込むことに注力している。

 エネルギー複合企業コーク・インダストリーズの幹部であるチャールズ・コーク氏とデービッド・コーク氏の兄弟は2003年、同じ考えを持つ保守派のリバタリアン(自由至上主義者)の献金者12人を初めて集めた。先週末にカリフォルニア州パームスプリングス近くで開催された年次会合には550人を超える人が集まった。彼らが毎年投じる10万ドル以上の資金は、さまざまな奨学金、企業の投資、各種機関や政治・政策団体に振り向けられる

 政治・政策関連の運営の大半は、AFPと同兄弟の政治団体フリーダム・パートナーズを通じて実施される。フリーダム・パートナーズの広報担当者は、そうした団体が17、18年に見込んでいる支出額が4億ドルに上ると述べた。16年の選挙での支出を上回る金額だ。当時は、対立をあおる上に保守らしさが足りないとしてドナルド・トランプ氏への支援を拒んだ。

 トランプ氏は、中間選挙で共和党を取り巻く「厳しい環境」(フィリップス氏)の要素に含まれている。政権を握る党は次の選挙で議席を減らすのが普通だ。またトランプ大統領就任後に行われた補欠選挙に民主党支持者が大挙して押し寄せており、共和党支持者との間に熱意の差が生じていることに共和党は気付いている。

オバマケア改廃果たせず、方針転換

 フィリップス氏によると、コーク兄弟の団体の政治・政策担当者は政治の場で医療保険について議論する余地はほとんどないと判断するに至った。これはオバマ氏が2010年に医療保険制度改革法に署名して以来、初めてのことだという。

 税制改革法はこの悩ましい医療保険制度問題から共和党議員を救うことにも役立ったと、議員らはコーク兄弟の会合で述べた。27日夜に同兄弟の団体の献金者と話したジョン・コーニン上院議員(共和、テキサス州)は「われわれはオバマケアを強制ではなく文字通り任意の制度にした」と述べた。医療保険に入らなければ罰金を科すとしたオバマケアの加入義務を税法で撤廃したからだ。

 オバマケアに取って代わる共和党の医療保険制度法案が昨年3度にわたり議会通過に失敗したことを受け、トランプ政権は現行法の下で州関連の規制を緩和した。

 フリーダム・パートナーズの広報担当者は「議会が完全撤廃の方向に動かないなら、宣伝するのは時間の無駄だ」とし、「私たちにはもっと効果的かつ効率的にこれを進める方法がある」と述べた。例として、コーク兄弟の団体の職員や活動家が医療保険制度について議員個人と話す方法を挙げた。

 コーク兄弟のネットワークは、オバマケアに対する保守派の反対を通じて活動の基盤を構築し、資金が潤沢で焦点の定まった政治勢力をつくろうとした。12年にはオバマ氏再選を阻止しようとオバマケア批判に注力したが失敗。16年に上院選に関与した際にも、ほぼ常にこの問題に言及した。

 

 コーニン上院議員は「オバマケア改廃に失敗した後、われわれが上下両院で多数党であることやこの大統領のメリットを利用して何か大きなことを実現することはできないだろうとの絶望感があった」と述べた。「税制改革の採決でそれが払しょくされたと思いたい」

 昨年末にトランプ大統領が署名して成立した税制改革法は、コーク・インダストリーズを含む企業や個人の大半に減税をもたらした。広報担当者によると、同社は同法の成立に向けて広告に2000万ドルを支出したほか、その成果を宣伝するためさらに2000万ドルの広告費を投じる予定。

 コーク兄弟の団体は昨年遅くに中間選挙に向けた活動を開始。インディアナ、ミズーリ、ウィスコンシンの各州で、税制改革法をテーマにした広告に100万ドル超を投じている。共和党は今年これらの州で再選を目指す民主党上院議員を阻止したい意向だ。

 27日夜の献金者会合で講演したトム・ティリス上院議員(共和、ノースカロライナ州)は、新法が「機能している」ため共和党議員が税金について語っている姿を見たくてたまらないと述べ、反対票を投じた民主党議員は演説に苦労するだろうと話した。

 民主党側は、税制改革法の売り込みに苦労するのは共和党だと話している。

 ナンシー・ペロシ下院院内総務(民主、カリフォルニア州)は今月サンフランシスコ大学で行われた集会で、「彼らはこれが中間層の減税だと国民をミスリードするために数百万ドルを投じる予定であり、既に投じている」と述べた。

 医療保険に関連したアピールが消えた要因は税制改革法以外にもある。オバマケアを守ることは民主党支持者を熱狂させる上、国民の間ではオバマケアへの好感度が導入当時より高まっているのだ。

 昨年11月に行われたバージニア州知事選の出口調査では、当選した民主党のラルフ・ノーザム氏に投票した理由として医療保険制度を挙げる有権者が多かった。

 コーク兄弟の会合に出席したマーシャ・ブラックバーン下院議員(共和、テネシー州)は、同兄弟の団体など外部の圧力がなくても議会が引き続きオバマケアを骨抜きにするだろうと述べた。
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DJ-【社説】日本の民意が示した中国への警告

2017年10月24日 09時58分46秒 | 政治

 

 日本の連立与党は22日実施された総選挙で予想以上の成績を収め、衆議院で3分の2を上回る議席を確保した。この結果、安倍晋三首相は努力次第で日本の平和憲法を自ら目標としている2020年までに改定できる望みを得た。そのことで安倍氏が礼を言ってもおかしくない相手は意外な「援軍」かもしれない。それは、中国の最高指導者である習近平氏と、北朝鮮の金正恩氏だ。

 安倍氏は長い間、戦争放棄をうたう憲法9条を変えたいと望んできた。だがその望みが実現可能なものに見えてきたのは、北朝鮮が核実験を始めるようになってからのことだ。

 日本国民はこの2カ月間で2回、北朝鮮のミサイルが日本上空を飛行するとの警報(Jアラート)に目を覚まされた。日本を核兵器で沈めるという金正恩氏の威嚇に対し、政府にできることはほとんどないことを知り、日本国民の多くはショックを受けた。2013年以降、防衛費を増やしてきた安倍氏の支持率が上昇し始めたのはその時だ。それが総選挙実施の決断を後押しした。

 ソ連との冷戦時、 日本は米国の核の傘の下で生きることに甘んじていた。しかし、北朝鮮が核実験に成功し、中国が北朝鮮の肩を持ったことから、この状況が根本的に一変した。

 日本を脅かしているのは、相互確証破壊(MAD)の概念によって抑止されている超大国ではなく、人民から神格化され崇拝の対象となっている気まぐれな若い独裁者(金正恩氏)だ。危機の際に金氏がどう行動するのか誰も分からないのだ。そして日本人は東京に対する北朝鮮の核攻撃に対して、米国が本当に報復してくれるだろうかと疑念を抱いている可能性がある。そうなればロサンゼルスを北朝鮮による核攻撃リスクにさらしかねないからだ。

 加えて、習近平氏は、自国内の政治的な目的のために日本に対する敵対感情をあおった。習氏が2012年に権力の座に就いて以降、中国は領有権を主張する尖閣諸島の上空に防空識別圏(ADIZ)を設定した。日本による実効支配に挑戦する中国の船舶や飛行機の数は劇的に増加した。

 中国は、安倍氏が日本を軍国主義に戻しつつあるとしてすぐに非難する。しかし、日本の防衛力を強化するための安倍氏の対策は穏健なものであり、長年延び延びになっていたものだ。2014年に安倍政権は憲法解釈を変更し、「集団的自衛権」の行使を容認した。これは民主主義諸国の間の大半の同盟関係で礎となっているものだ。その結果、日本は自国の領空を横断して米国へ向かう北朝鮮のミサイルを撃墜するための行動をとることが可能になった。

 日本は現在、北朝鮮のミサイル発射基地を攻撃できる爆撃機あるいは巡航ミサイルなど攻撃用兵器を持っていない。今年に入って、安倍政権は米国から巡航ミサイルを購入する可能性を検討し始めた。

 北朝鮮が核兵器を拡充し、新型ミサイルを開発するなかで、日本は自前の核抑止力を求める可能性もある。この可能性は既に防衛当局や関係者の間で議論されている。日本は、民生用原子力プログラムから大量のプルトニウムを保有しており、数カ月以内に初の核実験を実施することも可能だろう。

 22日の総選挙結果は、中国が金正恩氏を制御できないでいることが、現実の政治的結末をもたらしていることを示している。北朝鮮からの脅威がなければ、安倍氏はそれまでのスーパーマジョリティー(3分の2以上の議席)を維持することはできなかっただろうし、選挙に負けていた可能性もある。習近平氏は日本の再軍備を望まないのであれば、金正恩氏の食糧と石油の生命線を遮断することもできる。さもなければ、北東アジアの勢力図は中国が望まない方にシフトするだろう。
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DJ-【社説】安倍氏の総選挙、メイ首相の二の舞いか

2017年09月26日 14時07分04秒 | 政治

 

 安倍晋三首相は25日、衆議院の解散と総選挙の実施を表明したが、その狙いは野党の足並みの乱れにつけ込み、与党・自民党に対する自身の手綱を強めることにある。だが英国のテリーザ・メイ首相が6月に実施した総選挙で示したように、その戦略は逆効果になりかねない。安倍氏の賭けは、強さではなく弱さの表れだ。

 安倍首相の支持率は今年、2つの学校法人を優遇したとの疑惑を受けて、一時約30%まで低下した。だが評判の悪かった防衛相が7月に辞任し、続いて内閣改造を実施したこともあって、現在はやや回復している。4-6月期(第2四半期)の経済成長は、実質国内総生産(GDP)改定値が年率換算2%超と、日本の基準では予想外に好調だった。

 最も重要なのは、北朝鮮の核・ミサイル開発計画を巡る緊張が、安倍氏のナショナリスト的な強さに貢献していることだ。安倍氏は一貫して防衛費増額や米国との安保協力強化を呼びかけてきた。金正恩氏が過去数週間に日本上空を通過する中距離ミサイル2発を発射すると、安全保障を重視する安倍氏の姿勢の正当性が認められた。

 一方、野党は全国にアピールする、求心力のある中道候補の擁立に苦戦している。民進党は今月、タカ派の前原誠司元外相を代表に選出した。しかし、代表戦は厳しい状況下で行われた上、前原氏が幹事長に起用しようとした議員は不倫疑惑で離党した。

 このほか野党で目を引くのは、7月の東京都議会選で自民党を大敗させた小池百合子都知事だ。小池氏は25日には、国政政党の「希望の党」立ち上げを発表した。思想的には安倍氏に近いがカリスマ性で同氏をはるかにしのぐ小池氏には、硬直した自民党から注目を奪う草の根的な動きを築いた実績がある。

 小池氏が来年10月以前に見込まれる選挙に向けて準備していたのは明らかだ。安倍氏は早期解散に踏み切ることで、小池氏側が勢いづく前に機先を制することができると期待しているのかもしれない。自民党が今年、党則を改定したことから、安倍氏は2018年9月の総裁選で3選を目指すことが可能になった。自民党が来月の選挙で成功すれば、安倍氏は立場が強まり、20年までに平和憲法を改定するという自身が追求する目標を主張しやすくなる。

 だが自民党が議席を減らせば、小池氏が別の面で勝利する下地が整うことになりかねない。安倍氏の指導力に対する信頼が損なわれれば、希望の党は自民党員に離党を促すだろう。最後には小池氏が自民党を吸収し、首相の座に就くかもしれない。

 小池氏は、安倍氏が12年に言明したような経済改革を目指すかどうかについて明言していない。これまでの言動からすると、主に関心があるのは民間経済を厳しい規制や重税から開放することよりも、政府を改革することのようだ。だが新たなリーダーは、少なくとも新たな希望をもたらすだろう。

 コーポレートガバナンス(企業統治)改革を除けば、安倍氏は選挙公約を実現できていない。政府は相変わらず新たな「ばらまき」に励み、日銀は量的緩和を続けている。労働法改革は進まず、生産性と実質賃金は停滞している。

 メイ英首相と同様、安倍氏は長く待つほど勝算が下がるとの懸念から選挙に踏み切ろうとしている。危険なのは、新たな信任を求める明確な理由を示さない指導者には、日本の有権者も背を向けるということだ。
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元経済ヤクザだからわかる、北朝鮮「過剰な挑発」の真意

2017年09月07日 11時27分02秒 | 政治
アメリカが沈黙するのが怖いから

2017年9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を実施した。北朝鮮側は原爆より強力な「水爆実験の成功」を発表しているが、通常の核爆発より威力が強力だったことは観測されている通りである。

