無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

変らない報道ぶり

2009年09月01日 | Weblog
衆院選は民主党が圧勝し、長期に亘る自民党から政権が交代することとなった。

国民にとって喜ばしい出来事なのに、気分が晴れないのは、マスメディアの報道姿勢のせいだ。

とは言え、気分が晴れる方の記事から先に載せてみる。

日刊ゲンダイには次のような大きな見出しが連なっている。

歴史が変った!

政権交代 ついに 実現!

これは 明治維新のような 無血革命だ!

真の民主主義のスタートに全国民が期待とコーフン!


マスメディアは国民の側に立って報道するならば、全てのテレビ・新聞の報道は上記の様な記事で良いのだ。

しかるに、海外メディアが上記、日刊ゲンダイと同様の内容を世界で発信しているのに、日本のマスメディアは未だに今までと変らず(国民を無視した)権力争い・政治の権謀術数・政治的カケヒキといった視野からの報道を繰り広げ民主党の足を引っ張ろうとしている。

産経新聞の8/31の朝刊には次のような見出し

「鳩山首相」 恍惚と不安

(無風注:圧勝が決まった後の鳩山代表のインタビュー(複数)を見ている私にとって、この「恍惚」という表現がどこから出てくるのか、どういう見方をして「恍惚」といったのか、全く理解に苦しむ。

選挙の次の日の早朝、ラジオで産経新聞の政治部長・乾正人氏が、(民主党のマニフェストは財源無きバラマキであり、無駄使い等では財源は出てこないので)「民主党には全く期待できません」と発言していた。

乾氏は産経新聞の政治部長として盛んに彼の論説で「憲法改正し集団的自衛権を認め、海外への軍隊(今は自衛隊)派兵(今は派遣)を恒久法化して、核保有し、敵基地攻撃能力を持ち、アメリカに向かって発射される北朝鮮のミサイルを打ち落とせるようにすることが肝要」と力説している人なので、民主党が政権をとったら(自民党と違い)今後4年間は「憲法改正」も「集団的自衛権を行使できるようにとの憲法解釈変更」も没になることは確実なため「民主党に期待できません」と考えているからで、政権交代実現という輝かしい日に、このような人物をラジオに出して発言させる事は不要なのである。これは一つの例だが、どこのマスメディアも出す人物(政治家・評論家・町の人)が「違っている」。


テレビに出てくる人々がこの政権交代についてどのように国民に洗脳報道しているか。

天木氏のブログを借りるとおおむね次の様になる。

1.民主党は勝ち過ぎた。(独裁が心配)

2.国民は民主党を支持したのではなく、自民党を見放したに過ぎない。(自民に不満、民主に不安。で自民に不満の方が強かったための民主の勝利に過ぎない)

3.民主党の政策実現能力が問われるのはこれからだ。(早急に〇〇しろ!とのマスメディアの要求多い)

4.民主党は小沢支配が進んで、いずれ内部対立が顕在化する。

5.参院では社民、国民新党との連立がなければ過半数を確保できない。(しかし安全保障で意見不一致)
  外交・安保政策の党内不一致が致命的となる。

6.民主党の政策は財源根拠乏しく、バラマキである。財源を捻出できるわけが無い。

7.4年前自民圧勝、今回民主圧勝。風に流されブレる国民。

8.前回、多くの小泉チルドレン、今回、多くの小沢チルドレン(小沢レディース)。(頭数だけ揃えて、何が出来る…と批判)

9.狡猾な小沢の選挙戦略(小沢の刺客)。


民主党や小沢氏等を批判し、国民に民主党政権に対する不安を煽っている。

だがしかし、である。

例えば、新しい学校に新入生として入る時、新しい会社に新入社員として入る時、人は期待と不安の感情を抱く。

新しいことをやろう、良くしようとの未知の行動を起こそうとするとき誰でもが抱く「期待と不安の感情」。
だが、たいていの場合「期待に胸を弾ませる」と表現される如く、誰でもが、期待が大きく希望に燃えるものだ。

今回の選挙結果で新しいことが始まろうとして「国民は期待コーフン」につつまれている時に全てのマスメディアが水を注し、「期待と不安」の不安を強調、国民に不安を煽っている。 テレビに映し出す映像も「(年配の男性の)子供手当て、といっても私には増税になりますよ」「(農家のオバサンの)支援と言ってもいくらもらえるかも分からないし不安ですね」「(町の若者の)期待半分、不安半分。不安も多いです」といった声ばかりを集め、ネットのブログで多い意見「長期政権による癒着・腐敗の洗濯(天下り・政治献金・官僚主導政治)」「年金・医療・介護・格差社会・大企業を向いた政治」等、国民の「バンザイ・バンザイ」といった喜びの声を映し出さない。

これから民主党が政権をとってやることの一つ一つが皆、革命的なことになるのだ。

国民を向いた政治、国民が今まで半世紀以上経験したことのない出来事が起きるのだ。

おそらく、自民党や財界・官僚の思わぬ抵抗に屈しなければ、数年経ったら国民は「今までの『政治』は何だったんだろう」との感想を持つに違いない。


(天木氏のブログを借用)
今度の選挙は民主党の圧勝であると同時に、国民が勝利した選挙だった。

政治記者、政治評論家にとっては「政治の面白さは権力闘争にある」、それがしばらくの間、凍結されることになり、彼らの出番はなくなる。(M:余談だが私もさいとうたかお氏の歴代首相や自民党総裁の権力争いを興味を持って読み漁ったものだ。ただ「面白い」と思えるのは、それが「過去の出来事」だからだ。いま現実に行なわれている政治は自分の生活に直接影響する。即ち当事者であり、権力闘争を「面白い」と見ている観客ではないのである…今の報道ぶりに対する私の批判)

