梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

続・変なおじ(い)さん

2015-01-29 16:48:33 | 日記
  Kさん、コメント有難うございます。台湾は良いところです。近い・安い・違和感がない・風光明媚・・・など、沢山おすすめできる点があります。韓国と違って、日本語だけで通すことは難しいですが、何といってもトルコと並ぶ世界一の親日国ですので、あまり緊張せずに過ごせます。難点は、ふらりと地元民向けの食堂に入ってしまうと、口に合わない場合が多いということですが、「地球の歩き方」でもお持ちになるか、いよいよになったらコンビニに飛び込むかで食事の件は解決できると思います。

   なお、どうせ行かれるなら、真夏をお勧めします。真夏が一番日本との気温差が少ないと思われるからです。とても暑いですが、耐えられないという暑さではありません。寒い時期に行くよりかえって楽なのではないでしょうか。ただし雨季に行かれると大変な思いをすることになると思いますので、その時期だけは避けられることをお勧めします。

   さて、先日書いた「変なおじ(い)さん」、もう一月も終わろうかというのに、相変わらず「変」なままです。先日は後から来て、私が先にホームに立っているのを見ると、近くまでやって来て覗き込み、私であることを確認していました。その時は私が電車待ちの列の先頭にいたので、他の人の手前手出しをせず、別の乗車口から乗っていました。相変わらず大股開きをしないと気が済まないらしく、向かい側の席の人が降りてスペースが空くと、素早くそちらに移り、満足げに股を開いていました。

   そして今週の火曜日の事。月曜日には姿を見せなかったので、やれやれと思っていたところ、火曜日にはいつも通り出現しました。私は早目に着いているので、一人でホームに立っていると、突然現れた彼は私の左肩に体をぐいと押し付け、低い凄みを聞かせた声で言いました。

   「おい、もっとそっちへ行け!」

   彼の攻撃はもう三か月越しですが、私がこれまで何の反応も示してこなかったので、私の事を言い返したりやり返したりできない、意気地なしでいじめがいのある奴だとみなしているようです。私より10センチくらい背が低く、私より年上であると思われる彼。タックルをかましてひっくり返し、マウントポジションを取って、思いきり顔をぶんなぐる・・・・担ぎ上げてそのまま駅前の交番まで運んでしまう・・・大声を出してホームにいる他の乗客にアピールして恥をかかせる・・・・。とりあえず3通りのパターンが頭に浮かびましたが、こんな奴に関わりたくもないという気持ちが優り、今回は別の手でいくことにしました。

   私が乗るべき上り電車が来る前に、一本下り電車が来ます。この下りに乗って一駅だけ遠ざかると、ちょうど隣駅に、本来乗るべき上り電車が来るのです。私は迷わずその下り電車に乗り、隣の駅である新田駅で上りに乗り換え、悠然と空席に座ると、彼の待ち受ける松原団地駅へと向かったのでした・・・・。

   彼は私の姿を見て、苦笑いしていましたが、さて、来週はどうなりますことか・・・・。お楽しみとは言えないのがつらいところですね。

アイスランドに行くぞ!

2015-01-28 15:31:54 | 日記
   前にに書いた記事を削除してしまいましたので、改めてKさん、コメント有難うございます。そうです。ホイットニー・ヒューストンではなくダイアナ・ロスです。ダイアナ・ロスの全盛期はまだ私が20代前半のころだったかと思います。いずれにしても、歌手はやはり円熟し過ぎる前に、全盛期に見ておくことが大切だと感じています。衰えを知らぬキム・ヨンジャ以外は、これまで劇場で見てきた歌手はすべて全盛期を過ぎ超円熟した歌手ばかりでした。明後日行く小林幸子もまた、早くも還暦の人ですから、こちらも超円熟と言えますね。KARAや少女時代も厳密にいえば全盛期を過ぎていますし・・・・・。

   さて、人生の全盛期を遙か昔に終えてしまった私、とうとう意を決して、ずっと胸の奥に秘めていた計画を決行することにいたしました。「アイスランドで地球の割れ目を見る」!