さて、今回は「元ヤクザの眼からみた北朝鮮問題」を論じてみたい。北朝鮮はいわば国際社会のアウトローだ。彼らの行動は、一般社会の眼でみれば非合理的だが、同じアウトローの眼からみると、その目的や狙いが良く見えてくるのだ。

石油取引で知ったアメリカの本当の怖さ

現在、アメリカによる空爆のXデーは2説ある。一つは、『週刊現代』8月19・26日号で、ドナルド・トランプ米大統領(71)が安倍晋三総理(62)に伝えた話として報じた「9月9日」説。もう一つが9月20日の新月に前後した説である。

9月9日は北朝鮮の建国記念日。昨年核実験を実施した前科があり、この日は金正恩党委員長を始めとする北朝鮮のトップが集うのだから、空爆を実施するとすればターゲットは「人」だろう。また、20日の新月を前後するのであれば、ターゲットは「軍事施設」と予想される。

米朝の緊張は高まる一方なのだが、超大国と小国がぶつかり合う背景と結末をヤクザのロジックで解き明かしてみたい。

Photo by GettyImages

私は常々アメリカを「巨大暴力団」だと考えている。根拠は強烈な自己体験があるからだ。

それは石油をめぐる取引に関連したものだった。03年ごろ、中国が石油の備蓄量を大量に増やしていくのに合わせて、04年ごろから日本の経済ヤクザが石油を求めてドバイに集まっていた。しかしその多くは中国への買い手側だったため、私は売り手側に立つことにした。

売っている油を買う仲介業より、安い石油を仕入れて高く売る方が儲かるに決まっているということで、私は紛争地からオイルを買うことを選び、成功したのだった。

この時にわかったことは、石油がほぼ「ドル」でしか決算できないということだった。どれほど中東が英米を憎んでも、契約書は英米法に基づいて作成され英語で書かれている。ドルが国債基軸通貨となったのは、1944年のブレトンウッズ協議以来で、当時アメリカに世界の金地金の3分の2が集まっていたことがその理由だ。

しかし、72年のニクソン・ショック後もなおドルが基軸通貨であり続ける理由は、武力によるところが大きい。いつ潰れるかわからない国の通貨より、絶対に潰れない通貨の方が安全であることは自明の理だろう。不沈国家を担保しているのは米軍という世界最強の暴力である。

単身石油ビジネスに参入した私の元にはやがて、「取引先を紹介して欲しい」「そちらの口座にお金を入れるので石油を分配して欲しい」などの人的繋がりができるようになっていった。

そのうち私の口座があるイギリスの銀行から「当行では個人口座の規模を超えている」という連絡が入るほどの成功だった。そこで私は知人の紹介で、オフショアであるバハマのバンク・アルタクア銀行に口座を移すことにした。

知らずに触った石油取引が莫大な利益を生み、250億円ほどに膨らんでしまった。ところが、だ。突如バンク・アルタクアはアメリカによって制裁対象にされ、銀行ごと没収されたのである。

当時私は現役の暴力団員だったが、石油のビジネスはすべて合法だった。後でわかったのだが、私を経由した資金の一部がアルカイーダの関係者のもので、バンク・アルタクアには多額のテロ資金が流れていたとのことだった。

私が貯めこんだ金もすべてもっていかれてしまった。黙って監視をして、ある程度膨らんだら根こそぎ収奪する――アメリカは暴力団そのものであると実感したのはその時だった。

この一件以来、私に対する監視が強まり、イギリスではパレルモ条約で拘束されることにまでなったのである。

石油はドルが支配する戦略物資で、個人が触れるべからざるものであることを痛感し、二度と石油に関わらないようにしたのだった。もし石油を触りたいのであれば、アメリカの勢力圏に事務所を構え、アメリカにきちんと税金を支払うべきなのだ……。

さて、ではなぜ北朝鮮はアメリカを挑発するかのうようにミサイル発射実験を行うのか。アメリカが「巨大暴力団」であるという前提に立ち、これを解説しよう。

北朝鮮は「アメリカの沈黙」を恐れている

まず理由の一つが「沈黙の回避」である。暴力団が相手(暴力団)を強迫する際に「いわす(殺す)ぞ」「沈めるぞ」と言葉にしているうちは実は安全なのだ。一番怖いのは「沈黙」で、相手が「沈黙」したときこそが次にアクションを起こすサインなのである。

つまり、アメリカが沈黙した時こそ、本気で仕掛けてくるということだ。北朝鮮はアメリカに沈黙して欲しくないので、挑発をしながら言葉を引き出しているのだ。一連の挑発行動こそ、まさに外交安全保障として機能しているのである。

もう一つは、ミサイルの発射実験が武器ビジネスの「最高のショーケース」になっている点だ。ICBMは北朝鮮製の武器のフラグシップモデルであり、その性能を見ればお客さんは「北朝鮮製の他の武器も良い性能に違いない」となる。

しかも一回発射すれば世界中で報道してくれるし、多くの国の調査機関が性能まで割り出してくれるのだから、宣伝活動にうってつけということになる。

さきほど、石油はドルが支配していることを明らかにしたが、ドルが支配するほかの取引に「武器」と「穀物」である。

今年3月、北朝鮮についての気になるニュースがあったことをご存知だろうか。それは、SWIFT(国際銀行間通信協会)が、北朝鮮のすべての銀行に対して銀行間決済に必要な通信サービスの提供を停止するというものだった。これは北朝鮮が外貨――特にドルを獲得するルートを遮断されたことを意味している。

燃料と食料が欲しい北朝鮮としては自国産の武器を販売することで、是が非でもドルを手に入れなければならないのだ。昨年わずか5回しか行わなかったミサイル発射実験が、SWIFT遮断以降9月まで11回も行われている事実がその根拠といえよう。

ではミサイル発射が兵器のショーウインドーだとすれば、9月3日の核実験はどう考えたら良いのか。現在の世界情勢から考えると諸外国で核実験はほとんどできない状況だ。あのアメリカでさえ臨界核実験に切り替えて、爆発させずに核兵器の品質を維持しているほどである。

しかしこの地球上で、そうした非難を一切気にせずに核実験を行える唯一の国…それこそが北朝鮮にほかならない。核開発は北朝鮮が独占分野となっているのである。

これがクライシスの正体

第三諸国に核爆弾を流出させれば世界中から非難され、激しい経済制裁を受けるのだが、これに耐えられるのも、これ以上ないほど強い経済制裁をすでに受けている北朝鮮ただ一カ国。

イランを始めとして「核」が欲しい国はたくさんある中で、核マーケットは北朝鮮が独占しているのだから、核実験はミサイルとは違う面でのショーケースと言えるだろう。イランは産油国であり、北朝鮮への油の供給源となりうることはあえて付記しておきたい。

第13代FRB(連邦準備制度理事会)議長のグリーンスパン氏は回顧録に「イラク戦争は、主として石油の為であった」と書いて大騒ぎになったことがある。

当時、フランスはイラクに「石油決算をユーロで行えば条件を有利に取引することと、武器を供給すること」を持ち掛けた。石油と武器のドル支配を崩したくなかったことがアメリカがイラク戦争に向かった動機の一つである。

しかしこのまま北朝鮮を看過すれば、アメリカの武力神話が崩壊し、それはドルの威信に傷をつける事態になりかねない。それでもアメリカが北朝鮮の暴挙を看過してきたのは「統一資金」の問題がああるからだ。

09年、ドイツの主要4経済研究所の一つ、ハレ経済研究所は、東西ドイツ統一にあたって1兆3000億ユーロ(現在のレートで、約170兆円)もかかったと発表した。

11年には韓国統一省が、南北統一に必要な費用について「30年に統一すると事前に約53兆円、事後に約184兆円かかる」とした。

ドイツは統一の経済的インパクトに耐えられたが、実に237兆円もの天文学的数字に韓国が耐えることはできない。その尻ぬぐいをさせられるのは、アメリカだ。ババを引きたくないアメリカとしては、北朝鮮を崩壊させる形の南北統一は避けたいのだ。

さて、独立系の小さな組織が大組織と渡り合って生き残ることがヤクザの世界でもあるのだが、この時、独立系の組織は他組織の動きを見ながら巨大組織と戦うのが常である。

この状況での別組織とは、北朝鮮がアクションを起こすたびに非難めいた声明を出す中国・ロシアだが、両国ともに世界で存在感を示せるのは北朝鮮をコントロールできるということだから、おとなしいよりは少々暴れてくれた方が助かることを忘れてはいけない。暴れる舎弟を「まぁまぁ待てや、そのへんにしとけや」と言ってなだめるようなものなのだ。

こうした状況を北朝鮮もわかっていて、実際に空爆されないギリギリの線を探りながら、ミサイルと核実験で営業活動をしている。それが朝鮮半島クライシスの正体なのである。

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首相と距離置く野田聖子氏 入閣の背景に政治家の存在…(朝日新聞)

2017年08月03日 10時08分22秒 | 政治

 安倍政権に距離を置く野田聖子氏が入閣することになった。方針決定の舞台裏を探ると、挙党一致の演出以外に、首相が野田氏と親密な「ある政治家」との関係を気にしていた可能性が浮かんだ。

 野田聖子氏には2日夜、安倍首相から「総務相と女性活躍担当相を引き受けてほしい」と電話が入った。野田氏は「私の足場もあるところでもあり、十分にご配慮頂いた。ありがとうございます」と受け入れた。

 野田氏は2年前の総裁選で、安倍首相無投票で再選した際、首相の対抗馬として立候補を模索。推薦人集めをしたが、首相側から切り崩された。最近は「次に向けて努力することに変わりない」と来年の総裁選に意欲を示し、政策集を秋にも出版しようと準備を進めていた。

 ログイン前の続き5月には、野田毅氏や村上誠一郎氏と共に「脱アベノミクス」を考える勉強会を結成。石破氏を会合に引き込んだ。東京都議選で自民党が惨敗すると、「掛け声や勢いで政権を運営してきたが、国民の声を聞いて出直すしかない」と首相に手厳しいコメントもした。

 首相がその野田氏を起用する選択をした背景には、「イエスマンばかり集めている」(村上氏)という印象を薄め、「挙党一致」を演出する狙いがある。野田氏は郵政相や党総務会長などを歴任し、経験も豊富。手堅さと共に「刷新感が出せる」(官邸幹部)との効果を期待したようだ。

 野田氏は、地域政党「都民ファーストの会」を率いて都議選を圧勝した小池百合子東京都知事と近い。昨年の知事選後に野田氏が開いたパーティーには小池氏が駆けつけ、「ここだけの話、野田氏が選挙を手伝ってくれた」と親密さをアピールした。

 首相としては、都民ファーストの国政政党化を見すえ、野田氏を閣内に取り込んでおく思惑もありそうだ。1日、側近議員に「野田氏を入れざるを得ない」と漏らしたという。逆に野田氏は閣僚として発信する機会は増えるが、首相への批判的姿勢との整合性が問われることになる。

 一方で首相は石破氏に入閣の打診をすることもなく、石破派からは斎藤健氏を一本釣り。もともと石破氏側近ながら派閥結成に加わらなかった小此木八郎梶山弘志の両氏が入閣する。

 2人は菅義偉官房長官とも近い。政権批判を続ける石破氏を孤立させようとする意図も見え隠れする。石破氏は周囲に、両氏の入閣について「菅氏の思惑だ」と語る一方、野田氏の入閣について「受けるとは思わなかった」と述べたという。

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“超黒字”JR東海に公的資金3兆円投入!? リニア建設資金不足で、やっぱりツケは国民に…

2017年07月30日 17時39分00秒 | 政治

2017年07月01日]

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2014年には事業認可され、各地で起工式が行なわれたが、いまだ本格着工には至っていない

2027年に品川-名古屋間での開業を目指すリニア中央新幹線。JR東海は当初、「自己資金で建設する」としていたが、工事は遅々として進まず、資金不足の恐れが出てきた。

そこで昨年6月、政府は3兆円の公的資金投入という決断を下していたのだが…本当に予定どおりに完成するのか!?

