米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は27日の上院銀行委員会で、インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」について、FRBにはこれを規制する権限がないと述べた。
議長は「FRBにビットコインの監督や規制をする権限は全くない」とし、「これは完全に銀行業界の外で起きている決済上の革新であり、私が知る限り、(ビットコインとFRBの監視対象である銀行の間に)共通点はない」と指摘した。
イエレン議長の発言の背景には、ビットコインの取引所大手Mt.Gox(マウントゴックス)が今週初め取引を停止し、5年におよぶビットコインの歴史上最大の挫折となったことがある。
米政府に預金が保証されている米銀の破綻と違い、今回の事態で資金の引き出しができなくなった利用者に対しては、返還がほとんどされない可能性もある。
2つの取引所の動きを追っているビットコイン専門ニュースサイト「コインデスク」の価格指数に基づくと、ビットコインの価格は27日、1%下落し571.29ドル(約5万8300円)となった。年初には1ビットコイン=約700ドルで取引され、昨年12月上旬には1100ドルを上回っていた。
イエレン議長は、この新たな通貨を監視するために「どのような法的枠組みが適切かについて議会が質問するのは当然だろう」と述べた。ただ、この問題は議会にとって難題になる可能性があると指摘した。
かつて米規制当局に対してビットコインへの規制を強化するよう求めたこともあるマンチン上院議員(民主党、ウエストバージニア州)からの質問に対し、イエレン議長は「一元的な発行者やネットワーク運営者がいないため、ビットコインを規制するのは容易ではない」と答えた。
マンチン議員は、26日に公表された米規制当局とルー米財務長官宛ての書簡で、「私が最も懸念しているのは、米国以外の国でビットコインの禁止が不可避となることで、米国人が価値のない通貨をつかまされてしまうことだ」と述べた。
市場アナリストらもビットコインについて懸念している。シティグループの為替ストラテジスト、スティーブン・イングランダー氏は26日の顧客向けリポートで、ビットコインはマウントゴックス閉鎖後、「ますます投機的になっている」と指摘した。また、「問題の1つは、一元的に管理されていない構造(これが多くの人にとって魅力なのだが)が、根本的解決を大幅に難しくしているのかどうかということだ」との見方を示した。
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