■米国の雇用問題
2月は、雇用統計が悪化するとの見通しが市場でうわさされたり、8日発表の週次の新規失業保険申請件数の数値が悪化したり、7日にオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表する雇用報告で民間部門の雇用が不調だった場合、9日発表の雇用統計を前に株価が後退する可能性があるとの見通しが出ています。
■米国の消費問題
エアロポステール、メンズ・ウェアハウス、ズーミーズといった小売企業の四半期決算が注目されていますが、ガソリンの小売価格はこれまで30日以上にわたって毎日、上昇を続けており、カリフォルニア州など一部地域では、ガソリン価格は1ガロン(約3.8リットル)=4ドル(約320円)を超えたことで、米国の個人消費の落ち込みが懸念されています。
■イラン問題
1日にイランのメディアがサウジアラビアで石油パイプラインが爆発したとの報道があったことで、1バレル=110ドルを突破したのですが、これはサウジアラビア当局者が報道内容を否定して終わりました。
4日にはオバマ大統領が米国・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次総会で演説で発言しますし、5日にはイスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談が控えています。
妊娠中絶問題を肯定してイスラエルとキリスト教の反感を買い、大統領選挙での支持率低下を懸念して、演説では「イラン砲撃も辞さない」という強硬な姿勢を示すことでイスラエル側を安心させ、5日の首脳会談では「攻撃の一線を明らかにすることで「米国とイスラエルの共同攻撃」を回避すると見られています。
直近のオバマ大統領の姿勢は「イラン攻撃も辞さない」「イラン攻撃は脅しではない」と発言してイランをけん制していますが、世界もイランも「米国はイラン攻撃をしたくない」ということを知っています。つまり、これを政治的セレモニーと捕らえているのが米国ですが、百も承知のイスラエルがどういう態度に出るかは不透明です。
■欧州問題
ようやく、欧州問題は「経済危機問題」というニュースが出てきました。欧州危機は「経済危機」であり、経済危機が「銀行危機」と「デフォルト」を生んだのであり、銀行危機とギリシャのデフォルト危機を押さえ込んだことで、内在している他国の経済危機を糊塗(こと)できたというのが現状であり、今後は経済危機から再びギリシャ以外のデフォルト危機が出てくると思われますが、目先は「波が静まった」のでデフォルト問題は先延ばしになると思います。
しかし、経済危機をニュースが取り上げる「ECBの銀行へ供給された資金は、企業や個人への融資に回らず、国債購入資金となっており、金融緩和で景気は回復できないのが現状」ことで、欧州問題は「経済問題に発展する」可能性が出てきました。つまり、新たな悪材料が出現してきたことになります。
■結論
3ケ月にわたる世界の株式市場の上昇により、値幅・日柄ともに上昇相場の終了感が今後出てくる可能性が高くなりました。数日という単位ではなく、もう少し長い目で見た株式市場動向は「とてもリスキー」であり、大幅調整の可能性も出てきたと思います。
したがって、強気一本ではなく、相場が終わったときの二つの投資戦略についても「そろそろ準備の段階」に入ってきたと思っておいたほうがよいと思います。
レポート担当:ケンミレ株式情報 森田 謙一