■「返済が怪しくなったら担保を検討する」

JR東海が2027年に開通を目指すリニア中央新幹線(以下、リニア)。

最高時速500キロという超高速で東京・品川駅から愛知・名古屋駅までの286kmを40分で結ぶ計画だ。さらに大阪・新大阪駅まで延伸しての開通予定は37年で、438kmの距離を67分で結ぶ。まさに“夢の乗り物”である。

だが、その実現を疑問視する声は以前からあった。というのも、07年末、JR東海は「自己資金でリニアを建設する」と公表したが、その資金が「ない」からだ。

リニアの総工費は実に約9兆円。国土交通省によれば、「品川-名古屋間の建設費約5兆5千億円のうち、約2兆5千億円は東海道新幹線の収益を充てられる」から、当面は差し引き3兆円あればいい。だが、この3兆円がない。

全産業での営業利益率(売り上げに占める営業利益の割合)の平均は2.5%。ところが、JR東海は東海道新幹線を稼ぎ頭に毎年のように最高益を更新し、15年度で33%という断トツの利益を上げている。営業利益約5600億円の“超黒字”企業だ。

だが、それでも目標としていたリニアの「自己資金建設」には届かなかった。同社の「平成28年3月期決算短信」を見ると、純資産額は2兆2199億円。巨額ではあるが、3兆円分の担保がない以上、銀行がJR東海に対して貸し渋りするだろうと予測されていた。

そんななか、昨年6月1日、安倍首相が「リニアに財政投融資(以下、財投)を活用する」と表明。その額3兆円。

JR東海の当初計画では、27年の品川-名古屋間の開通 後に8年ほど工事をストップし、その間にリニア建設で細くなった財政基盤を回復させ、35年から工事再開、45年に大阪開通というもの。だが、安倍首相は財投による3兆円を品川-名古屋間の建設に投入すれば、名古屋-大阪間の竣工(しゅんこう)を最大8年前倒しして、37年には開通できるとの見込みを発表したのだ。

その3兆円の融資の内訳を見ると、「返済は30年据え置き」(通例5年)、「返還期間は10年」「利子0.6~0.8%」(一般的な銀行融資は3%前後)、そして「無担保」という“超”がつくほどの好条件である。

財投はひと言でいうなら「公的資金」。税金ではない。「国債」(財投債)を利用した大型事業への資金集めの仕組みだ。

流れとしては、「財務省が国債を発行する」→「金融機関が国債を購入する」→「財務省は、得た資金を政府系の特殊法人である『財投機関』(全35組織)に融資する」となる。15年度にはこの制度で約11兆円が財投機関に融資されている。

財投はその巨額さから、「第二の国家予算」と呼ばれ、政策的見地から財投機関に融資されてきた。民間企業では対応が困難な大規模プロジェクトをサポートすることが目的であり、財投機関はまさしくそれを実施する組織だ。

例えば、もんじゅを建設した「日本原子力研究開発機構」、高速道路を建設した「旧・日本道路公団」、長良川河口堰(ぜき)を建設した「水資源機構」や、東京湾横断道路(アクアライン)を建設した「東京湾横断道路」などに融資してきた。だが、JR東海は、財投による融資を受けられる財投機関ではない。

では、JR東海への3兆円融資はどうやって行なわれたのか。カラクリはこうだ。

JR各社の新幹線を建設する「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(以下、支援機構)という独立行政法人がある。実はこの支援機構が財投機関なのだが、この金融機関ではない組織に融資機能を持たせ、支援機構経由でJR東海にリニア建設資金の融資を可能にする「鉄道建設・運輸施設整備支援機構法」の改正を行なったのだ。

その動きは早かった。昨年10月26日と11月10日、衆参両院の国土交通委員会で法改正が審議され、即日可決。本会議でも可決されると、さっそく11月29日に、支援機構はJR東海に5千億円を融資した。以降、今年1月、3月と5月にもそれぞれ5千億円ずつ融資され、今後7月と9月にも5千億円ずつ融資予定で、計3兆円の投入が実現する。まさにリニア並みのスピード融資である。

ちなみに、筆者は衆議院の審議を傍聴したのだが、「自己資金」から「公的資金」へと方針が真逆に変わったことについて、「リニア建設の大前提が崩れた」と切り込んだのは共産党議員だけ。審議は即日可決した。

条件もプロセスも、すべてが異例のこの3兆円融資について、支援機構の広報部に聞いた。

―なぜ3兆円もの巨額を無担保で融資できたのか?

「融資とは必ずしも担保がないからできないというものではありません」

―でも、JR東海が返済不能に陥ったらどうする?

「返済が怪しくなったら、そのときに担保を検討します」

一般の金融機関ではまずありえない見解だ。

■建設費は当初予定の9兆円から増える!?

前述した昨年6月1日の安倍首相の「財投活用」会見を受け、同日、JR東海の柘植康英(つげ・こうえい)社長は「総理よりリニア名古屋-大阪間の早期開業を支援するご発言があり、大変ありがたい」と記者会見で歓迎の意を示した。

これには環境・騒音などの問題からリニア建設に反対する計画沿線の市民団体から「大丈夫か」と不安の声が上がった。

というのも、JR東海は07年に「自己資金で建設」と公表し、国交省も「JR東海の資金繰りに問題ない」と判断し、同社に対して、建設に必要な環境アセスメント(環境影響評価)の手続きに入ることを指示。それを受け、JR東海は手続きのひとつとして、各地で約150回の住民説明会を開催し、「政府の援助は受けず、自己資金で建設」と明言していたからだ。そうして14年10月、国交省はリニア計画を事業認可している。

「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」の天野捷一共同代表はこう疑問を投げかける。

「事業認可後に、トップが3兆円もの公的資金を歓迎するなんて、『自己資金でやる』との前提で進めてきた手続きをすべて無にするものです」

トンネルを掘る際に出る残土の処分先のめどが立たず、いまだ本格着工に至っていないリニアの現状を見れば、工費はかさみ、さらなる公的資金投入が必要になるかもしれない。そもそもJR東海の見込みが甘すぎだったのではないか。そんないいかげんな事業計画にもかかわらず、環境面への影響はまったくないといわれても信用するのは難しい、というわけだ。

もともと市民団体は、リニアの建設費が9兆円では済まないと予想していたという。

「大型公共事業が当初予算で竣工した事例はほとんどないです。例えば、上越新幹線は当初の建設費約4800億円が3倍以上の約1兆7千億円で、東北新幹線も約1兆8千億円の予定が倍の約3兆6千億円で竣工しました。リニアはその86%がトンネルで難工事が予想され、工期が延びて工費がかさむ可能性が大です」(天野氏)

天野氏ら市民団体は13年以降、何度も国交省と交渉し、筆者が覚えているだけでも3回、「資金ショートしたら国税投入するのか?」と質問している。その都度、国交省は「ありえるとも、ありえないとも言えない」と含みのある回答をした。

今年4月、JR東海は山梨県内で進めているトンネル工事で排出される残土の「8割の処分先が未定」と公表。処分先が決まらず工期が延びれば当然、工費がかさむ可能性がある

今年4月、JR東海は山梨県内で進めているトンネル工事で排出される残土の「8割の処分先が未定」と公表。処分先が決まらず工期が延びれば当然、工費がかさむ可能性がある

JR東海3

フタを開けると、国税ではなく財投の発動となったが、財投と税金は無縁ではない。

財投の事業が赤字だと、その返済は税金で補ってきたからだ。一例を挙げれば、JRの前身「国鉄」の負債28兆円や、国有林の管理会社「国有林野事業特別会計」の負債4兆円を税金で補った前例がある。

そして、利子が0.6~0.8%と安いが、建設中に資金ショートした場合はどうなるのか。再び兆単位の財投を発動させるのか。これを支援機構に問うと、「ケース・バイ・ケースです」と回答された。

さらにもうひとつ。

13年9月、JR東海の山田佳臣(よしおみ)社長(現会長)は記者会見でこう公言している。

「リニアは絶対ペイしません」

それでも、JR東海は「東海道新幹線とリニアを合わせて、乗客は1.5倍になるから採算性がある」と説明するが、アラバマ大学名誉教授で、著書に『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』がある橋山禮治郎(れいじろう)さんは「国民にツケが回る」と指摘する。

「リニアの乗客が増えても、多くは東海道新幹線の乗客が移るだけ。採算性は国会で徹底議論すべきです。でないと、国民が負担を背負うことになりかねない」(橋山氏)

もし、JR東海が財投を返済できず、3兆円を国税負担することになったりすれば、国民ひとり当たり3万円の負担。建設費がかさめばそれ以上になる。

トップ自らが認めた「ペイしない事業」を十分な議論や検証もなく推進するこの体制は、今後も立ち止まることはないのだろうか。

(取材・文・撮影/樫田秀樹)

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「テロ等準備罪」を新設 する改正組織犯罪処罰法、公明両党などの賛成多数 で可決、成立

2017年06月15日 15時48分20秒 | 政治
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   今日のNews
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●犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設
  する改正組織犯罪処罰法が、15日朝の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数
  で可決、成立した。民進、共産両党などは廃案を求めて強く反発し、内閣不信任決
  議案を衆院に出すなど抵抗したが、与党側は参院法務委員会での採決を省略する
  異例の手続きで押し切った。
       日本経済新聞 2016年3月15日
   __________
   佐々木の視点・考え方
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
★2013年に「東京はいまも2020年を迎えても世界有数の安全な都市」と言った人が
 「共謀罪を成立させなければ国際的組織犯罪防止(TOC)条約に加盟できない、TOC
 条約を締結できなければ五輪は開けない」と言を変えて上記法案を成立させた。

 尚、TOCの立法ガイド執筆者は「条約そのものは、プライバシーの侵害につながる
 捜査手法の導入を求めていない」「新たな法案などの導入を正当化するために条約
 が利用されてはならない」と日本政府を非難している。

 最大の問題は、衆議院で法案提出者が嘘を並べ立てた上で採決し、緊急時にのみ
 適用される「参議院での審議省略」で法案成立させたこと。つまり、国民の99%
 以上が、この法案がどんなものか知らない事。

 世界の民主主義の始まりは、13世紀にイギリス議会が出来た後も王がマグナカルタ
 を守らなかった事から、王及び議会が、国民に対して自らの政策や事実を国民に
 説明する責任(アカウンタビリティ)があることを認めてからだ。

 責任という意味のレスポンシビリティ(responsibility)と言う語は、責任の範囲や
 責任を果たしたかは自分が決める性格であるのに対し、アカウンタビリティは、相手
 方が責任の範囲や責任を果たしたかどうかを決める性格のもの。
 つまり、人は授権されたものに対して、神に対する申し開きをする最後の審判のよう
 に重い意味を持つ性格のもの。

 アカウンタビリティを発揮しない議会を持つ国は、それがタテマエは民主制であって
 もその実相は民主制ではない。
 だからこそ、もりやかけなど、蕎麦にいる近い人のみが優先されるのだろう。

 今朝の行動で、与党がどのような考えを持ち、どう動くのかをあなたは理解された。

 その目で与党改憲草案をお読みいただきたい。http://constitution.jimin.jp/draft/
 9条に項目を加えるとか、教育の問題が些末な話題だと気付くことだろう。

 ある日突然、国防軍最高司令長官の内閣総理大臣が、緊急事態宣言し、選挙を停止し
 今の議員のままの国会が永久に続き、国会無用で内閣が自由に法律を施行できるのが
 草案の最大無二の柱。(9条2項、98条、99条参照)

 独裁制、王制が、国民がアカウンタビリティ欠如に無関心の内に誕生する。
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著名投資家のジム・ロジャーズが「北朝鮮の内部崩壊」を確信するワケ=東条雅彦

2017年05月14日 21時29分56秒 | 政治

北朝鮮と米国の軍事衝突リスクが高まっています。識者の中には、北朝鮮は米国の外圧によって潰されると予測する人もいます。これは「外部崩壊」となります。

一方、世界三大投資家のひとりジム・ロジャーズが予測しているのは、北朝鮮の「内部崩壊」です。ロジャーズは前々から、北朝鮮と韓国が統一されることを予測し、「北朝鮮は国を開きかけている」と指摘していました。

北朝鮮は国内の情報を外部になかなか出さないので、内部で何が起きているのか、私たちが正確に把握するのは困難です。そこで本稿では「国家によるIT活用」の観点から、ロジャーズが指摘する「開国」のわずかな兆候と、北朝鮮の意外な実態を追ってみましょう。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)

ジム・ロジャーズは、体制崩壊後の北朝鮮に何を見ているのか?

