“かあちゃん”じゃない母

2002年05月01日 | 家族

昨日、ひだまりの家に着いたのは、
午後6時半頃だった。
3時に所沢を出たので、
まあ普通の時間で着いた。

駐車場に兄の車があった。
兄は仕事が終わってから毎日寄っている。
テーブルのある広いところに、
お年寄りがあちこちにいた。
ざっと見たが母はいなかった。
部屋が変わったというので、
職員の人に訊いた。
案内された部屋に行くと、
奥のベットに母は寝ていた。
兄は足を揉んでいた。

「かあちゃん、ひさしが来たど」兄がいう。
母は私を見ても表情の変化がなかった。
「かあちゃん、ひさしだど」
「ひさしちゃんか…」
と私を見るが、
自分の子どもを見ている目ではなかった。
見舞いに来たどこかの男の人、を見る視線だった。
息子たちのことを話せば、思い出すかな、と考え、
UとKという名前をいっても、
なんの反応もなかった。
「お子さんがいるんですか?」
と真面目な顔して私に訊く。
あれほど可愛がっていた孫だったのに。

今日、12時半に行ったとき、
母はまだ食事をしていた。
私ひとりで行ったので、
最初、誰だか分からずポケっとした顔で
私を見ていた。
「かあちゃん、ひさしだよ」
「ああ…、ひさしちゃんか。ずいぶん来なかったな」
「昨日来たっぺな」
母は黙ってしまった。

私は冷たい人間です。
“かあちゃん”の気持ちを忘れた母と
相対していることが出来ません。
母の顔を見ていると辛いです。
こんな自分がいやです。




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