   アイスランドはご承知の通り、そこを境にプレートが東西に割れていく現象が肉眼で確認でき、その割れ目の上を実際に歩くことが出来る、世にもまれな場所です。私はずっと以前から、一度でいいからこの地を訪れてみたいと願っていました。それを妨げていたものはただ一つ、「予算」でした。しかし、昨年来時々訪れる体調不良を体験して、もう予算を理由にあきらめるということを放棄いたしました。自分でも、この先いつまで海外旅行に耐えられる体力が維持できるのか、自信がなくなってしまったからです。

   身動きできなくなってからいくらお金を抱えていても、何の意味もありません。出歩かなくなってしまえば、下手をすると年金から貯金ができ、使い道もないのに財産が自動的に増えていくという事態を招きかねません。そんな思いをするくらいなら、思い切ってアイスランドに行ってしまおうという結論に達した訳です。なんだか切なくなってしまいますが・・・・。

   アイスランドに行くのは、私の人生の夢でした。エコノミークラスしか使わないツアーで行けば、かなり安く上げることが出来ます。しかし、乗り継ぎを含めれば20時間近くになる飛行では、気の短い私には厳しすぎます。
そこで今回選んだツアーは、「チャーター便・シェルフラットシート使用のビジネスクラス」によるツアーです。かなりお高めです。そこそこの乗用車が買える値段になります。しかし、背に腹は代えられません。ゆっくりと足を伸ばし、大嫌いな機中泊をして、行って来ます。

   氷河を見たり、オーロラを見たり、クジラを見たり、世界最大級の露天風呂に入ったり、これまで慣れ親しんだ中国旅行とは全く違った景観に浸ることができるはずです。アイスランドが済んだら、再び中国の歴史遺産を回る旅に戻ろうと思います。中国の各種遺産はまだ半分ほどしか見ておらず、恐らく生きているうちにすべてを見終わることは不可能だと思われますが・・・・。

   


   


チケットのお値段など・・・。

2015-01-24 12:11:08 | 日記
  Kさん、コメント有難うございます。ちょっと順番が悪くて、少女時代を見てから間もなくの事なので、せっかくシンディー・ローパーが目いっぱい動き回ってくれても、年齢からくる体のキレの悪さが気になって、ついついしてはならない比較をしてしまいました。

   公演時間については、その後に行われたホイットニー・ヒューストンが1時間20分で終了したそうです。アメリカ人歌手だとそんなものなのか、あるいは二人とも年がいっているのでそうなのか、他の歌手の公演を見てみないとわかりません。ちなみにホイットニー・ヒューストンは御年70歳になりますので・・・。ホイットニー・ヒューストンについては私の情報網に引っかからなかったので、公演があったことを事後に知りました。

   歌手の公演を見るのにかかるチケット代は、さまざまですねえ。昔のアイドルたちを10人くらい集め、目玉に西城秀樹を据えた公演が3,500円。小林旭を始めとする往年の名歌手が集まると8,000円。野口五郎と研ナオコという抱き合わせがその中間くらいでしょうか。五木ひろしが5,000円、川中美由紀が4,500円、小林旭・千昌夫・橋幸夫に葛城ユキその他名の知れた過去の歌手の抱き合わせで6,200円、コロッケが10,50円。いずれもポケカル倶楽部というところでの割引価格です。コロッケの価格は間違いではありません。

   これはどうかな?と思われるのが、長淵剛が富士山のふもとで行う、10万人という徹夜のコンサートが15,000円。こちらは交通機関がないのでJTBがあっせんするバスに強制的に乗らされるようで、こちらも料金が発生します。高いんだか安いんだか・・・・。ドーピングで築いた50代とは思えない肉体に憧れる人には高くないんでしょう、きっと。

   その点、韓流アイドルのチケットはうまくツボを押さえていますね。9,800円というのが相場で、実際には発券手数料や配送料で1万円を超えてしまうものの、微妙なところで設定しています。韓流はえげつないこともありますが、商売のポイントは押さえているような気がします。

   ちなみに韓流アイドルの視線はもはや中国や東南アジアに向けられています。一時人気が沸騰しかけたT-ARAというガールズ・グループなどは、日本ではファンクラブも解散、死に体となっていますが、ベトナムに行ったら空港に出迎えのファンが2,000人くらい殺到していたそうです。少女時代も軸足は日本を離れました。KARAがどこまで日本で踏ん張れるかが微妙なところで、一部熱狂的韓流ファンの見たところでは、この二つのグループが日本から出ていくのに合わせて、以前ご紹介したApinkというグループが日本市場に本格参入し始めました。