現行体制の「崩壊」は揺るがず、問題はそのプロセスだ

かつてジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを共同で立ち上げ、巨額の利益を稼ぎ出した著名投資家のジム・ロジャーズ。彼は前々から、北朝鮮が今後大きく発展していくことを予見していました。2007年に初めて北朝鮮を訪れ、実際に起きている変化を目の当たりにして、この国は近い将来、大きく変化すると確信したのです。

ジム・ロジャーズ 出典: Wikimedia Commons

ジム・ロジャーズ
出典: Wikimedia Commons

2015年5月5日、CNNマネーとのインタビューで、次のように述べています。

「可能であれば、持っているお金すべてを(北朝鮮に)投資したい

「金正恩(キム・ジョンウン)の父や祖父の代なら、絶対投資しないだろう。毛沢東時代の中国なら中国に投資しないと同じことだ」

「しかし、毛はこの世を去り、鄧小平が大きな変化をもたらした。北朝鮮では大きな変化が起きている。その子(金正恩北朝鮮労働党第一書記)が驚くべき変化を作りだしている」

出典:世界有数の投資家ジム・ロジャーズ氏「北朝鮮に全財産投資したい」

また、ロジャーズは2017年3月5日、『The Korean Times』のインタビューで、北朝鮮は内部崩壊して、南北統一が近づいていると答えています。

2017年4月に入り、核開発を推し進める北朝鮮に対して、米国が「待った」をかけました。現在、北朝鮮は米国と軍事衝突する一歩手前まで来ています。この動向はどうなるかわかりません。

ロジャーズは、北朝鮮が内部崩壊する可能性について言及していますが、もしかすると、米国によって外部崩壊するかもしれません。

いずれにしても、北朝鮮の現体制は崩壊する方向であることには違いありません。

ジム・ロジャーズが語った北朝鮮の内部崩壊シナリオ

前述の『The Korean Times』の中で、ロジャーズは次のように語っています。

金正恩の後継者がいなければ、内部から倒れるかもしれません。ソビエト連邦は内部から崩壊した。東ドイツも内部から崩壊した。人々が外界に晒されたからです。

現在、北朝鮮は外界に晒されています。2017年、北朝鮮は違う。北朝鮮の人々は中国では物事がはるかに良くなっていることを知っています。彼らは韓国人が貧乏で飢えていると思っていましたが、今はよく知っています。10年前、彼らは知らなかった。人々の期待が高まると、革命が起こる

近年、中国からの来訪者が北朝鮮を訪れるようになり、北朝鮮の人々は、周りの国で何が起きているのかを明確に意識するようになったと言います。

2014年6月14日、ロイターは、「北朝鮮観光ブーム、相次ぐ拘束にも米国人旅行者が増加」と報じています。

北朝鮮政府は観光客数を公表していないので、正確な数字はわかりません。

旅行代理店の推計では、欧米からの旅行者は年間6,000人に上り、10年前の700人から大幅に増加しているそうです。

こういう報道が出ること自体、金正恩が指導者になってから、少しずつ「開かれた国」になりつつある証拠です。

確実に「開かれた国」になりつつある北朝鮮

ロジャーズは「(北朝鮮の)人々が外界に晒された」ことが、内部崩壊につながると分析しています。

その客観的な証拠を1つ示せるとしたら、貿易額の急増です。

北朝鮮側は貿易額の情報を公開していませんが、相手国の輸入額と輸出額から判明しています。特に2011年頃から急増しています。

<北朝鮮 貿易額の推移(1985年~2015年)>

金正恩は、2010年に父・金正日から後継者に指名されています。その翌年の2011年に、北朝鮮の最高指導者に就任しました。

金正恩時代になって、北朝鮮は「開かれた国」になりつつあります。貿易する際に、海外の人と連絡を取り合ったり話したりして、交流する機会が増えます。

貿易相手国としては中国がトップを占め、貿易額全体の9割を占めています。北朝鮮の人々は、豊かになっていく中国を目の当たりにしてきたのです。

北朝鮮での「スマホ大流行」は何を意味するか?

ニューズウィーク日本版2016年3月17日の記事によると、北朝鮮では携帯電話がすでに370万台以上普及しているそうです。

人口がおおよそ2500万人で世帯数は約600万なので、単純計算で2世帯に1台以上の普及率です。

近年は携帯電話からスマホに移行しつつある時期で、首都の平壌ではスマホを使っている人を見かけるのは特に珍しい光景ではないとのことです。

販売されているスマホは、『Arirangシリーズ』と『Pyongyangシリーズ』という北朝鮮特別仕様のブランドです。インターネットには接続できないものの、イントラネット(北朝鮮内で閉じられたネットワーク)には接続できます。

北朝鮮の人々は、これでニュースを見たり、料理レシピを見たり、ゲームを楽しんだり、様々な用途で利用しています。

「IT推進」という北朝鮮崩壊の種はすでに蒔かれている

北朝鮮はかつて、世界で唯一インターネットに接続していない国とまで言われていました。しかし、金正恩体制になってから、積極的にIT事業を推進するようになりました。

国内向けには、「光明(クァンミョン)」と呼ばれるイントラネットが整備されています。回線速度は100Mbpsで、中国のチャイナテレコムと平壌電話局が共同で運営しています。

このイントラネット「光明」に接続すると、労働新聞などのニュースサイト、ショッピングサイト、電子掲示板、チャット、電子図書館、電子メール、ゲームサイト、検索エンジンなどが利用できます。

世界中の情報にアクセスできるのがインターネットで、決められた範囲の情報にしかアクセスできないのがイントラネットです。

でも、イントラネットを利用する際はインターネットと同じように、パソコンやスマホでブウラザを起動して情報を受発信します。

北朝鮮の人々がITを活用して、日常生活に役立つ情報を得るという点では、すでに十分なプラットフォームが整備されているのです。

イントラネットを通じて、北朝鮮の人同士による情報交換が日々、行われています。情報が北朝鮮国民の間で一気に拡散される土壌は、すでにできあがっているのです。

もし「北朝鮮以外の大半の国々は、民主主義と自由な経済活動の下で、年々生活が豊かになっていっている」という情報が、北朝鮮国民の間で拡散されてしまえば、それは体制崩壊に繋がります。

ジム・ロジャーズが指摘しているのはこのことです。

人民大学習堂(北朝鮮の図書館)でイントラネットを利用する人々 出典:Wikimedia Commons

人民大学習堂(北朝鮮の図書館)でイントラネットを利用する人々
出典:Wikimedia Commons

北朝鮮のインターネットサイト、その実態に迫る

インターネットのURLには、国や地域毎に「ドメイン」と呼ばれるネット上の住所が割り当てられています。

<例>

us=アメリカ
uk=イギリス
fr=フランス
ru=ロシア
jp=日本
cn=中国
kr=韓国
kp=北朝鮮

今まで、北朝鮮ドメイン「.kp」上に存在しているウェブサイトの実体は謎に包まれていました。

ところが、2016年9月18日に一部のDNSサーバーがグローバルに解放されたことで、その実態の一端が明らかになりました。

意図的に公開されたのか、何らかのトラブルで公開されてしまったのかは不明です。

その「.kp」ドメインにどんなサイトがあるのか、一部、ご紹介しましょう。

<朝鮮料理(Korean Dishes)>

レシピを紹介している料理サイトです。かなり丁寧に作り込まれています。北朝鮮料理のバリエーションがわかります。
http://cooks.org.kp/ )

<朝鮮スポーツ(Sports Chosun)>

こちらはスポーツニュースサイトです。
http://sdprk.org.kp/index.php )

<朝鮮中央通信(Korean Central News Agency)>

同国の国営通信社にして、最大の報道機関です。世界各地の報道機関にニュースを配信しています。英語、中国語、スペイン語、日本語版もあります。
http://kcna.kp/ )

<国際青少年旅行社(Korean International Youth and Children’s Travel Company)>

国営旅行会社のホームページです。このサイトでは、北朝鮮国内の様々な観光スポットが紹介されています。
http://kiyctc.com.kp/ )

ちなみに、ジム・ロジャーズは著書『冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート』(出版:2013年5月22日)の中で、北朝鮮の観光について次のように述べています。

北朝鮮では観光に投資チャンスがあるはずだと私は見ている。人口はわずか2500万人なので、彼らの海外旅行が一大ブームになることはないだろうが、韓国人の北朝鮮旅行は大きなブームになると思う。

ツッコミどころも満載!? 公式サイトで「外資企業誘致」に動く北朝鮮

北朝鮮政府は、2001年頃から自国の公式サイトを作って全世界に公開しています。

この公式サイトは北朝鮮ドメイン「.kp」ではなく、世界の誰でも登録可能なドメイン「.com」になります。先ほどの「.kp」ドメインのサイト群とは違って、海外の人たちに見てもらうことを前提に作られています。

<北朝鮮公式サイト>

北朝鮮の公式サイト。実は企業誘致も行っている。
http://www.korea-dpr.com/ )

意外に思われるかもしれませんが、北朝鮮は、この公式サイトの中で他国に対して企業誘致を呼びかけています。

メニューの「Business」をクリックすると、以下のページが表示されます。ここでは、北朝鮮でビジネスをするメリットが7つ挙げられています。

「北朝鮮でビジネスをやるべき7つのメリット」

「北朝鮮でビジネスをやるべき7つのメリット」

ところどころ、思わずツッコミたくなるようなメリットも堂々と書いていますが、その一方で納得してしまうメリットもあります。日本語に訳すと、次の通りです。

<北朝鮮のビジネス>

北朝鮮の朝鮮民主主義人民共和国(DPR)は、今後数年間、北東アジアでの取引の最も重要な拠点になるでしょう。

アジアで最低の労働コスト
優れた資格を持ち、忠実でモチベーションの高い人材。教育、住宅、保健サービスはすべての市民に無料で提供されています。他のアジア諸国とは対照的に、労働者は一度訓練されれば、より高い給料のために、自分たちのポジションを放棄しません。

アジアにおける最低税制
ハイテク工場の場合、最初の2年間の税金を控除します。

中間代理人はいない
すべての事業は政府(国営企業)とともに直接、作ります。

安定している
腐敗のない堅固な安全保障と、非常に安定した政治システムを持つ政府を有しています。

完全な外交関係
ほとんどのEU加盟国や多くの国と外交があります。

新しい市場
ビジネスの多くの領域と製品について、独占的な流通(唯一の流通)を確保します。

透明な法的手続き
投資家のための法的手続き、知的財産権、特許が整備されています。

もしあなたが、北朝鮮の貿易広報を受け取りたいのであれば、あなたの名前、役職、会社名を明記の上、件名を「SUBSCRIBE TRADE」として、こちら宛に電子メールを送ってください。

南北統一後は日本の強力なライバルに?

ジム・ロジャーズは、北朝鮮の「安い労働力と天然資源」に注目しています。これに関して、著書『ストリート・スマート』では、次のように述べています。

北朝鮮と韓国が統一されれば、日本にとって巨大なライバルが出現することになる。今の韓国よりもはるかに手ごわい相手になるはずだ。中国と国境を接する場所に7500~8000万人の国が出現する。北には訓練された安い労働力と天然資源があり、南にはたっぷりの資本と専門知識、そして優れたマネージメント力がある。

科学技術の向上と国民のITリテラシー向上はトレードオフ

現在、北朝鮮は米国の本土を核攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を急いでいます。北朝鮮は、科学技術の獲得にとても大きな野心を持っています。

一方、北朝鮮では、インターネットに接続できるのは一部の機関、幹部や長期滞在の外国人だけに限定されています。一般の国民がインターネットに接続することを原則、禁じているのです。

このことは、国民のITリテラシーを向上させるという点では大きなマイナスになっています。海外の科学技術を収集するのに、外部にアクセスできないのは致命的です。調べたら1秒でわかることなのに、図書館に行って、本を探して情報を収集するのはナンセンスです。

近い将来、北朝鮮も中国のようにネット上の情報規制を行いながら、インターネットを解禁する日が来る可能性が高いと言えます。

その時に初めて、お隣の韓国がいかに経済発展を遂げたのかを、本当の意味で知ることになります。

東ドイツの人々がベルリンの壁を破壊したのは、西ドイツの人々が自分たちよりも遙かに豊かだったからでした。

ジム・ロジャーズは、北朝鮮でもドイツと同じことが起きる可能性が高いと予測しています。

北朝鮮の「崩壊」は、ほぼ確定的だ

米国は北朝鮮の核開発停止を求め、強硬な姿勢で挑んでいます。もし、それを無視して北朝鮮が核開発を推し進めるのなら、米国は予防的に北朝鮮を先制攻撃するかもしれません。

本当に北朝鮮と米国が軍事衝突するかどうかは、識者の中でも意見の分かれるところです。この場合、同盟国である日本も無傷ですむ保証はありません。

一方、それとは対照的にロジャーズは、以前より「内部崩壊」を予見していました。

<外部崩壊>

米国と北朝鮮が軍事衝突して、今の金正恩体制が崩壊する。

<内部崩壊>

ITリテラシーの向上に伴い情報が拡散し、真実を知った北朝鮮国民が立ち上がり、金正恩体制が崩壊する。

ロジャーズは、著書『ストリート・スマート』で、次のように述べています。

北朝鮮の最高指導者、金正恩はスイスの私立学校で教育を受けた人物である。

人格形成期をヨーロッパで過ごした30歳の男が祖国に帰り、「僕はここが気に入った。バーも娯楽も車もない。何もないからね」などと言うはずがない

金正恩も高官たちも外の世界にふれたことがあり、外で何が起こっているのかを知っている。だからこそ、北朝鮮は国を開きかけているのだと私は見ている。

このジム・ロジャーズの見通しも含めて考えると、外部崩壊であれ内部崩壊であれ、「北朝鮮は現在の体制を維持できなくなる」という未来は変えられそうにありません。

北朝鮮は核実験をやるのか?やらないのか?