「小人閑居して悪をなす」の例え通り、政治報道はつまらないことをやりはじめるだろう。

そして既に、その兆しがある。

むやみに与野党間の対立を起こそうとしたり、民主党内部の分裂をあおってみたり、小泉進次郎や東国原や橋下などをメディアにさかんに登場させて、政界再編の際の次のスター役を捏造しようとするだろう。

山本一太とか世耕とか平沢とか高木といった自公政党の生き残り政治家をこれからもテレビに頻繁に登場させ自公政党の退場を妨げようとするだろう。

小泉・竹中改革が否定されたというのに竹中平蔵を選挙直後のテレビに登場させて、改革続行の重要性を言わせたりしている。

これは要するに「民主党ばかりをテレビに登場させることはしない」ということだ。(M:逆に自民党の落選者の『(民主党に圧勝させてしまって、今後の民主党政治に)恐いものを感じる』等、民主党政治批判をどんどん流し、更に『早急に〇〇や××が必要だ』等、課題を押し付けている)
民主党の圧勝からのショックを一日もはやく消し去ろうとするのだ。
鳩山民主党の圧勝さえ利用しようとするメディアの厚顔である。

民主党政権は自民党政権とは違う。
政官財の癒着と言うこの国の悪弊をなくそうとしている。
国民の意見に耳を傾ける事が運命づけられている。

その意味で民主党政権を監視し、その誤りを批判するのは、すべての国民の共同責任である。

そうであれば今度は国民の覚醒がもっとも重要になってくる。

国民が覚醒しなければ民主党政権を正しく導いていくことはできない。…以上、引用終り


重要なのは、最後の部分である。いくら民主党が衆議院で圧倒的多数を占めたからといって「数の力で押し通すことはしない」と言っている鳩山民主党が政官財の癒着を解いて行く時に必ずぶつかるであろう抵抗に対し、それを跳ね返す力は「国民の応援」(抵抗に対し民主党と一緒になって“甘い汁を吸ってきた勢力”を非難すること)である。デモ等の民衆の力は大きなものがある。

政府=国民の信託を受けた国の権力者がその下部組織の各省庁に指示・命令し監視する組織図である。

言葉を変えれば、今の日本は国民主権である。
その国民が選んだ政治家(政府・内閣)の言うことを省庁(公僕)が聞かないといったことがあってはならないのだ。

もしそういったことが起こったならば、その一部始終を国民に開示し、国民と一緒になって官僚を糾弾するのがマスメディアの役割である。もうそろそろ、その本来の報道の姿勢を取り戻して欲しいものだ。

最後に、最初に書いた「歴史的な出来事なのに気分が晴れない」理由を引用しておく。

(産経新聞引用)
(自民党の選挙大敗の理由の一つとして)…しかも、麻生太郎首相は、古くからの自民党支持者の心をつなぎ止める事が出来なかった。これまた何度も書くが、靖国神社を終戦記念日に参拝しなかったことへの保守層の失望は大きい。
…民主党にはしっかりと国政にあたってほしい。ただ残念ながら、政党の背骨ともいえる党綱領を持たず、安全保障政策も定かでない民主党がつまずく可能性はかなり高い、と私は思う。…政治部長・乾正人氏

見出し:「鳩山劇場」多難な開幕

見出し:「友愛」「財源」大丈夫?

…日米外交を含め民主党の外交・安全保障政策には危うさがつきまとっている。
鳩山氏が掲げてきた「友愛外交」とは何なのか。
子供手当て…などの目玉政策の財源問題も鳩山氏の肩に重くのしかかる。(M:鳩山氏が大丈夫だと言っているのを全く無視――どのマスメディアも同じ)

見出し:手品使うしか…

…民主党には「民主党の手品が見たい」(小泉元首相)という“期待”に答える責任がある。…引用終り

何で、日本をぶっ壊して、こんなにしてしまった小泉元首相の言葉を出し、これから「小泉元首相が破壊した日本を何とかしようとしている」民主党に、その小泉元首相の“期待”に答える責任があるだ!!!!!

私が喜んで新聞を見た結果「気分が晴れない」となった気持をわかってもらいたい。

こんな報道ばかりしているから、フランスのルモンド紙の報道に対して下記の様なコメントがつくことになる。

洗脳報道の結果の一例

【元ネタ】政治的「大変動」 仏メディアが異例の大報道展開

ルモンド紙やフィガロ紙の電子版も「野党の歴史的勝利」と速報。
「自民党の自由主義的な政策の行き過ぎに、有権者が制裁を加えようとした結果」と分析した。

【それに対するコメント】実際はテレビという名のマスコミに影響されただけの選挙なのにね。海外メディアは「有権者の制裁」とか大仰なこと言っちゃってるけどw …(M:これだ!マスメディアの報道による洗脳例)


今日はここまで、またね。