1)日経平均、TOPIXともに上値の節目が近づいている。
2)TOPIXは、長期で往来相場になっている。
3)主力株の上昇が一服となれば、個別銘柄物色になる可能性がある。
株式市場の上昇が続いていますが、日経平均、TOPIXともに節目が近づいています。日経平均とTOPIXを比較して、現在の相場状況をレポートします。
本日は、連休の谷間でやや様子見ムードが強いものの、利益確定売りで下がると押し目を買う動きとなっており、全体に底堅い展開となっています。
日経平均の週足チャートでは、先週まで10週連続の陽線となっています。1987年2月からの17週連続以来、25年ぶりとのことです。1987年といえばバブル期の最中ですので、今の相場が歴史的な上昇局面になっているといえそうです。
ただし、日経平均は上値の節目に近づいていますので、伸び悩む可能性が考えられます。
日経平均は10200円くらいのところに、2010年4月高値からの下落トレンドラインの上限に届きますから、10週連続の陽線でもっと上昇が続くと考えることもできますが、過熱感もありますので、上値を抑える可能性も想定できます。
一方、TOPIXと比較してみますと、今の株式市場の状況のヒントになると思われます。なぜなら、日経平均とTOPIXでは「形が違う」からです。
日経平均とTOPIXでは、主力株の平均値と時価総額と計算基準は違いますが、日経平均採用銘柄で東証一部の時価総額の65%程度をカバーしていますので、基本的にチャートの山谷は似てきます。このため、高値、安値は同じ時期ですが、「水準が違っている」ことがわかります。
上記のチャートは、日経平均とTOPIXの週足チャートをリーマンショック以降を比較したものです。日経平均がきれいな下落トレンドラインを引けるのに対して、TOPIXは同じラインを引くことができません。
最大の違いが、日経平均がリーマンショック後の安値を切り上げているのに対して、TOPIXがダブルボトムになっている点です。昨年11月頃の下落局面では、TOPIXコア30がリーマンショックの安値を割り込んだことが話題になりましたが、時価総額が大きい主力企業の一角が数十年来の安値を記録していました。日経平均以上にTOPIXが下がっていたといえます。
TOPIXのチャートがダブルボトムということは、TOPIXは長期の往来相場の視点でチェックした方がわかりやすいかも知れません。そこで、ケンミレ抵抗ラインを表示してチャートを見ますと、節目が比較的はっきりと見えてきます。
ケンミレ抵抗ラインは、過去の株価をコンピュータで計算しており、抵抗ラインを強さをポイントにして判断の目安にしていますが、TOPIXの877Pには、143ポイントのとても強い抵抗ラインが引かれています。
TOPIXの上昇が続いているのは日経平均と同様ですが、週足が10週連続陽線とはなっていませんから、話題にはなっていません。ただし、日経平均と同様に、TOPIXも強い抵抗ラインが目前になっているといえます。
したがって、日経平均、TOPIXともに節目に近づいているということは、主力株の上昇が一服する可能性が考えられます。
抵抗ラインに到達すれば株価が必ず下がるということではありませんが、市場に参加している投資家が節目を意識すれば、買い注文が減ったり、利益確定売りが多くなったりして、上がりにくくなる可能性があります。
ただし、節目到達で主力株全体には上昇が止まっても、悪材料が出なければ、業種が循環したり、テーマ性や業績のよい中・小型株などが注目されることも考えられます。したがって、指数はもみ合いで、個別物色という流れが出やすくなるのではないかと思います。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明