【ロンドン】(ダウ・ジョーンズ)世界の天然ガス市場で二極化現象が広がっていることは、26日発表のエネル
ギー会社の4-6月期(第2四半期)にも反映された。英BPグループ(BG.LN)および英蘭系メジャー(国際石油資本)ロイヤル・ダッチ・シェル(NYSE:RDSA)(NYSE:RDSB)(RDSA.LN)(RDSB.LN)はいずれも、米国のシェールガス供給過多による値崩れが利益を圧迫したと明らかにした。
一方国際ガス業務について、両社とも北米以外の価格が引き続き堅調に推移したことが堅調な利益をもたらした
と述べたほか、セントリカ(CAN.LN)、スタトイル(NYSE:STO)(STL.OS)など他の欧州勢も同様の見解を示した。
ここ数年にわたる米国のシェール・ブームは、これまで未開拓だったガス・石油の新しい資源が水圧破砕法と呼
ばれる新しい手法を用いて開発されたことによるものだが、地域ごとのエネルギー価格の構図を塗り替えたこと
から、多くの企業の長期業績見通しにも影響が及び始めている。
これは杞憂(きゆう)すべき進展だとバーンスタイン・リサーチのアナリストらは最近の調査リポートで述べた。
「シェル・アメリカの業務は2008年までは最も高収益をあげる部分だった」とバーンスタインは述べた。その後
の利益率は低下しており、4-6月期には「底が抜けた」という。
シェルが26日発表した4-6月期の調整済み利益は13%減の57億2000万ドルとなったほか、米州の天然ガス平均販売価格は52%安、国際価格は2%高となったと明らかにした。
BGグループの4-6月期の純利益は77%減となり、米長期天然ガス価格の低下を受けて当地のガス資産について税引き後評価損13億ドルを計上せざるを得なくなった。対照的に、ほぼすべて米国以外となっているBGの液化天然ガス(LNG)事業は4-6月期に増益となり、同社は通年利益見通しの上限に達する勢いであることを明らかにした
。
米国事業の比重が低い欧州企業は、地元のガス価格が大幅に高水準にあることが追い風となった。
英ガス販売最大手のセントリカのガス生産部門の利益は23%増の5億0800万ポンド(7億8700万ドル)となり、販売量の増加や平均販売価格の上昇が寄与した。同じ理由から英国や欧州大陸へのガス販売大手であるノルウェーのスタトイルの調整済みEBIT(利払い前・税引き前利益)は5%増の458億ノルウェークローネ(75億6000万ドル)となった。
この二極化の原因は両大陸における天然ガス供給状況の違いにある。
欧州では、ロシアやノルウェーのパイプラインや中東、アフリカからのLNG出荷など高価格のガス輸入に頼る状
況が続く。
米国ではシェールガス生産の急増によって供給が需要を上回り、電力会社による石炭からガスへの大規模な移行をもってしてもこの状況は続いている。米国の天然ガス在庫は5年平均を16%上回る水準にあり、価格は10年ぶり安値から最近になってようやく切り返した。
欧州価格の指標でもある英指標ガス価格は4-6月期に平均した米国の価格の4倍以上となったことをBP(NYSE:BP)(BP.LN)のデータは示す。
しかし、北米でも石油、ガスを生産するスタトイルは、状況はいずれ解消されるとの見方を示す。
「われわれは(現在の)ガス価格のカイリが続くとは考えていない」と同社のヘルゲ・ルンド最高経営責任者(
CEO)はインタビューで述べた。「発電関連の需要が増加するほか、運輸セクターでもその可能性はある。また輸
出や産業活動も増える(中略)掘削は止まり、供給側に影響が及ぶ」。
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