   Apink、全員が真面目に日本語を勉強していますね。その上平均年齢が21歳と、若めです。6人構成ですが、ルックスの平均値は韓国のガールズ・グループ史上ベストだと言われているそうです。顔つきも、あまり韓国人ぽい顔ではありません。なおかつKARAや少女時代よりも設定がAKB48寄りなので、日本のファンにすっと受け入れられてしまうと思います。

   先日、バラエティー番組で、Apinkのリードボーカルであるウンジという子が、椅子に掛けたまま、MCのリクエストに応じて、”Let it Go” を歌ってみせました。 May.J よりもうまく、May.J よりも声量があります。勝負あったかな、という気がします。

   一応言い訳をさせていただくと、最近韓国ドラマにも食傷気味で、自然な会話になじむために、韓国のバラエティー番組をよく見ているのです。そんなわけで、いろいろと必要以上に詳しくなってしまったというわけです。次回の予定は、再び演歌に戻り、小林幸子と巨大衣装鑑賞となっております。

シンディー・ローパーを見る

2015-01-21 12:08:38 | 日記
  私の頭の中にある東京の交通網は、50年くらい遅れています。常磐線がSLだった時代からあまりバージョン・アップしていません。最寄り駅である松原団地から日本武道館に行くのに、前回はなんの疑問もなく秋葉原乗り換えで飯田橋まで行き、そこからそこそこの距離を歩いていました。昨日はせっかくの機能を生かそうと、パソコンで路線検索をしたところ・・・・・隣駅の草加で半蔵門線直通に乗り換えれば、武道館の足元にある九段下駅までそのまま行けるではありませんか。

   九段下で下車し、武道館に向かうと、歩道上で「シンディー・ローパーのグッズ」を販売している屋台が二軒ありました。へえ・・と感心しながらお濠を渡ると、今度は「チケット買うよ!」と呼ばわるダフ屋が5人ばかり。本当に商売になるのでしょうか。

   武道館の前にはグッズを売るテントがずらりと並んでいます。韓流アイドルじゃあるまいし遠の昔に還暦を過ぎたお婆さんのグッズが売れるのだろうかと見ていると、どのテントの前にもそこそこの人だかりが出来ているではありませんか。同年代の歌手でも、キム・ヨンジャや天童よしみはグッズ販売はありませんでした。外タレの強みなのでしょうか。

   中に入ります。売店ではビールまで販売しています。韓流アイドルのコンサートでは酒類は販売していなかったように思います。落ち着いたお客さんしか来ないという判断なのでしょう。席に着いて客層の品定めをすると、さすがに子供はいません。女子高校生を二人ばかり見かけたのが最年少だと思います。演歌のように、トイレが近い高齢者もいません。平均年齢は40代後半から50代前半というところでしょうか。かつ、目測でざっと8割5分くらいが女性です。

   写真は撮るな、録音するなという通り一遍の注意が繰り返され、少しずつ開始時間が迫っています。私が席に着いたのは開始30分前だったので、「中国破れたり・・中国の無法な領土拡張行為に対して世界中が大反発!」という本を読みながら時間を待ちます。

   場内の照明が消されると、一応「オーッ」という完成が上がり、それを待つかのように、シンディー・ローパーの登場です。まずは舞台の上ではなく、場内横の出入り口から、歌いながらの入場して来ました。しかし、スタッフが10人以上周囲をぎっしり取り囲んでの密集体形なので、肝心の本人が目立ちません。韓流アイドルのように台車に乗って登場すればもう少し目立ったと思うのですが、これはあまり成功とは言えません。第一本人が小柄なので、一階席の人たちからは彼女の姿が全く見えなかったのではないかと思います。

   衣装は残念ながら、ホントにこれでいいのか?と思わせる、正直言って垢抜けないことこの上ない物でした。頭には馬鹿でかい真っ赤なカツラを被り、腰にはダチョウのお尻を思わせる塊がドサッとくっつけられています。これではまるで老いた鶏です。果たしてこれは彼女が自分でデザインした衣装なのかどうか・・・。だとしたら次回はぜひ専門家にデザインを依頼することを勧めます。

   そもそも客層が落ち着いた年齢なので、最初から立ち上がるような人は皆無、ペンライト・・・サイリウムという方が正しいのでしょうか?は20数本しか見えません。意外なのは、お客さんたちが結構彼女の歌の歌詞を覚えているということです。彼女がマイクを客席に向けると、そこそこの数の人たちがその部分を歌ってくれます。