北朝鮮が6回目の核実験に踏み切るのかどうか、とても注目されています。

<スケジュール>

4月25日:朝鮮人民軍の創設85周年
4月27日:新月

4月20日、米国は特殊観測機「WC135」を飛ばして、核実験で放出される放射線物質を収集しようとしています。
(出典:米軍の特殊観測機 韓国上空に緊急出動

また、4月24日現在、米国の原子力空母カール・ヴィンソンは日本海にいて、日本の海上自衛隊と共同訓練を実施しています。
(出典:海上自衛隊が米空母カールビンソンと共同訓練開始

北朝鮮が近日中に核実験に踏み切れば、米国は先制攻撃するでしょう。

金正恩(キム・ジョンウン)氏の行動はもはや予想不可能です。朝鮮中央通信を読む限り、強気の姿勢を崩しておらず、予定通り、強行するかもしれません。

「朝鮮中央通信」はkpドメインの方が情報量豊富

先にご紹介した「朝鮮中央通信」( http://kcna.kp/ )に掲載されている、気になる記事をいくつかピックアップしてみます。

この「kpドメイン」のサイトは、基本的には北朝鮮にいる国民に向けて情報を発信するためのものです。

Googleで「朝鮮中央通信」を検索すると、 http://www.kcna.co.jp/index-e.htm が先にヒットしてしまいますが、情報量としては、日本ドメイン(jpドメイン)よりも、北朝鮮ドメイン(kpドメイン)の方が豊富です。

北朝鮮ドメインのサイトを開くと、「朝鮮中央通信」の画面右側に「日本語」のボタンがあるので、ここをクリックすると、日本語に翻訳されたニュースが読めます。

キーワード「米国」で検索すると、5つの記事がヒット

最新ニュースをキーワード「米国」で検索すると、5つの記事がヒットします。

<「米国」関連の最新記事タイトル>

(4月21日)
・米国の全面戦争には全面戦争で、核戦争には朝鮮式の核打撃戦で対応する

(4月22日)
・米国は朝鮮の戦略的地位を直視して分別のある行動を取るべきだ
・米国の挑発には正義の祖国統一大戦で応える
・米国と南朝鮮かいらい保守一味の核戦争策動を粉砕する

(4月23日)
・最後の墓が米国を待つ

どれもこれも物騒な記事ばかりになっています。

1番目の「全面戦争には全面戦争で対応する」(4/21)は日本のマスコミでも報じられたので、知っている人も多いと思いますが、最新の記事「最後の墓が米国を待つ」(4/23)では、核攻撃で対応することを強く主張しており、21日の記事よりも、少しヒートアップしているようにも感じます。

まとめ

北朝鮮は、自国に対してちょっとでも攻撃や領海侵犯があれば、核攻撃を辞さないと繰り返し警告しています。一方、米国は北朝鮮が6回目の核実験を行えば、先制攻撃も辞さないと主張しています。両者の妥協点は今のところ、見つかっていません。

<米国>

北朝鮮が6回目の核実験を実施したら、先制攻撃する

<北朝鮮>

米国が少しでも自国に手を出したら、核攻撃を実施する

中国が北朝鮮を説得しきるというのが一番、平和的な決着に見えますが、現時点ではあまり期待できません。

私たち日本人が安全保障上、気にしなければいけないのは、いつ米国と北朝鮮が軍事衝突するかという点です。

米国が北朝鮮を攻撃するなら、その前に韓国にいる在韓米軍の家族を先に避難させると言われています。米国が在韓米軍の家族に避難命令を出したら、攻撃開始はほぼ確定的でしょう。

今は、そのギリギリのところで踏みとどまっています。今日または明日に、北朝鮮が6回目の核実験を踏み切るかどうか、要注意です。

コメント

著名投資家のジム・ロジャーズが「北朝鮮の内部崩壊」を確信するワケ=東条雅彦

2017年05月14日 21時29分56秒 | 政治

北朝鮮と米国の軍事衝突リスクが高まっています。識者の中には、北朝鮮は米国の外圧によって潰されると予測する人もいます。これは「外部崩壊」となります。

一方、世界三大投資家のひとりジム・ロジャーズが予測しているのは、北朝鮮の「内部崩壊」です。ロジャーズは前々から、北朝鮮と韓国が統一されることを予測し、「北朝鮮は国を開きかけている」と指摘していました。

北朝鮮は国内の情報を外部になかなか出さないので、内部で何が起きているのか、私たちが正確に把握するのは困難です。そこで本稿では「国家によるIT活用」の観点から、ロジャーズが指摘する「開国」のわずかな兆候と、北朝鮮の意外な実態を追ってみましょう。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)

ジム・ロジャーズは、体制崩壊後の北朝鮮に何を見ているのか?

現行体制の「崩壊」は揺るがず、問題はそのプロセスだ

かつてジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを共同で立ち上げ、巨額の利益を稼ぎ出した著名投資家のジム・ロジャーズ。彼は前々から、北朝鮮が今後大きく発展していくことを予見していました。2007年に初めて北朝鮮を訪れ、実際に起きている変化を目の当たりにして、この国は近い将来、大きく変化すると確信したのです。

ジム・ロジャーズ 出典: Wikimedia Commons

ジム・ロジャーズ
出典: Wikimedia Commons

2015年5月5日、CNNマネーとのインタビューで、次のように述べています。

「可能であれば、持っているお金すべてを(北朝鮮に)投資したい

「金正恩(キム・ジョンウン)の父や祖父の代なら、絶対投資しないだろう。毛沢東時代の中国なら中国に投資しないと同じことだ」

「しかし、毛はこの世を去り、鄧小平が大きな変化をもたらした。北朝鮮では大きな変化が起きている。その子(金正恩北朝鮮労働党第一書記)が驚くべき変化を作りだしている」

出典:世界有数の投資家ジム・ロジャーズ氏「北朝鮮に全財産投資したい」

また、ロジャーズは2017年3月5日、『The Korean Times』のインタビューで、北朝鮮は内部崩壊して、南北統一が近づいていると答えています。

2017年4月に入り、核開発を推し進める北朝鮮に対して、米国が「待った」をかけました。現在、北朝鮮は米国と軍事衝突する一歩手前まで来ています。この動向はどうなるかわかりません。

ロジャーズは、北朝鮮が内部崩壊する可能性について言及していますが、もしかすると、米国によって外部崩壊するかもしれません。

いずれにしても、北朝鮮の現体制は崩壊する方向であることには違いありません。

ジム・ロジャーズが語った北朝鮮の内部崩壊シナリオ

前述の『The Korean Times』の中で、ロジャーズは次のように語っています。

金正恩の後継者がいなければ、内部から倒れるかもしれません。ソビエト連邦は内部から崩壊した。東ドイツも内部から崩壊した。人々が外界に晒されたからです。

現在、北朝鮮は外界に晒されています。2017年、北朝鮮は違う。北朝鮮の人々は中国では物事がはるかに良くなっていることを知っています。彼らは韓国人が貧乏で飢えていると思っていましたが、今はよく知っています。10年前、彼らは知らなかった。人々の期待が高まると、革命が起こる

近年、中国からの来訪者が北朝鮮を訪れるようになり、北朝鮮の人々は、周りの国で何が起きているのかを明確に意識するようになったと言います。

2014年6月14日、ロイターは、「北朝鮮観光ブーム、相次ぐ拘束にも米国人旅行者が増加」と報じています。

北朝鮮政府は観光客数を公表していないので、正確な数字はわかりません。

旅行代理店の推計では、欧米からの旅行者は年間6,000人に上り、10年前の700人から大幅に増加しているそうです。

こういう報道が出ること自体、金正恩が指導者になってから、少しずつ「開かれた国」になりつつある証拠です。

確実に「開かれた国」になりつつある北朝鮮

ロジャーズは「(北朝鮮の)人々が外界に晒された」ことが、内部崩壊につながると分析しています。

その客観的な証拠を1つ示せるとしたら、貿易額の急増です。

北朝鮮側は貿易額の情報を公開していませんが、相手国の輸入額と輸出額から判明しています。特に2011年頃から急増しています。

<北朝鮮 貿易額の推移(1985年~2015年)>

金正恩は、2010年に父・金正日から後継者に指名されています。その翌年の2011年に、北朝鮮の最高指導者に就任しました。

金正恩時代になって、北朝鮮は「開かれた国」になりつつあります。貿易する際に、海外の人と連絡を取り合ったり話したりして、交流する機会が増えます。

貿易相手国としては中国がトップを占め、貿易額全体の9割を占めています。北朝鮮の人々は、豊かになっていく中国を目の当たりにしてきたのです。

北朝鮮での「スマホ大流行」は何を意味するか?

ニューズウィーク日本版2016年3月17日の記事によると、北朝鮮では携帯電話がすでに370万台以上普及しているそうです。

人口がおおよそ2500万人で世帯数は約600万なので、単純計算で2世帯に1台以上の普及率です。

近年は携帯電話からスマホに移行しつつある時期で、首都の平壌ではスマホを使っている人を見かけるのは特に珍しい光景ではないとのことです。

販売されているスマホは、『Arirangシリーズ』と『Pyongyangシリーズ』という北朝鮮特別仕様のブランドです。インターネットには接続できないものの、イントラネット(北朝鮮内で閉じられたネットワーク)には接続できます。

北朝鮮の人々は、これでニュースを見たり、料理レシピを見たり、ゲームを楽しんだり、様々な用途で利用しています。

「IT推進」という北朝鮮崩壊の種はすでに蒔かれている

北朝鮮はかつて、世界で唯一インターネットに接続していない国とまで言われていました。しかし、金正恩体制になってから、積極的にIT事業を推進するようになりました。

国内向けには、「光明(クァンミョン)」と呼ばれるイントラネットが整備されています。回線速度は100Mbpsで、中国のチャイナテレコムと平壌電話局が共同で運営しています。

このイントラネット「光明」に接続すると、労働新聞などのニュースサイト、ショッピングサイト、電子掲示板、チャット、電子図書館、電子メール、ゲームサイト、検索エンジンなどが利用できます。

世界中の情報にアクセスできるのがインターネットで、決められた範囲の情報にしかアクセスできないのがイントラネットです。

でも、イントラネットを利用する際はインターネットと同じように、パソコンやスマホでブウラザを起動して情報を受発信します。

北朝鮮の人々がITを活用して、日常生活に役立つ情報を得るという点では、すでに十分なプラットフォームが整備されているのです。

イントラネットを通じて、北朝鮮の人同士による情報交換が日々、行われています。情報が北朝鮮国民の間で一気に拡散される土壌は、すでにできあがっているのです。

もし「北朝鮮以外の大半の国々は、民主主義と自由な経済活動の下で、年々生活が豊かになっていっている」という情報が、北朝鮮国民の間で拡散されてしまえば、それは体制崩壊に繋がります。

ジム・ロジャーズが指摘しているのはこのことです。

人民大学習堂(北朝鮮の図書館)でイントラネットを利用する人々 出典:Wikimedia Commons

人民大学習堂(北朝鮮の図書館)でイントラネットを利用する人々
出典:Wikimedia Commons

北朝鮮のインターネットサイト、その実態に迫る

インターネットのURLには、国や地域毎に「ドメイン」と呼ばれるネット上の住所が割り当てられています。

<例>

us=アメリカ
uk=イギリス
fr=フランス
ru=ロシア
jp=日本
cn=中国
kr=韓国
kp=北朝鮮

今まで、北朝鮮ドメイン「.kp」上に存在しているウェブサイトの実体は謎に包まれていました。

ところが、2016年9月18日に一部のDNSサーバーがグローバルに解放されたことで、その実態の一端が明らかになりました。

意図的に公開されたのか、何らかのトラブルで公開されてしまったのかは不明です。

その「.kp」ドメインにどんなサイトがあるのか、一部、ご紹介しましょう。

<朝鮮料理(Korean Dishes)>

レシピを紹介している料理サイトです。かなり丁寧に作り込まれています。北朝鮮料理のバリエーションがわかります。
http://cooks.org.kp/ )

<朝鮮スポーツ(Sports Chosun)>

こちらはスポーツニュースサイトです。
http://sdprk.org.kp/index.php )

<朝鮮中央通信(Korean Central News Agency)>

同国の国営通信社にして、最大の報道機関です。世界各地の報道機関にニュースを配信しています。英語、中国語、スペイン語、日本語版もあります。
http://kcna.kp/ )

<国際青少年旅行社(Korean International Youth and Children’s Travel Company)>

国営旅行会社のホームページです。このサイトでは、北朝鮮国内の様々な観光スポットが紹介されています。
http://kiyctc.com.kp/ )

