1)3月第3週は個人投資家の買い、外国人投資家の売りの構図。
2)外国人投資家の売買基調には売り買いともに「継続性」が見られる。
3)個別銘柄では25日移動平均線を割り込んだ銘柄が散見される。
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上値の重くなった株式市場ですが、投資主体別の動向に変化が見られています。今回は、個人と外国人の投資家別動向についてレポートします。
■ 個人投資家は14週ぶりに買い越し
3月29日に東証から3月第3週(3月19~23日)の投資主体別株式売買状況が発表されました。これまでの買い主体であった外国人投資家が売り越しに転じた一方で、個人投資家意は買い越しに転じました。
3月第3週の個人投資家の買い越し金額は2119億円と、昨年8月第2週の買い越し金額2796億円に迫る金額となり、直近では比較的大きな買い越し金額となっています。
過去の日経平均と個人投資家の売買の推移を見ると、リーマンショック時に個人投資家の口座開設数が過去最高となったことからも分かるように、比較的「逆張り」の投資スタンスをとる傾向が強いことがうかがえます。しかし、過去のいくつかの局面では、高値近辺での「順張り」スタンスで高値をつかみにゆく傾向もあることが指摘されます。
昨年8月の世界同時株安時株価の「逆張り」スタンスに対して、今回の個人投資家の買い出動は、まさに「順張り」の投資スタンスとなっています。
今回の上昇相場は「押し目買い待ちに押し目なし」の展開が続き、個人投資家の心理状態としては「上昇に乗り遅れた」という心理が強く作用していたことが考えられます。また信用評価損益比率の改善傾向(昨年11月頃:-20%→直近:-8%程度)による買い付け余力の拡大も伴って、3月23日に一時1万円までの押しとなった小幅な調整でようやく買いに踏み切ったことがうかがえます。
■ 外国人投資家は13週ぶりに売り越し
一方で、3月第3週の外国人投資家の売り越し金額は2735億円となりました。
昨年夏以降の外国人投資家の動きを見ると、昨年8月第1週から昨年12月第3週まで、ほぼ売り越しの週が続き、その売り越し金額は2兆2858億円となりました。
しかし今回の上昇局面では、昨年12月第4週から3月第2週まで12週連続の買い越しとなり、その買い越し金額は約1兆3948億円にのぼります。
ポジションの損益状況は、日経平均の週間終値ベースで加重平均すると、日経平均ベースで9270円前後と想定されます。
外国人投資家の特徴としては、売り買いともに「継続性」が指摘され、売買代金の高いシェア(60%前後)とあいまって、相場の流れ、つまり株価トレンドと作る傾向があります。よって需給面からは、外国人投資家が買いに転換すれば上昇相場へと、外国人が売りに転換すれば下落相場へとなる可能性が高くなると指摘されています。
今回はまだ一週のみの売り越しであり、昨年12月からの「継続性」が途切れたかどうかは、3月第4週の動きを見なければ判断は難しいと考えられます。
ただし、新たな買い手として出動した個人投資家の2000億円程度のポジションは損益がトントンなのに対して、外国人投資家の損益状況は大幅なプラスにあり、何かあれば直ぐに利益確定のスタンスを取れる状態にあります。
■ 25日移動平均線を割り込む銘柄が見られ始める
日経平均は、依然として25日移動平均線水準を越えたところに位置していますが、その構成銘柄を見てゆくと同移動平均線を下回る銘柄が散見されます。
25日移動平均線は、終値計算で見た、約1ヶ月程度の投資家の買い付けコストとして捉えることができます。移動平均線割れでは短期の投資家のポジションは損益トントンもしくは若干のマイナスにあると考えられます。
特に外国人投資家の基調の変化と合致して、これまでの上昇トレンドに変化が見られる主力銘柄が多く見られることは、個別の需給悪化として懸念されます。
不確定な将来を読みきることはできませんが、変化が出てきたということは事実といえます。変化の兆しを感じた投資家が増えてくれば、心理的な上値の重さにつながると考えられますので、当面は様子見と考えてもよいかと思われます。
レポート担当:ケンミレ株式情報 石原 健一
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