どうも、ren.です。
急に昨夜から飼い犬の具合が悪くなって、一家がバタバタしています。
病院にも連れて行きましたが、結局は老犬であるからという理由でしかないようで。
昨日の夕方まで、いつものようにやかましく吼えていたので、ちょっと当惑。
● 「ハーン・ザ・ラスト・ハンター」 筑摩書房
全体的に蛍光グリーンが使われているので、正確な色がスキャンされていません。
カテゴリーは"└ニンジャスレイヤー"にしていますが、正確には違います。
忍殺の著者であるブラッドレー・ボンド=サンが推薦する同人小説のアンソロジーになっています。
私も書籍の紹介ではボンド=サンの新作かと思っていたので、序文を読んでがっかりしましたが、これはこれでかなり面白い本でした。
翻訳も忍殺シリーズ全般の本兌有=サンと杉ライカ=サンなので文体にも同様の特徴があります。
掲載作は全て忍殺同様、日本であって日本ではない、ジャポニスム・パンクとでも言うべき作品群です。
紹介文は帯から引用しましょう。
表題作を含む「ハーン・シリーズ」2本は、西部劇の老ガンマン風の妖怪ハンターであるハーンの活躍を描いたバイオレンス・アクション小説で、一番忍殺に雰囲気が似た作品です。
各作品のあとには作者や作品の紹介が載せられていますが、作者は自他共に認める忍殺フォロワーだそうですから納得。
巨大ロボットモノと学園逆ハーレムモノを足したような「エミリー」シリーズは、なんと第27話のみを掲載ですが、何の問題もありません(w
アイアンドレスという複座式の巨大ロボットで怪獣と戦うという、「パシフィックリム」を思わせる作品ですが、"メアリー・スー"的な都合のいい物語の雰囲気は、ほぼ「薄桜鬼」などの乙女ゲーですね。
ということは、日本でもウケるかも?
「阿弥陀6」は、豆腐製造宇宙ステーションというジャポニスムな舞台ながら、ハードなSFホラー作品です。
登場人物も最低限であり、ある意味では舞台以外はよくあるB級SFなのですが、雰囲気がいい。
個人的にはB級SF映画「ヴェロシティ・ラン」を思い出しました。
「流鏑馬な!海原ダンク」は、端的に言えば「イナズマイレブン」みたいな超能力スポーツバトルモノ。
アメリカからの留学生が、金持ちの牛耳る町の高校で、その御曹司とバスケットで対決するというお話。
ただ、雰囲気は映画に喩えれば「ベスト・キッド」や「ティーンウルフ」かな。
「ジゴク・プリフェクチュア」は、隔絶された里にまつわる都市伝説と食人族ホラーを合わせた様な作品。
襲い掛かってくる村民のひどく訛った日本語(らしき言葉)が、読めそうで読めないところも秀逸。
映画「ヴィレッジ」の逆パターンって感じかな。
「隅田川」シリーズは、昭和ロマンといった感じの料亭オムニバス。
作者が伊丹映画の「タンポポ」などが好きだということで、よく雰囲気が出ています。
なるほど、外国人にとっては、会社の飲み会や慰安会って、不思議な光景なんだなぁ。
「ウィルヘルム」シリーズは、「SAO」や「「ログ・ホラ」のようなMMO・ネットゲーム内を舞台にした小説。
ただ、キャラクターは操作プレイヤーの存在を気にしておらず、確固たる一人のキャラクターとして描かれています。
海外プレイヤーから見た、日本のMMOやプレイヤーの様子をカルチャーショックとして描いています。
個人的には「ハーン」と「ウィルヘルム」が好みですが、他の作品もどれも十分に満足感を感じ作品でした。
単発シリーズでないものは、ぜひ続きを読みたくなりますし、今回の本では収録が叶わなかったという他の試作品にも興味がわきますね。
もしかしたら忍殺に負けず劣らずな人気翻訳シリーズになりそう。