ちなみに、ジム・ロジャーズは著書『冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート』(出版:2013年5月22日)の中で、北朝鮮の観光について次のように述べています。

北朝鮮では観光に投資チャンスがあるはずだと私は見ている。人口はわずか2500万人なので、彼らの海外旅行が一大ブームになることはないだろうが、韓国人の北朝鮮旅行は大きなブームになると思う。

ツッコミどころも満載!? 公式サイトで「外資企業誘致」に動く北朝鮮

北朝鮮政府は、2001年頃から自国の公式サイトを作って全世界に公開しています。

この公式サイトは北朝鮮ドメイン「.kp」ではなく、世界の誰でも登録可能なドメイン「.com」になります。先ほどの「.kp」ドメインのサイト群とは違って、海外の人たちに見てもらうことを前提に作られています。

<北朝鮮公式サイト>

北朝鮮の公式サイト。実は企業誘致も行っている。
http://www.korea-dpr.com/ )

意外に思われるかもしれませんが、北朝鮮は、この公式サイトの中で他国に対して企業誘致を呼びかけています。

メニューの「Business」をクリックすると、以下のページが表示されます。ここでは、北朝鮮でビジネスをするメリットが7つ挙げられています。

「北朝鮮でビジネスをやるべき7つのメリット」

「北朝鮮でビジネスをやるべき7つのメリット」

ところどころ、思わずツッコミたくなるようなメリットも堂々と書いていますが、その一方で納得してしまうメリットもあります。日本語に訳すと、次の通りです。

<北朝鮮のビジネス>

北朝鮮の朝鮮民主主義人民共和国(DPR)は、今後数年間、北東アジアでの取引の最も重要な拠点になるでしょう。

アジアで最低の労働コスト
優れた資格を持ち、忠実でモチベーションの高い人材。教育、住宅、保健サービスはすべての市民に無料で提供されています。他のアジア諸国とは対照的に、労働者は一度訓練されれば、より高い給料のために、自分たちのポジションを放棄しません。

アジアにおける最低税制
ハイテク工場の場合、最初の2年間の税金を控除します。

中間代理人はいない
すべての事業は政府(国営企業)とともに直接、作ります。

安定している
腐敗のない堅固な安全保障と、非常に安定した政治システムを持つ政府を有しています。

完全な外交関係
ほとんどのEU加盟国や多くの国と外交があります。

新しい市場
ビジネスの多くの領域と製品について、独占的な流通(唯一の流通)を確保します。

透明な法的手続き
投資家のための法的手続き、知的財産権、特許が整備されています。

もしあなたが、北朝鮮の貿易広報を受け取りたいのであれば、あなたの名前、役職、会社名を明記の上、件名を「SUBSCRIBE TRADE」として、こちら宛に電子メールを送ってください。

南北統一後は日本の強力なライバルに?

ジム・ロジャーズは、北朝鮮の「安い労働力と天然資源」に注目しています。これに関して、著書『ストリート・スマート』では、次のように述べています。

北朝鮮と韓国が統一されれば、日本にとって巨大なライバルが出現することになる。今の韓国よりもはるかに手ごわい相手になるはずだ。中国と国境を接する場所に7500~8000万人の国が出現する。北には訓練された安い労働力と天然資源があり、南にはたっぷりの資本と専門知識、そして優れたマネージメント力がある。

科学技術の向上と国民のITリテラシー向上はトレードオフ

現在、北朝鮮は米国の本土を核攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を急いでいます。北朝鮮は、科学技術の獲得にとても大きな野心を持っています。

一方、北朝鮮では、インターネットに接続できるのは一部の機関、幹部や長期滞在の外国人だけに限定されています。一般の国民がインターネットに接続することを原則、禁じているのです。

このことは、国民のITリテラシーを向上させるという点では大きなマイナスになっています。海外の科学技術を収集するのに、外部にアクセスできないのは致命的です。調べたら1秒でわかることなのに、図書館に行って、本を探して情報を収集するのはナンセンスです。

近い将来、北朝鮮も中国のようにネット上の情報規制を行いながら、インターネットを解禁する日が来る可能性が高いと言えます。

その時に初めて、お隣の韓国がいかに経済発展を遂げたのかを、本当の意味で知ることになります。

東ドイツの人々がベルリンの壁を破壊したのは、西ドイツの人々が自分たちよりも遙かに豊かだったからでした。

ジム・ロジャーズは、北朝鮮でもドイツと同じことが起きる可能性が高いと予測しています。

北朝鮮の「崩壊」は、ほぼ確定的だ

米国は北朝鮮の核開発停止を求め、強硬な姿勢で挑んでいます。もし、それを無視して北朝鮮が核開発を推し進めるのなら、米国は予防的に北朝鮮を先制攻撃するかもしれません。

本当に北朝鮮と米国が軍事衝突するかどうかは、識者の中でも意見の分かれるところです。この場合、同盟国である日本も無傷ですむ保証はありません。

一方、それとは対照的にロジャーズは、以前より「内部崩壊」を予見していました。

<外部崩壊>

米国と北朝鮮が軍事衝突して、今の金正恩体制が崩壊する。

<内部崩壊>

ITリテラシーの向上に伴い情報が拡散し、真実を知った北朝鮮国民が立ち上がり、金正恩体制が崩壊する。

ロジャーズは、著書『ストリート・スマート』で、次のように述べています。

北朝鮮の最高指導者、金正恩はスイスの私立学校で教育を受けた人物である。

人格形成期をヨーロッパで過ごした30歳の男が祖国に帰り、「僕はここが気に入った。バーも娯楽も車もない。何もないからね」などと言うはずがない

金正恩も高官たちも外の世界にふれたことがあり、外で何が起こっているのかを知っている。だからこそ、北朝鮮は国を開きかけているのだと私は見ている。

このジム・ロジャーズの見通しも含めて考えると、外部崩壊であれ内部崩壊であれ、「北朝鮮は現在の体制を維持できなくなる」という未来は変えられそうにありません。

北朝鮮は核実験をやるのか?やらないのか?

北朝鮮が6回目の核実験に踏み切るのかどうか、とても注目されています。

<スケジュール>

4月25日:朝鮮人民軍の創設85周年
4月27日:新月

4月20日、米国は特殊観測機「WC135」を飛ばして、核実験で放出される放射線物質を収集しようとしています。
(出典:米軍の特殊観測機 韓国上空に緊急出動

また、4月24日現在、米国の原子力空母カール・ヴィンソンは日本海にいて、日本の海上自衛隊と共同訓練を実施しています。
(出典:海上自衛隊が米空母カールビンソンと共同訓練開始

北朝鮮が近日中に核実験に踏み切れば、米国は先制攻撃するでしょう。

金正恩(キム・ジョンウン)氏の行動はもはや予想不可能です。朝鮮中央通信を読む限り、強気の姿勢を崩しておらず、予定通り、強行するかもしれません。

「朝鮮中央通信」はkpドメインの方が情報量豊富

先にご紹介した「朝鮮中央通信」( http://kcna.kp/ )に掲載されている、気になる記事をいくつかピックアップしてみます。

この「kpドメイン」のサイトは、基本的には北朝鮮にいる国民に向けて情報を発信するためのものです。

Googleで「朝鮮中央通信」を検索すると、 http://www.kcna.co.jp/index-e.htm が先にヒットしてしまいますが、情報量としては、日本ドメイン(jpドメイン)よりも、北朝鮮ドメイン(kpドメイン)の方が豊富です。

北朝鮮ドメインのサイトを開くと、「朝鮮中央通信」の画面右側に「日本語」のボタンがあるので、ここをクリックすると、日本語に翻訳されたニュースが読めます。

キーワード「米国」で検索すると、5つの記事がヒット

最新ニュースをキーワード「米国」で検索すると、5つの記事がヒットします。

<「米国」関連の最新記事タイトル>

(4月21日)
・米国の全面戦争には全面戦争で、核戦争には朝鮮式の核打撃戦で対応する

(4月22日)
・米国は朝鮮の戦略的地位を直視して分別のある行動を取るべきだ
・米国の挑発には正義の祖国統一大戦で応える
・米国と南朝鮮かいらい保守一味の核戦争策動を粉砕する

(4月23日)
・最後の墓が米国を待つ

どれもこれも物騒な記事ばかりになっています。

1番目の「全面戦争には全面戦争で対応する」(4/21)は日本のマスコミでも報じられたので、知っている人も多いと思いますが、最新の記事「最後の墓が米国を待つ」(4/23)では、核攻撃で対応することを強く主張しており、21日の記事よりも、少しヒートアップしているようにも感じます。

まとめ

北朝鮮は、自国に対してちょっとでも攻撃や領海侵犯があれば、核攻撃を辞さないと繰り返し警告しています。一方、米国は北朝鮮が6回目の核実験を行えば、先制攻撃も辞さないと主張しています。両者の妥協点は今のところ、見つかっていません。

<米国>

北朝鮮が6回目の核実験を実施したら、先制攻撃する

<北朝鮮>

米国が少しでも自国に手を出したら、核攻撃を実施する

中国が北朝鮮を説得しきるというのが一番、平和的な決着に見えますが、現時点ではあまり期待できません。

私たち日本人が安全保障上、気にしなければいけないのは、いつ米国と北朝鮮が軍事衝突するかという点です。

米国が北朝鮮を攻撃するなら、その前に韓国にいる在韓米軍の家族を先に避難させると言われています。米国が在韓米軍の家族に避難命令を出したら、攻撃開始はほぼ確定的でしょう。

今は、そのギリギリのところで踏みとどまっています。今日または明日に、北朝鮮が6回目の核実験を踏み切るかどうか、要注意です。

コメント

専門家が予測するトランプ失脚と「2020年アメリカ内乱」のシナリオ=高島康司

2017年05月14日 21時18分27秒 | 政治

今回はトランプ大統領が弾劾される可能性と、その後に起こりうるアメリカの混乱について解説する。このままだと米国は、2020年代には分裂するとの専門家の予測もある。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年5月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

想像以上に高い「トランプ弾劾」の可能性、米国大混乱は不可避か

深刻さを増すアメリカの政治的分裂

今回のテーマは、「2020年代におけるアメリカ分裂の可能性」についてである。

トランプ政権が成立してからというもの、これまでにないくらいにアメリカの政治的な分裂が深刻さを増している。政権発足時ほどの勢いはないものの、いまだに全米でさまざまな理由で反トランプの激しいデモが行われている。

また、国務省を中心に依然として多くの幹部人事が決まっておらず、これから外交と内政の運営ができるのかどうか不安が出てきている。さらに、共和党主流派との関係がいまだにギクシャクしており、オバマケアの修正案は辛うじて下院を通過したものの、上院で可決されるメドはまだ立っていない。

そして、1兆ドルのインフラ投資と大型減税を含んだ予算案だが、これに至っては議会の反発が激しく、通過する見通しはまったく立っていない。予算案が通過しなければ、早ければ7月末には現行の予算を使いきり、2011年に起こった連邦政府施設の一部閉鎖に追い込まれる可能性が出てくる。

それだけではない。オバマ政権時の期限法が3月15日で失効したため、新たに債務上限引き上げ法案を可決しない限り、新たに国債を発行することはできない状態だ。いまのように議会と対立している状況では、この法案は通りそうもない。すると、たとえ予算案が可決したとしても、国債の発行ができないので現金が不足し、予算を組むことができなくなる恐れもある。

【関連】米国の北朝鮮攻撃は期待薄?トランプのシナリオに翻弄される日本=近藤駿介

大統領の弾劾を望む声

このような状況に対して、トランプ政権は機能しないのではないかとの疑念が強くなっている。野党の民主党だけではなく、共和党内部からも、あまりに問題の多いトランプを早々に辞任させ、穏健なペンス副大統領を大統領にしたほうがよいのではないかという声が強くなっている。

一方、CIAFBIはトランプ及び政権の閣僚がロシアとの不適切な関係にある可能性が高いとして、本格的な捜査に乗り出している。ロシアとの関係が証明されると、トランプを弾劾できる可能性が高くなる。トランプの選挙参謀であったロジャー・ストーンは、すでに水面下で情報機関による弾劾裁判へと向けたトランプ追い落としの策謀が進んでいるとしている。

それを見越しての処置か、5月10日、トランプはロシアとの協力関係を調査していたFBIのコミー長官を突然解任した。これは歴史的にも異例なことで、コミー長官で2人目となる。これでトランプに対する批判は高まり、弾劾に向けての動きは加速する可能性もある。

もしトランプが失脚すると?

