機内ではこれが就航第一便とあって、サービスも大変よろしい。CAの作り笑顔がいつもより一段とにこやかであり、チェキで一人一人の写真を撮った上に、台紙までつけてくれるサービスぶり。CAにとっても就航第一便に乗るというのはどこか晴れがましいことなのでしょう。
やがて食事の時間。CAは洋食と和食両方の写真を見せながら、しきりに和食の方を勧めます。洋食の方の用意が少ないか、さもなければ前の方の席の乗客の皆さんが洋食を選んでしまい、数が足りなくなっているに違いありません。私はCAの立場も考慮して、和食を選択しました。「それでは和食で。」というと、期せずして「ありがとうございます。」との返事が返って来ました。
右隣、窓際の席に座った30歳位の男性は、かなりの中国マニアでした。中国の地理にやたら詳しく、大抵の人にはついて行ける私も四苦八苦しながら話を合わせていました。しかも早寝が身上の私は、既に就寝時間を過ぎています。朦朧とする頭をフル回転させて話を続けるのですが、いつもならすらすらと出て来る固有名詞が頭に浮かばず、なかなか厳しい会話となってしまいました。
武漢に到着し、更にバスに乗ってホテルに到着したのは午前1時を過ぎていました。到着が夜更けということで、バスの中で既にホテルのルーム・キーを配布するという手際の良さでスムーズにチェックインすることができました。ただしガイドの説明は概ね聞き流した方が失望しないというのは今回も同じ、部屋に冷蔵庫はあると言ったものの、そんなものは見当たらず、バスタブはないと言ったはずが、しっかりとついていました。
しかし今回のツアーで最後まで感じたのは、石鹸のクリーミーな伸びの良さ。海外旅行では硬水のため石鹸は伸びず泡立たずというのが定番ですが、今回は実に気持ちよく石鹸を使うことができたのでした。私は液体ボディー・ソープのあのシャンプーまがいの感触が大嫌いなのです。
朝目を覚まし、窓の下を見れば、いつものように貧民窟の風景が目に飛び込んできます。どうやら貧民街を潰して高級ホテルを建てるというのが定番のやり方であるようです。中国では土地は国家の所有物であり、私有財産ではないので、立ち退きの保証はどういう計算になるのか、一度聞いてみたいものです。
普段の4割の睡眠時間ですがなんとか起床し、準備を済ませてロビーへ向かいます。今回連泊はないので、毎日スーツケースを持っての移動となります。部屋を出るとエレベーター・ホールの前でメイドのおばさんと遭遇、部屋番号を聞かれました。寝不足の頭で中国語で数を言うのが面倒なので、カード・キーの袋を見せます。
ロビーに着くと、出発10分前であるにも関わらず、誰も来ていません。いぶかしく思っていると、実は私が最後で、他の人たちは全員乗車してしまっていたのでした。普通は決められた時間まではちゃんとロビーで集合待ちをするものなのですが、今回はガイドが少々いい加減な性格だったようです。このことが後々ちょっとした波紋を呼ぶことになります。