米国の人口は1915年に1億人、1967年に2億人、2006年に3億人を突破しました。1億人増加ペースは最初が51年、次が39年で1億人増えています。昨年、米国の人口が3億8000万人になったという話をテレビで見た覚えがありますが、4年間で8000万人増えるのはおかしいかもしれません。
言い変えますと、テレビの電波やネットのニュース、紙媒体で報道された事は「嘘も本当も、みんな本当として扱われ、違った場合には後で訂正される」というのが今の情報収集の方法となっています。つまり、全てが無責任の上で情報が垂れ流しになっているのが今の世の中です。
したがって、株式投資をする人にとって報道されたニュースをそのまま使うことは非常に危険であり、投資家が間違ったニュースで損をしても報道関係の人やテレビで話している人は何も責任を取ってはくれません。この現代の情報提供のしくみの無責任さを知って、いろいろな情報を取捨選択する能力が今の社会では必要となります。
昔、BSで解説をしていたときに、私は15分もらっていたのですが、生放送ですので「どうしても時間が押してしまう」ことが多く、その時、ちょうどテレビ東京の経済解説委員長をしていた人が総合司会だったのですが、彼が私に「まず結論をしゃべってほしい」「そうすれば時間が押しても対応できる」と何度も言ってきました。
私の答えは「いつもNO」でした。私は彼に「情報の取捨選択に対して自己責任をメディアが要求する以上は、自己責任で選択できるように、根拠を先に話して、聞いている人も一緒に考えて、最後に解説者が自分の結論を言う」という方法をとらなければいけないと言いました。しかし、メディアも事業ですから「時間内に全て納めなければいけない」という総合司会としての役割がありますので、この問題は常に平行線のまま終わりました。
最近の情報で最も注目されたものは次の2つです。
1)世界中の経済の中枢を握っているイスラエルが、世界経済は欧州危機の落ち込みから回復してきたので、金融緩和政策は終焉し、これからは据え置き、続いて金融引き締めに入ってくる。という情報が最も衝撃的な情報でした。
イスラエルの金融政策の据え置き前にオーストラリアが金融政策の据え置きを発表しており、米国も景気の回復から金融政策が変更される可能性が高く、日本も19兆円の復興予算の実施によって景気が回復するので、日本も金融緩和から据え置きに変更されるだろうと考えていましたので、このイスラエルの中央銀行総裁の発言は自分の考えと方向性が同じでしたので、金融緩和政策が終焉するというレポートを書きました。
世界の株式市場が上昇した最大の要因は「金融緩和」でしたから、金融緩和政策が終わるとなれば株式市場が「買いから売りに転換する」「株式市場は経済の半年から1年先を反映する市場」であることから、世界の株式市場は本格的な調整局面に入り、株式市場の下落によって「欧州危機が再燃する」と言うシナリオを取りました。
2)もうひとつの注目材料は米国景気の回復と、それに伴う金利の上昇と、それに伴うドル高円安の進行という問題です。つまり、これまでの日本経済を苦しめていた原因の円高が目先終了して円安になる可能性が高いという情報でした。円安は日本の株式市場を上昇させます。
そこで、「森田のつぶやき」でも申し上げましたが「金融緩和政策の終焉」をとるか「円安の進行」をとるかの二者択一になるということになります。そしてつぶやきで申し上げたように、森田は金融政策の終焉を取り、これから世界の株式市場は下がると考えました。
それが、金融緩和政策の終焉は「終焉してから考えよう」と世界の株式市場が考えたこと、目先は米国経済の回復による米国株式市場の上昇、米国金利の上昇による円安での日本市場の上昇を取り上げて、株式市場が上がるところまで上げようという流れが出てきました。
そこで、月曜日につぶやきとケンミレ・アイで株式市場は上昇する可能性が高くなったというレポートを書きました。常識で考えれば今の株式市場の水準は高すぎるのですが、レポートでも書きましたように「もうはまだなり」で、常識とは違って上がる可能性が高いと書きました。
しかし、突然の悪材料(ネガティブサプライズ)が起これば、大きく上昇しているところですから下落率も高くなること、上がっても10800円を超えないだろうから、リスクを取りたくない人は「下がるまで待つ」べきであると申し上げました。
これが、情報の収集の成功か失敗かの一例です。例えば、今朝のニュースで米国のQE2でFRBが提供した資金は、すべてFRBが回収しているということを言っている専門家がおりました。英語が分かれば調べることもできますが、英語が分からない人は「過剰流動性から資源価格が暴騰」し、世界の株式市場が20%~30%も上昇していることを考えると、この情報は無視したほうがいいという結論になります。
ここで重要なことは「どの情報を採用し、その情報は採用しない」という能力を高めることです。そのためには「世界の政治の動き」「世界の経済の動き」「世界の債券や為替や原油や金の動き」「南北問題」など、得られる情報はできるだけ多く収集し、さらにその情報に対する自分なりの分析能力を高める必要があります。
そうしませんと、情報は両刃の剣であり、しかも情報源は責任を取ってくれませんので、情報を収集しないほうが良かったという結果になるかもしれません。
レポート担当:ケンミレ株式情報 森田 謙一