   しかし、途中で彼女がやや激しいリズムの曲に入った時、突然私の前の方に座っていた若い男女が立ち上がり、踊り始めました。それに刺激されたかのように、あちこちで同じように立ち上がって踊り出した人がいます。シンディー・ローパーもその様子を見て、観客にあおりを入れ始めました。それまで何度か階段の途中まで降りては戻っていたものが、今度はアリーナまで降りて来て、客席の中に割って入ります。通路ではなく、本当に客席の中に入り込み、椅子の上に立って歌い始めました。このあたりは年の功ですねえ・・・。少女時代やKARAがこれをやったら、収拾がつかなくなってしまうこと間違いなし。

   彼女が入り込んだ客席の周囲の人たちも一斉に立ち上がって、両手を高々と掲げ、曲に合わせて左右に大きく振ります。ただ、同じことを二か所で行ったのですが、ほぼ同じ人数の人が立ち上がり、同じ動作をしていたところを見ると、サクラを用意したパフォーマンスだったようにも思えました。

   終了間際に、彼女は「上を向いて歩こう」を歌ったのですが、これはやらずもがなのパフォーマンスでした。なぜなら彼女はこの歌を全く覚えていなかったからです。床にカンニングペーパーが置いてあり、ついにはこれを拾い上げて、見ながら歌おうとし、観客たちも一緒に歌って助けてあげたのですが、結局途中で放棄してしまいました。一曲くらい覚えることは可能だったでしょうに、誠に残念です。

   少々がっかりさせられたのは、このコンサートがあまりにも短時間で終了してしまったことでした。開始から1時間15分を過ぎたところで全員退場、やがてシンディー・ローパー一人が戻って来て、バンドなしで一人で数曲を歌い、1時間半で終了、場内の明かりが一斉に灯されました。場内が明るくなったということは、これですべて終了という意味です。しかしあまりの短さに、終わったことが信じられないのか、多数の人が拍手を続けて、アンコールを要求していました。少しして本日は終了しましたとのアナウンスがあり、皆さん微妙な不満足感を抱いたまま帰途についたのでした。

   1万円をちょっと切る入場料で、KARAはほぼ2時間、少女時代に至っては2時間半にわたり、歌いまくり、踊りまくりましたが、シンディ・ローパーはそれよりかなり高めの料金で1時間半で終了。アメリカ人歌手とはいえ、この違いが気にならないと言えば嘘になります。おそらくは前期高齢者にあたる年齢なので、それ以上は体力的に無理があるということなのだと思います。であれば、新人歌手でも連れて来て、途中で数曲歌わせて、自分は休憩するなどの水増しをすれば良いと思うのですが、どうもそういう発想は無さそうです。

   ともあれ、バンドのメンバーも孫がいそうな年齢、バック・コーラスの女性もアップで見たらかなりの年齢。本人も確か私と同い年だと思いますので、もしかしたら今年で見納めになる可能性もなくはありません。その意味では見ておく価値はあったかな、と思える公演でした。
   
  

俵万智とシンディー・ローパー

2015-01-20 14:58:19 | 日記
  俵万智の歌

   子を連れて西へ西へと逃げてゆく
   愚かな母と
   言うならば言え

   東北大地震の5日後、居住地の仙台から7歳になる息子を連れ、闇雲に西へ日へと逃げて行き、石垣島に落ち着いた歌人が詠んだ歌です。この歌について、私はこう評しました。
   
   「母としては愚かではないが人としては愚かだ。この歌を発表すべきではなかった。」

   残念ながら多くの書き込みの中で、私のこの文章だけが消えてしまっています。許せないと思った人の手で削除されてしまったのでしょうか。

   仙台の住民の中で、その地を離れて遠くの土地へ避難した人の数は、恐らく数えるほどだと思います。ほとんどの人は、その時居住していた場所に今後も住み続け、被災地のためにできることがあれば協力しようと考えていたのではないかと思います。あっという間に逃げ出した歌人の行動は、震災に伴うヒステリー症状であったのでしょう。

   私は、この歌を発表すべきではなかった、と述べました。これからその理由を述べてみます。それは、多くの人が言っているような、「逃げても逃げられない人の方が多いのに、この歌はどうかと思う。」とか、「逃げるだけのゆとりのない人たちを心の中でバカにしていると思う。」といったことが理由ではありません。確かにこの歌を目にしたとき真っ先に浮かんだのは、せつない母心に対する共感ではなく、軽い吐き気を伴う嫌な感情ではありましたが。