だがトランプが弾劾されると、これが引き金となり、アメリカの分裂が一層深刻になり、取り返しのつかない事態になるのではないかと懸念する声も多い。

それというのも、トランプ政権の主要な支持母体であるオルトライト(オルタナ右翼=主にネット発の保守勢力で、白人至上主義など過激な主張を掲げる)を代表し、政権内で依然として大きな勢力を維持している主席国家戦略官、スティーブ・バノンの一派は、トランプ政権をワシントンの支配層を一掃するための革命政権としてとらえ、既存のシステムの抜本的な改革を目指しているからだ。

もしトランプが弾劾されたならば、バノン一派は野に下り、オルトライトや没落した中間層と一緒になり、過激な政治運動を展開する可能性がかなり高い。

トランプが大統領に留まり、バノン一派がホワイトハウスで強い勢力を維持している間は、過激な革命思想を信じるオルトライトは政権内でコントロールされる。しかし、トランプが弾劾されると、このコントロールが効かなくなるということだ。

トランプの弾劾を予測する政治学者

このような状況になると、アメリカ国内の政治的な混乱は収拾がつかなくなるかもしれない。では、本当にトランプが弾劾される可能性はあるのだろうか?

実は、トランプ弾劾の現実性は想像以上に高い。まだクリントンの圧倒的な優勢が伝えられ、どの調査でもクリントンが次期大統領になることが確定したかのような状況であった2016年の9月に早くもトランプの勝利を予想した政治学者が、トランプの弾劾を予想している。それは、アラン・リッチマン教授である。

アラン・リッチマンは首都ワシントンにあるアメリカン大学の政治学部の教授である。リッチマンは自分が開発した独自の手法を用いて、過去34年間、すべての大統領選挙の勝者を的中させてきた。

実は、候補者本人ではなく、党に対する支持率を丹念に調べると、勝者の予測は難しくないという。具体的な手法は公開されていないものの、この手法で予測に成功してきた。ニューエイジ系のポップカルチャーにはジョン・ホーグがおり、トランプの勝利をかなり早い段階で予測していたが、いわばリッチマンは表の世界のジョン・ホーグのような存在だ。

「必ず弾劾される」

リッチマンによると、むしろトランプが弾劾されないほうが不自然だという。過去の大統領では、1868年のアンドリュー・ジャクソン、1974年のリチャード・ニクソン、そして1998年のビル・クリントンの3人が弾劾の対象となった。

ただ、ジャクソンは弾劾裁判にかけられたものの無罪となり、クリントンも有罪に必要な票数に達しなかった。弾劾裁判で有罪が決定したのはニクソンだけだったが、ニクソンは罷免される前に自ら辞任した。

リッチマンは、トランプほど違法行為の疑惑が多い大統領は過去に例がないとしている。弾劾裁判に持ち込む場合、過去に犯した行為の違法性がひとつでも証明されれば、アメリカの憲法では弾劾裁判の対象にすることができる。

これまでのトランプの経歴では、弾劾裁判の対象となり得る違法行為は枚挙のいとまがないとしている。最近出されたリッチマンの最新刊『弾劾弁護論』では、事業関連の利害相反、ロシアとの違法な関係、過去の法的争い、脱税疑惑、チャリティーの悪用、トランプ大学の違法性など13のケースがあげられている。また、地球温暖化防止のパリ協定からの離脱は、人間性に対する犯罪として認定される可能性もあるとしている。

必ずしも高くない弾劾のハードル

弾劾裁判は、下院の過半数の議員の同意に基づき実施される。その後、上院議員の3分の2の同意が得られれば、弾劾は成立し大統領は罷免される。

上院で弾劾が実際に成立する可能性だが、上院では193名の民主党議員と23名の共和党議員が賛成する必要があるとしている。トランプの出身政党の共和党が弾劾に賛成するとは考えにくいという意見もあるとしながらも、もしロシアとの違法な関係が証明されれば、共和党も弾劾に動かざるを得ないと見ている。

さらに、共和党内ではペンス副大統領の人気が非常に高く、トランプを早いうちに弾劾してペンスを大統領にしたいとする意見もあるという。

このように、2016年の大統領選挙でトランプが苦戦を強いられ、ほぼすべての世論調査がクリントンの勝利を予想していた昨年の9月に、早くもトランプの勝利を予想して的中させた政治学者が、トランプは確実に弾劾されると予想しているのである。その可能性は決して低くないと見たほうがよいだろう。

科学的に予見された2020年代の革命と内乱

先に書いたように、トランプが弾劾されると、トランプを熱狂的に支持して、すでに社会運動化しているオルトライトは、バノンの思想に忠実な革命運動を野に下って展開する可能性が出てくる。

これで、トランプ政権の成立によって辛うじて吸収され、押さえられてきた革命を目指すエネルギーが解き放たれることになる。しかし、そのようなことが本当に起こるのだろうか?

意外にも、将来アメリカで大規模な社会不安が発生する可能性を予想している歴史学者がいる。ピーター・ターチンである。ターチンは、ロシア生まれだが、1977年、父がソビエトを追放となったため、アメリカに移り住んだ人物である。現在はコネチカット州のコネチカット大学の教授で、生態学、進化生物学、人類学、数学を教えている。

1997年まで主要な研究分野は生態学であったが、現在は歴史学の研究が中心になっている。

歴史学ではこれまで、ヘーゲルやマルクスなど歴史の統一的な法則性の存在を主張する理論はあったが、そうした法則性にしたがって歴史が動いていることを証明することはできなかった。つまるところ歴史とは、それぞれ個別の背景と因果関係で起こった個々の事件の連鎖であり、そこに統一した法則性の存在を発見することはできないとするのが、現在の歴史学の通説である。

しかしターチンは、生態学と進化生物学の手法、そして非線形数学という現代数学のモデルを適用することで、歴史には明らかに再帰的なパターンが存在していることを発見した。

近代以前の帝国のパターン

そのパターンは、人口数、経済成長率、労働賃金、生活水準、支配エリートの総数などの変数の組み合わせから導かれる比較的に単純なパターンであった。ターチン教授はこれを、ローマ帝国、ピザンチン帝国、明朝などの近代以前の大農業帝国に適用し、そこには帝国の盛衰にかかわる明白なパターンが存在することを明らかにした。

詳しく書くと長くなるので要点だけを示すが、そのパターンとは次のようなものだ。

まず初期の帝国は、人口が少なく、未開拓地が多い状態から出発する。しかし、時間の経過とともに経済発展が加速すると、人口は増加し、未開拓地は減少する。それと平行して支配エリートの人口も増加する。この拡大が臨界点を越えると、帝国は分裂期に入る。

まず、人口の増加で労働力人口は急速に増加するため、労賃は下落する。さらに各人に与えられる土地も減少する。そのため、生活水準は低下し、これを背景とした社会的不満が高まる

他方、支配エリートの数の増加は、すべての支配エリートに割り振られる国家の主要なポストの不足を引き起こす。これはエリート間のポストを巡る熾烈な権力闘争を引き起こす。この状態を放置すると、国内における支配層の権力闘争と農民の度重なる反乱により、帝国は衰退してしまう。

これを少しでも回避するためには、人口が増加した国民に十分な生活水準を保証するだけの土地を与え、また支配層には国家の十分なポストを与えることができるように、帝国を戦争を通して外延的に拡大し、新しい領地を獲得しなければならない。

だが、この外延的な拡大の勢いよりも、人口の増加と生活水準の低下、そして支配層のポストが不足するスピードが速ければ、帝国の分裂と崩壊が進む。

このようなサイクルだ。歴史は、多様な出来事が複雑に絡み合った織物のように見えるが、実際は比較的に単純なパターンとサイクルが主導していることが明らかになった。ターチンは、こうした歴史的なサイクルが近代以前のどの帝国にも存在したことを証明し、大変に注目された。

現代アメリカの内乱のパターン

しかし、ターチンが注目されたのはこれだけではない。いまターチンは、近代以前に存在したようなパターンとサイクルが、近代的な工業国家である現代のアメリカにも適用可能であるかどうか研究している。研究は2010年頃に始まり、2012年から暫定的な結果が発表され、大変に注目されている。

なかでももっとも注目された論文は、『平和研究ジャーナル』という専門紙に寄稿された「1780年から2010年までの合衆国における政治的不安定性のダイナミズム」という論文である。2017年4月には、この論文を元にして『不和の時代(Ages of Discord)』という本として刊行された。

この論文でターチンは、アメリカが独立間もない1780年から、2010年までの230年間に、暴動や騒乱などが発生するパターンがあるのかどうか研究した。するとアメリカでは、農業国から近代的な工業国に移行した19世紀の後半から、約50年の「社会的不安定性」のサイクルが存在していることが明らかになった。

暴動や騒乱が発生し、アメリカで内乱が多発した時期がこれまで3つ存在した。1871年1920年1970年の3つである。これをグラフ化したのが以下の画像だ。ぜひ見てもらいたい。

明らかにこれらの年には、社会で見られる暴力が突出していることが分かる。

社会的不安定の原因

その原因はなんだろうか?

ターチンによると、近代の工業国家は前近代の農業帝国に比べて経済成長のスピードが極端に速いので、人口の増加とそれによって発生する労賃の低下生活水準の低下エリートのポスト不足などには、はるかに容易に対処することができるという。その結果、これらの要因が深刻な社会的不安定性の原因となる可能性は、かなり緩和される。

だが、これらの要因が近代工業国家でも作用し、社会的不安定性の背景となっていることは間違いないとしている。

アラブの春におけるエジプトの例

最近、これをもっともよく象徴しているのは「アラブの春」ではないかという。たとえば、エジプトのような国は年5%から6%の経済成長率を維持しており、決して停滞した経済ではなかった。

しかし、出生率は2.8と非常に高く、また生活水準の上昇に伴って高等教育を受ける若者の人口が大きく増大したため、経済成長による仕事の拡大が、高等教育を受けた若者の増加スピードに追いつくことができなかった

その結果、高い教育を受けた若年層の高い失業率が慢性化した。これが、アラブの春という激しい政治運動を引き起こす直接的な背景になった。

格差の固定と現代アメリカの不安定

これとほぼ同じような要因の組み合わせが、やはりアメリカの社会的不安定性の50年サイクルにも当てはまるとターチンは主張する。

人口数と高学歴者の数が増加していても、高い経済成長が続き、生活水準の上昇、ならびに高学歴者の雇用数が増大している限り、社会は安定しており、社会的な騒乱はめったに発生しない。これは、どんな人間でも努力さえすれば、社会階層の上昇が期待できる状況である。

しかし反対に、格差が固定化して、政治や経済のシステムが一部の特権階級に独占された状況では、たとえ経済が成長していたとしても、社会階層の上昇は保証されない。格差とともに社会階層は固定化される。すると、たとえ高等教育を受けていたとしても、期待した仕事は得られないことになる。

このような状況が臨界点に達すると、社会的な暴力が爆発し、多くの騒乱や内乱が発生するというのだ。

次のサイクルは2020年か?

19世紀の後半以来アメリカは、このようなサイクルを50年毎に繰り返している。これは上のような状況が、アメリカでは50年ごとに臨界点に達していることを現わしている。

そして、社会騒乱の次のサイクルがやってくるのは2020年前後になる。ターチンは、現在のアメリカにおける格差は、ひとつ前の社会騒乱の時期であった1970年の時点よりもはるかに巨大であるため、このまま格差が是正されないと、2020年代の社会騒乱は予想を越えた激しいものになる可能性があると警告している。

これが歴史学者、ピーター・ターチンの予測である。この予測の元になったのは、再帰的なパターンを歴史に見る手法だが、ターチンはこれを「クリオダイナミックス」というモデルとして理論化している。

ターチンが、近代アメリカのこのような政治変動のサイクルを発表したのは2010年であった。その予測が、2016年の大統領選挙とトランプ政権の成立に伴う大きな社会的混乱をきっかけとして、あらためていま大変に注目されているのだ。

もう一人の専門家、イゴール・パナリンの予測

さらにこれだけではない。2020年代と特定されているわけではないが、将来のアメリカの分裂を予言しているもう一人の専門家がいる。現在、ロシア外務省外交アカデミーの教授を務めるイゴール・パナリンの予測だ――
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イゴール・パナリンの予測

予測の評価

トランプの弾劾から分裂へ

コメント

米国の北朝鮮攻撃は期待薄?トランプのシナリオに翻弄される日本=近藤駿介

2017年05月06日 21時51分29秒 | 政治

トランプ大統領の就任100日間の行動は、決して「場当たり的」ではない。シリアや北朝鮮への武力的圧力について、「内政の失敗を隠す目的のものだ」とか「世界の警察官に戻ろうとしている」との分析は的外れだ。

冷静に見れば、「ビジネスマン大統領」トランプのしたたかなシナリオは、ここにきて大きな成果を挙げはじめていることが分かる。最高のお客さんは韓国、そしてもちろん我が国日本である。(近藤駿介)

プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料メルマガ『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は得にお得です。

「核実験はやめろ、ミサイルは撃て」ビジネスマン大統領の狙い

トランプは「場当たり的」という大いなる誤解

4月29日で就任100日を迎えたトランプ大統領に対するメディアの評価は、概ね「内政で成果を挙げられていないので、外交、安全保障部門で成果を見せようとしている」というものになっている。

そして、シリア攻撃北朝鮮に対する武力的圧力に至るまでの一連の外交・安全保障に関わる動きの分析、評価も、内政の失敗を隠す目的ためのもので、戦略的ではなく場当たり的だというものというのが通り相場になっている。

しかし、本当にトランプ政権の外交・安保政策は「場当たり的」なものなのだろうか?

