(ダウ・ジョーンズ)欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は26日、経済環境が整い次第、3年物長期資金供給
オペ(LTRO)の解消と通常の金融政策姿勢の回復に向かうべきだ、との見解を示した。
ECBは最近、信用ひっ迫を回避するため、適格担保を差し出したユーロ圏の銀行に総額1兆ユーロ(1兆3300億ド
ル)超の流動性を供給した。
東京で開かれた会合でクーレ専務理事は、ECBのオペで過去最長の年限となる3年物資金供給オペの2回目には多
くの中小銀行が入札しており、この低利融資が欧州の経済成長と雇用創出の鍵を握る中小企業向けの銀行融資を
拡大させることになるとECBは確信している、と述べた。
欧州で銀行が企業融資に果たす役割は、米国のそれよりはるかに大きい。
「このため、全体的に高い資金ニーズを抱えた銀行に資金を全額割当で供給し、銀行の資金調達難を緩和するこ
とは、広範な経済を下支えする上で不可欠だ」とクーレ専務理事は語った。
ECBはすでに、域内銀行には3年物融資を1年後に返済する選択肢があることを通知。過去最低の1%に設定されて
いる3年物融資の金利が調整される可能性があることも明らかにしているという。
3年物融資の金利は融資期間を通じた政策金利の平均が課される。ECBが政策金利を引き上げた場合、銀行が負担
する資金調達コストは上昇する。
「いずれにせよ、長期資金供給オペの副作用として生まれた潤沢な流動性は、物価安定性見通しの観点から流動
性が過剰だとECB理事会が判断すれば、いつでも解消することができる」とクーレ専務理事は述べた。
ECBは、消費者物価インフレが「2%に近いがこれを下回る水準」にある状態を物価安定と定義している。
「大規模な流動性吸収を行うのに必要な手段はすでに実施できる状態にあるか、必要な時点ですぐに利用できる
」とクーレ専務理事は指摘した。
26日付のフィンランド紙、ヘルシンギン・サノマットが伝えたところによると、別のECB理事会メンバーである
アスムッセン専務理事はインタビューで、昨年12月と今年2月に実施した3年物LTROはまだ解消すべきではないが
、ECBは「解除に向けた準備の仕方を検討しなければならない」と語った。
クーレ専務理事は、ECBがいずれ過剰流動性を吸収せざるを得ない理由は複数あると指摘。「第一に、長期にわ
たる金融政策の緩和は、過剰な高リスク投資やレバレッジ(借り入れ)、資産価格バブルを助長する可能性があ
る。第二に、銀行、企業、政府のバランスシート強化に対する意欲を減退させ、低金利依存の状況を生む可能性
がある」とした。
3年物融資を含めたECBの緊急対応措置のすべては一時的なものであり、金融政策の支援が意図されている、とク
ーレ専務理事はくぎを刺した。
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