   この歌を読むと、「あたしは子供を連れてさっさと逃げましたけど、それがどうかした?何か文句あるの?」
と言っているようにも感じるのです。感受性豊かな歌人であれば、そこまで先を読むべきでした。更には、最終的に落ち着いた石垣島でのゆったりとした生活を賛美し、経済的発展を目指す日本という国を非難さえしています。そこには、あくせく日銭を稼ぐという生活を送らざるを得ない、貧しい人たちに対する共感の視線はありません。手ぶらでも暮らしてゆける人間が、お気楽に語っているだけのことです。

   震災の後、多くの人々が北へ向かいました。石垣島に閉じこもった 俵万智とは正反対の行動です。その中には多くの芸能人が含まれています。石原軍団はプロダクション所属の俳優が総出で炊き出しに当たりました。多くの歌手が現地に向かい、慰問活動を行いました。AKB48でさえ、少人数のグループに分かれ、何度も現地を訪問し、歌い、踊って人々を励ましました。しかし彼女は気候に恵まれた南の島に移動し、そこでの生活を賛美するばかりで、何一つ被災地の役に立つような行動をとってはいません。

   ここで重要なのは、彼女が名もない未婚の母という役回りではないことです。有名人には有名人として、社会貢献をすべき時があるのです。上記のような芸能人たちは、もちろん売名という部分が含まれているにせよ、その立場にふさわしい活動をしました。森昌子なども、避難所の体育館で、被災者たちと同じ高さに立って、歌いました。

   ここで考えるべきことがひとつあります。それは、「公人」と「私人」の別、ということです。公人の代表は誰か。それは恐らく天皇陛下と皇族です。天皇陛下と皇族たちが震災後放射能に怯えて東京を捨て、沖縄に非難したとしたら、恐らく日本中がパニックに陥ってしまったことでしょう。一部の韓国人などは、街に出て喝采を叫びながらデモ行進をしたかもしれません。しかし陛下と皇族の皆さんが皇居を離れることはありませんでした。離れてしまうことの意味を分かっていたからでしょう。つまり、公人には公人として取るべき道があるのです。

   では俵万智は公人なのか私人なのか。彼女の取った行動は正に、ただの私人そのものでしかありませんでした。しかし、彼女は処女歌集が200万部を売り上げて全国にその名を轟かしたばかりか、政府の「国語審議会」(名前はうろ覚えですが)の委員に任命され、重責を与えられたことがあります。この二つを考え合わせれば、彼女は震災に当たって冷静な行動をとるべきでした。私に言わせれば彼女は仙台に残り、被災者を激励すべき立場の人だったのです。人々の先頭に立って、力を合わせて頑張りましょうと叫ぶべき人だったのです。 

   この歌人とは正反対の行動をとった女性がいます。当時既に還暦に達していたのではないでしょうか。しかもその女性は日本人ではありません。彼女がバンドマンとスタッフを引き連れて日本に向かって来た飛行機が成田空港に着陸する寸前に、東北大震災が発生しました。しかし、アメリカに引き返すべきだという同行者たちの意見を退けて、彼女は、激しい余震と計画停電で明るさを失った東京で、果敢に自分のコンサートを刊行したのです。当時の動画を見ると、彼女は薄暗い舞台上で、大きな日の丸を背中にはおり、日本と日本人に対する強烈な応援をしてくれています。

   その人の名はシンディー・ローパー。俵万智が早稲田大学を卒業し、高校の国語教師という恵まれたスタートから歌人として名をなしたのに対して、彼女は高校すら卒業していません。歌手デビューを果したのもかなり歳がいってからの事です。二人の苦労の度合いの差が、震災に対する態度の差となって現れたでしょうか。いずれにしても、私はシンディー・ローパーの方に共鳴し、感謝せざるをえません。彼女は「公人」としての義務をきっちりと果たしてくれたからです。

   当時は多くの人々が日本を捨てて海外に避難していました。KTSの生徒の中でも、中国とのハーフの子が中国に避難し、欠席時間数が増えて、進級が危うくなるまで帰って来ませんでした。教員でも、ドイツ人の夫を持つ女性教師がドイツに避難してしまいました。そのことを思うにつけてもシンディー・ローパーのとった果敢な行動は絶大な称賛に値すると言えます。

   という訳で、私はこの後、本日行われるシンディーローパーの武道館コンサートに向かいます。感想は後日書かせていただきます。