五十四 あなた、まだ採取するの

あ、“ぷおうぬの　とぅをうふうふの　うふほふふすの　あひや”はな、つまりは、ねおほど、話が広がってしまう。
それ程、風呂敷は広い。
要するに難波政経力、苫小牧産魚介類から、上海の料理法までをも、全力駆使なる難波、気合の御殿が例えばここだった。
ぐへぐへ系の極み、なんだよ。

高級鯨肉やサメ、マンボウ、イルカ、鯛、シーラカンス、ウミガメを薄く捌き、ふぐ刺し状に盛る。
これが、中の下との駒。
瓦斯内蔵型焜炉を灯し、鍋を茹でる。
犬の肉、ウサギの肉、自害せし娼婦のおっぱい、猿の脳の千切りのしゃぶしゃぶ。
タレは香港の最強として生き残りし、軍鶏シャモ店舗の麻辣麺のタレ。
膳の間での客による追加注文が相次いだ。
無料で、無限回数が可。
胸を晒し、腰巻だけをまとう二十代の色白イラン人女性が、何かを云いたげな表情を、四肢の窮屈さの血栓理由として仄めかす舞いを三味線の音と共に踊る。
見掛けし者は出身言語を無視し、必ず、喰い、に全身が持っていかれる。
福建省の武術の璽奥と、難波の舞踊の璽奥が掛け合わされた結果だった。
大広間でのこの舞いを月技術、淡い光を発するミラーボールが回り照らす。
この機会は、確かに客へ、発言していた。
何を喰ってもいいですよ、と。
客は、宿の給仕に声を掛ける。
給仕は客の目付きと声色ですぐに察する。
女を、ご所望と。
十代後半から三十前の女が、一時間以内に五人、大広間を訪れて来る。
客は女と歓談を始め、気に入った女を部屋へ連れていく。
または、その場で脱がし、躍らせる。
避妊具無しで、月が四十年前に発行せし古新聞に小見出しを加える。
上海の優秀上位層ならここに。

商工会議所で取引が成立してから次の日、トゥアウリュの密使は京から難波に向かう。
そこでは同輩が待っていた。
代表と京で交わされし取引項目を伝えられた難波滞在派は、定まっている手筈に従い、書簡を郵送する手続きに移る。
トゥアウリュが専属契約中である船は書簡を乗せ、ウラジオストクに向かう。
ここでトゥアウリュ構成者は、使用機会が厳格管理さる電報を使用する。
エカテリンブルグЕкатеринбург、ノヴォシビルスクНовосибирск、間を移動し続けていた同輩馬車が乗せし端末は内容を受信する。
“物流移送を依頼す。
一等級規格にて。”
受信側はこれで、取り扱うべき仕事の規模、対象物を分かった。
ぶっ飛ばしなる質、大量を、と。
受信者は驚愕する。
“・・・パリが、まだどこに。
方角は東、ウラジオストクへ、だと。
何を言っているのだ。”
そしてウラジオストクは商工会議所で交わされし取引を反映せし指示を抱え、待つ。
京の代表配下と、トゥアウリュの代表配下との、官僚同士の会話によると、京の代表の政治権勢が母体として頼る先は、難波の一級旅館を束ねる品質管理組合など、との事だった。
当該京の代表をトゥアウリュに紹介したのは、難波を見聞する歩みにあるトゥアウリュが自然と出会った政治家との、つまりは気に入った品目を取り扱う店を統べる経営意思殿だった。
今回の取引は、ともかく京ではなく難波に、大量の物流恩典をもたらしていったが、この結果配剤は商工会議所での、どの取引についても同様だった。
また京、長らくの在り様は、突如なる物流降雨を穏便に避ける風体を選んでいた。

難波に到着せしロシア製家具は、京と同様の評価を受けていた。

“こちら殿方を、どう致すべきであろうか。”
検分を担当せし卸屋は大いに困っていた。
納入先は、大型旅館と、家具展示施設が専らだった。
多国籍居酒屋への納入は幾度となく検討されていたが、家具一つずつが誇る高級品質感、これが立ち話中の赤ら顔の肘支えとしては、“いずれ怒り猛る后”との判定が続き、実現はならずだった。