ワルシャワ(ダウ・ジョーンズ)ポーランド国立銀行(中央銀行)金融政策委員会(MPC)のハウスナー委員は2
3日、高インフレが見込まれるため、MPCが政策金利を引き上げる確率は年初に比べ上昇しており、引き締めが比
較的早期に実施される可能性は高いとの見方を示した。
ハウスナー委員はダウ・ジョーンズ経済通信とのインタビューで、委員10人で構成されるMPCは景気減速が待ち
受けていることを考慮する必要があり、引き締めが実施されても一時的にすぎないだろうと語った。
「(4月のMPCが)金融政策の変更を検討すべき時期なのかどうか考えなければならない。景気減速が近づいてい
ることを考慮すれば、利上げは比較的早期に実施すべきだ。即刻実施というわけではないが、早いに越したこと
はない」と語った。
MPCは少し前まで時期尚早な引き締めを警戒していたが、今となっては利上げが手遅れになることの方をより心
配している、とハウスナー委員は述べた。
「個人的には、利上げが経済成長に与えるマイナスの影響よりも、高すぎるインフレの方が大きな問題だと思う
」とした。
MPCは2011年7月以来政策金利を4.5%に据え置いているが、今年に入って論調を変えた。燃料・食品価格の高騰
でインフレが目標を上回る水準にとどまっていると指摘し、金融引き締めの可能性が増したことを示唆している
。
欧州連合(EU)最大の旧共産主義経済であるポーランドのインフレは、中銀が目指す2.5%に向けて徐々に低下
し、13年の半ば頃に目標値に達すると予想されている。とは言え、昨年11年以来インフレは4%を上回っている。
正味のインフレ率は1月に2.5%、2月に2.6%と大きく低下しているが、それでもMPCのインフレ懸念はあまり後
退していないと、ハウスナー委員は付け加えた。
ポーランドは今年6月に欧州サッカー連盟(UEFA)の欧州選手権「EURO 2012」の開催を予定しているほか、新た
な気候変動政策が13年のエネルギー価格に及ぼす影響も予想され、これらが12年のインフレ低下を阻むのではな
いかとの懸念もある。
MPCによるインフレの評価は、インフレ見通しが示唆するほど明確ではないとハウスナー委員は指摘した。同国
経済の成長見通し悪化を考慮に入れる必要があるためだという。
ポーランドの鉱工業生産は年初来減速している。これが例年以上に厳しい寒波のせいなのか、あるいはより長期
の景気減速を示す兆候なのかを見極めようと、MPCは引き続き経済指標を注視する見込みだ。
欧州債務危機に驚くほどの抵抗力を示してきたポーランド経済だが、成長率は今年3%、13年には2.3%に低下す
ると中銀は見通している。主要貿易相手国・地域の景気悪化や、個人消費の軟調が影響し始めているためだとい
う。
ハウスナー委員は「景気減速が待ち構えており、まだ利上げしていない唯一の理由はおそらくそれだということ
を、心に留めておく必要がある」と語った。
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