米グーグルは、同社の電子メールサービス「Gメール」の電子メール内の情報を、他のインターネット・アプ
リケーション(応用ソフト)会社が使いやすくしたいと考えている。25日にサンフランシスコで開かれた開発者
会議でその構想を発表した。
これはGメールを開発者向けプラットフォームに変えるための第一歩といえる。
開発者たちは生産性向上アプリなどにユーザーの電子メールの内容を利用したいと考えている。例えば、旅行
アプリがメールの受信箱をスキャンして予約確認を探し出し、それを旅行日程表に自動で組み入れるといったこ
とや、精算アプリが受信箱からレシートを探し、クラウドベースのアカウントに自動でファイルしておくといっ
たことが可能になるかもしれない。
電子メールのコンテンツにアクセスするという考えはすでにある。外部の多くのアプリは、ユーザーの承認を
条件にしてメールを利用している。だがグーグルは新たなアプリケーション・プログラミング・インターフェー
ス(API)を作り、IMAPの代わりに外部の開発者がメールと連携しやすくする。IMAPはアプリが大半の電子メー
ルとやりとりする手法で、よく使われているが複雑だ。このため、Gメールと連携できるアプリの数が限られて
いた。
Gメールは現在、ユーザーの電子メールのコンテンツをスキャンし、メッセージの横に関連広告を表示してい
る。この機能が公表されて以来、同社は厳しい批判への対応に追われてきた。サードパーティーによるスキャン
にもプライバシー上の懸念があるため、開発者向けプラットフォームとしての成功は限定的になるかもしれない
。しかしGメールの利用者は非常に多いため、グーグルと開発者がメールの特定の情報に注意深くアクセスでき
るチャンスがあれば、極めて魅力的になる。
グーグルは開発者会議で、利用者が承認しなければ各アプリがGメールにアクセスできないようにすると述べ
た。
電子メールデータ分析会社リターン・パスのゼネラルマネジャーを務めるアレックス・ジョーンズ氏は、「Gメ
ールは誰もが選ぶ受信箱になりたがっている。グーグルがユーザーと開発者向けの強固なプラットフォームを作
ることができれば、ライバルのサービスに乗り換える理由はなくなる」と話した。
開発者たちはGメールの潜在能力に興奮しているが、Gメールには多くの個人情報が含まれるため、サードパー
ティーとの共有は慎重になされなければならない。
新しいグーグルのAPIはこれに役立つ可能性がある。IMAPだと、開発者たちは、アプリを機能させるためにユ
ーザーのメッセージの全てにアクセスしなければならなかった。新たなAPIだと、開発者は必要なものにだけア
クセスできる。
グーグルの元製品担当マネジャーで、新興企業ストリークの共同創業者でもあるアリーム・マワニ氏は「プラ
イバシー上の懸念は実のところ、IMAPより少ない」と話した。
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