トランプ氏は29日、米大統領就任から100日を迎える。「米国第一」の内向きな公約を掲げた異端児は、看板の成長戦略や移民制限などで思うような成果をあげられずにいる。そのつまずきを覆い隠そうと、シリアや北朝鮮にはこわもてに出る。
出典:トランプ政権100日 海図なきブラフ戦術 – 日本経済新聞(2017年4月29日)

確固たる戦略さえあれば、ブラフで譲歩を引き出すことも可能だ。だが戦略なき脅しは、政策を二転三転させるだけのフェイクに終わりかねない。トランプ氏に抱く世界の危惧はそこにある。
出典:同日本経済新聞

就任100日間のトランプ大統領の行動を「場当たり的」と分析してしまうのは、トランプ大統領を「既存の政治家」の延長線上で捉えているからだ。ところが、「ビジネスマン大統領」という視点から冷静に分析すると、トランプ大統領の外交・安保政策はかなりしたたかに、戦略的に行われている事実が浮かび上がってくる。

最初の伏線、F35の大幅値下げ要求

まず思い出さなければならないのは、トランプ大統領は就任前から最新鋭ステルス戦闘機F35の価格が高過ぎることを批判し、製造会社であるロッキード・マーチン社のCEOと会談を持ったことである。

その結果、大統領就任直後の1月末に、ロッキード・マーチンから契約間近だった90機の価格6億ドル(約660億円)の引下げと、1800人の新規雇用という満額回答を引出している。

ここで注目するべきは、ロッキード・マーチンが、売上の減少を招く販売価格の引下げと、コスト増に繋がる新規雇用に素直に応じたことである。

大手メディアは単純に「トランプ大統領の圧力に屈服した」と報じたが、株主からの強い圧力に晒されている米企業の経営者が何の見返りも求めずにあっさりとトランプ大統領の圧力に屈服すると考えるのは、総理大臣に対する忖度が常識化している国の発想だといえる。

大統領もビジネスマンなら、その交渉相手もビジネスマンであることを忘れてはならない。トランプ大統領の外交・安保政策にとって、ここが最初の伏線であったと捉えると「ビジネスマン大統領」の戦略が透けて見えてくるはずだ。

日本に恩を売りつつ「北の脅威」を強調

トランプ大統領は、この交渉によって日本向けF35ステルス戦闘機の価格も値下げされたことに対して、日米首脳会談(現地時間2月10日・11日)の際に安倍総理から感謝表明があったことを明らかにしている。

この2月の日米首脳会談最終日には、北朝鮮が新型ミサイルの発射実験を強行し、急遽安倍総理とトランプ大統領が揃って記者発表を行うことになった。

この共同での記者発表は、夕食会で安倍総理からミサイル発射に対するメッセージを発する考えを伝え聞いたトランプ大統領が、より強いメッセージにするために同席することを提案したといわれている。

その席上トランプ大統領は「アメリカは重要な同盟国である日本を100%支持する」という強いメッセージを出している。トランプ大統領のこうした発言は、北朝鮮に対する警告とともに、日本国内に北朝鮮リスクを強く印象づけるものだった。

シリアを攻撃して見せ、中国をけん制

そして日米首脳会から2か月近く経った4月6日・7日、日米首脳会談が行われたトランプ大統領の別荘「マー・ア・ラゴ」で、今度は米中首脳会談が開かれた。

この米中首脳会談前日の5日には、北朝鮮は再びミサイル発射を行った。さらに、米中首脳が夕食会に臨んでいる最中の6日、トランプ大統領は化学兵器を使用したことを理由にシリア政府軍に対して巡航ミサイルを59発撃ち込んで見せた

夕食会の最中にトランプ大統領からシリア空爆の報告を受けた習近平主席は、会談決裂という選択をすることはできず、「化学兵器の使用には反対する。トランプ大統領の決断に賛同する」という、事実上米国のシリア空爆を黙認するコメントを発表させられる格好となった。

「大規模爆風爆弾(MOAB)」を実戦で使用

米中首脳会談後の12日には国連安全保障理事会が開催され、シリアで起きた化学兵器による攻撃を非難し、アサド政権にこの件で調査に協力するよう求める決議案が諮られた。

決議案自体は常任理事国であるロシアが拒否権を行使したことで否決されたが、シリア関連決議案で過去6回拒否権を行使してきた中国は棄権に回ることになった。米中首脳会談席上で黙認した手前、拒否権を行使することが難しかったからだ。

その翌日の13日には米軍は「すべての爆弾の母」とも称される「大規模爆風爆弾(MOAB)」をアフガニスタンにある過激派組織「イスラム国(IS)」の拠点に投下し、オバマ政権と異なりトランプ政権は実際に行動をすることを示した。

一般的には、シリアやアフガニスタンに対する一連の空爆は、北朝鮮に対して武力行使も辞さない意向を示す目的で行われたものだと報じられている。

しかし、こうした見方は、北朝鮮が国家として米国や同盟国に反撃する能力を有している現実を軽視したものだといえる。

シリアと北朝鮮は「まったくの別物」

国家として米国に反撃できる状況にないシリアやアフガニスタンなどは、トランプ政権の行動力を示すには格好の標的であるともいえる。しかし、国家として存在し、核弾頭を既に所有している可能性のある北朝鮮に対する軍事行動は、米国や同盟国が多大なる返り血を浴びる可能性を秘めたものであり、シリアやアフガニスタンとは次元の異なるものである。

トランプ政権は、空母カールビンソンを中心とした打撃軍を朝鮮半島付近に派遣し、北朝鮮に対して軍事圧力を掛け続けている。しかし、当初4月15日にも朝鮮半島付近に到着するといわれていたカールビンソンが実際に朝鮮半島付近に到達したのはそれから10日以上遅くなってからであった。

もしトランプ大統領が北朝鮮に対して軍事的行動も辞さないという考えを持っていたのであれば、もっと迅速な動きを見せてしかるべきである。

「小さなミサイルの発射」を黙認するのはなぜか?

米国が軍事的圧力を強める中、北朝鮮は4月29日に、4月に入って3回目となる弾道ミサイル発射実験を行った。北朝鮮のミサイル攻撃に対する避難訓練が実施されるなど警戒感が高まっていた日本国内では、地下鉄が安全確認のために一時停止するなど、これまでにない対応がとられた。

これに対して、2日前の27日に「大規模な衝突が起こる可能性がある」との危機感を示していたトランプ大統領は、「もし核実験をやるのなら、私も中国の習近平国家主席も不愉快に思うだろう」と核実験に踏み切らないよう警告を発したものの、「金正恩党委員長がやろうとしたのは、核実験でも大きなミサイルの発射でもなく、小さなミサイルの発射だった」と述べた。

こうした発言から推察されるのは、トランプ大統領は「核実験と大きなミサイルの発射」と「小さなミサイルの発射」を明確に分けており、「核実験と大きなミサイルの発射」は許さないが「小さなミサイルの発射」なら黙認するということである。

「世界の警察官」に戻るつもりはない

こうした区別は、端的に言えば「核実験と大きなミサイル発射」は米国に対する直接的脅威になるのに対して、「小さなミサイルの発射」は東アジアの危機に留まるからである。

こうした判断基準は、「America First(アメリカ第一)」を掲げるトランプ大統領にとっては当然のものだといえる。

トランプ大統領の一連の北朝鮮政策について、専門家の間からは「世界の警察官」に戻ろうとしているという指摘も挙がっているが、それは既存の政治的発想に基づいたもので、「ビジネスマン大統領」に対しては的外れな指摘といえる。

見落としてはならないのは、「ビジネスマン大統領」の目には北朝鮮問題に伴う東アジアの危機は利用価値のあるものに映っている可能性があることである。

「韓国へのTHAAD配備」という伏線回収

北朝鮮問題の緊張感が高まったことで、4月末に韓国にTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)が配備された。

この一基10億ドル(約1,100億円)するTHAADを製造しているのは、トランプ大統領就任直後にステルス戦闘機F35の価格を6億ドル(約660億円)引下げることを受け入れたロッキード・マーチンである。

THAADの韓国配備自体は、大統領選挙期間中の2016年7月に米韓で正式合意されていたものである。ただし、早ければ4月にも配備されることになっていたが、中国の強い反発などもあり予定通り配備できるかは定かではない状況にあった。

しかし、4月になって北朝鮮問題の緊張度が一段と増したことに加え、トランプ大統領が中国に「為替操作国」認定を当面見送るというアメをしゃぶらせ、北朝鮮説得という無理難題の責任を負わせることで、予定通りTHAADを配備できる環境が整ったのである。

ステルス戦闘機F35の値下げと1800人の新規雇用を約束し、トランプ大統領の圧力に屈服したと見られていたロッキード・マーチンだが、裏ではTHAADを予定通り韓国に配備するという実利を得たのである。

これを偶然とみるか、一連のディール(取引)とみるかで、トランプ大統領の戦略に対する評価は180度変わってくることになる。

最高の「お客さん」は日本

さらに、北朝鮮問題の緊迫化によって、日本でもTHAAD配備の機運が高まってきている。

トランプ大統領が正式就任する直前の1月には、稲田防衛相がグアムの米軍基地を訪問してTHAADの視察を行い、「THAAD導入の具体的な計画はないが、1つの選択肢として何が可能か検討したい」とTHAAD導入に前向きの発言している。

そして翌2月には自民党内に、THAAD導入を含む「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」が立ち上げられている。

日本がTHAAD配備を前向きに検討するようになったのは、北朝鮮がミサイル実験を続けているからである。つまり、北朝鮮が「小さなミサイルの発射」を繰り返す状況が続けば、日本国内でTHAAD導入機運が高まる構図になっているのである。

アメリカ車を買わせるより簡単

こうした構図が明らかだとしたら、したたかな「ビジネスマン大統領」が、中国に北朝鮮への圧力をかけさせ続けることで「核実験と大きなミサイルの発射」は封じ込めつつ、「小さなミサイルの発射」は黙認し、日本でのTHAAD導入機運を高めさせようという戦略を描いたとしても不思議なことではない。

今回のTHAAD韓国配備費用10億ドルの負担については、トランプ大統領は韓国側に負担させる意向を見せていたが、とりあえず米国側が負担する方向に落ち着きそうな気配となっている。しかし、日本のTHAAD配備費用を米国が負担する可能性は低いといえる。

昨年の日本の対米貿易黒字額は、自動車関連の526億ドル(約5兆8400億円)を中心に689億ドル(約7兆6500億円)と、中国に次いで2番目になっている。このような自動車関連を中心とした多額の貿易赤字が、日本の非関税障壁によるものではないことを「ビジネスマン大統領」が理解していないわけはない。

そして当然、対日貿易黒字を縮小するためには、日本に米国車を買わせるより防衛装備品を買わせるほうが、はるかに現実的かつ効果的であることも知っているはずである。

日本に対する「北朝鮮の脅威」は終わらない

「北朝鮮の体制を転換させる目標はない」

4月9日にティラーソン米国務長官はこのように発言している。もし、この発言が本当ならば、米国が北朝鮮に対する軍事介入に踏み切る可能性はかなり限定的だといえる。米国が軍事介入に踏み切れば、結果として北朝鮮の体制が転換してしまうからだ。

トランプ大統領が描いているシナリオは、北朝鮮に「核実験と大きなミサイルの発射」以外の手段での瀬戸際外交を続けさせ、日本での北朝鮮脅威論をより高めることかもしれない。

「F35を数百万ドル(数億円)も値下げしてくれた」ことを喜んでいる安倍総理は、トランプ大統領がF35の数百万ドルの値引きを餌に10億ドルのTHAADを購入させるシナリオを描いているとは想像もしていないのかもしれない。

「核と長距離弾道ミサイルは許さないが、小さなミサイルはどんどん撃て!」

政治経験のないトランプ大統領の外交・安保政策には戦略がないなどと、これまでの常識に基づいてもっともらしい批判する政治の専門家たちが、「ビジネスマン大統領」のしたたかな戦略の餌食になる日もそう遠くはないのかもしれない。

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