ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)25日の米国債市場では、一部の投資家が最近の上昇相場に対する利益確定に動
いたため、米国債価格は反落した。感謝祭明けのこの日は、米東部時間午後2時(日本時間26日午前4時)までの短
縮取引となり、1年のなかでも最も薄商いとなる日のひとつだ。
ユーロ圏のソブリン債務危機への懸念を背景としたこのところの上昇相場で、指標銘柄の10年債は利回りがほぼ
2カ月ぶりの水準まで低下した。利回りが2%を割り込み、投資家にとっては債券を保有する妙味が薄れていた。
しかも、通常よりも薄商いだったことが、債券の下げを増幅したのだと一部の参加者は指摘した。
25日は下げたものの、債券価格はこの1週間で小幅上昇した。また、今後も米国債には新たな買い手が現れ、さ
らに下げることがあれば、安値で買おうとしている投資家を引きつける可能性があると指摘するアナリストもい
る。
モルガン・スタンレー・スミスバーニーのチーフ債券ストラテジスト、ケビン・フラナガン氏は、「ユーロ圏の
危機が依然として主な材料になっており、すぐに二の次の問題にはならないと思われる。少しでも売られると新
たな買い手が現れ、中長期債が一番支持を維持する公算が大きい」と指摘した。
モルガン・キーガンの債券資本市場部長、ケビン・ギッディス氏は、25日の出来高は通常の6~7割だと推計して
いる。「この日は米国債にとって1年で最も薄商いの日だ。大半の取引担当部門はせいぜい職員が半分程度だ。顧
客は最善の約定を期待できないことが分かっているので、めったに注文を出さないためだ」と語った。
10年債利回りは、18日の2.01%から低下し、23日には10月6日以降では最も低い1.871%をつけ、9月末につけた
60年来の最高値1.672%に迫った。
金融市場にとって最大の焦点は、依然としてユーロ圏の債務問題だ。25日はイタリアの3カ月物政府短期証券が
過去14年間で最高の落札利回りをつけ、同国の10年物国債の利回りは20bpも跳ね上がり7.38%に達し、改めて市
場の動揺を誘った。加えて、スタンダード&プアーズ(S&P)がベルギーの長期ソブリン格付けを「AA+」から「A
A」に引き下げ、懸念は深まった。24日にはフィッチがポルトガルを非投資適格(ジャンク格)に格下げしている。
一方、ロイター通信は25日、ギリシャが無秩序なデフォルト(債務不履行)を回避するための交渉の一環として、
新発ギリシャ国債の大幅な債務減免を容認するよう投資家に求めていると伝えた。
この危機がユーロ圏最大の経済国ドイツにも波及する可能性が懸念され、このところドイツ国債さえも売られて
いる。多くの投資家がドイツ国債を売り、米国債と英国債に資金を振り向けている。
ドイツの10年物国債は25日、同年限の米国債よりも31bp高い利回り水準で取引された。この利回り差は2009年4
月以降では最も大きい。2週間前にはドイツ国債が米国債よりも27bp低い水準で推移しており、短期間での急落を
浮き彫りにしている。
ドイツ銀行個人資産管理部門の債券取引ヘッド、ゲイリー・ポラック氏は、「ユーロ圏の問題がなくならず、世
界経済の見通しは芳しくない。リスク回避が引き続き米国債需要を引きつけるだろう」と指摘した。たとえば、
ドイツ銀行の金利ストラテジストらは、10年米国債利回りが12月末までに1.75%に下がると予想している。
価格 前日比 利回り
2年債 99 30/32 - 1/32 0.277%
5年債 99 22/32 - 8/32 0.936%
10年債 100 09/32 - 25/32 1.964%
30年債 104 02/32 -1 23/32 2.919%
(米東部時間25日午後2時)
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