ささやかなボディーブロー

2000年12月17日 | 家族

 11時前、このところ毎晩しているお灸を、女房にしてもらった。
 おれにはお灸が合うようで、腰痛がずいぶん良くなった。
 そのとき、なにげなく女房がいった。
「結婚したの後悔してるんだ」
「おれと?」
「もっと金持ちとすればよかった」
「………」
 夕方から、女房は明日会社に行くことに憂鬱になっていた。「もっと楽な仕
事したいな。2、3時間のパートがいいな」なんて呟いていた。
「すいませんね。収入が少なくて」
 お灸が終わり、立ち上がりながらおれはいった。
「いいのよ。私が自分で決めて結婚したんだから、しょうがないよ。嫌みなこ
といってゴメンね」
 そういって、女房は寝た。
 おれは、会社の仕事をExcelでやりながら、まいったな、と思った。
(そりゃ、こんな低い収入しかとれないおれが悪い。おれだって、一所懸命や
ってんだけどな。まいったな)
 彼女だって分かっている。分かっているけど、明日会社に行くことを考える
と憂鬱になり、そんなこといってしまったのだろう。
 朝、女房は電話で実家の母と話したとき、弟のボーナスが百万円ぐらいだっ
た、と聞いた。そうだろうな、複写機の一流メーカーだ、そのぐらいもらえる
だろう。おれなんか、その三分の一だ。以前の会社のときはおれだってそこそ
こもらっていた。
 おれの収入は安い。分かり切ってることなので、それほど落ち込まないが、
あれから2時間ほどたち、じわじわと自分が情けなくなってきた。
 昼間、女房と所沢の西武デパートに行き、宝くじを20枚買った。おれは、
ロト6というのも買った。
 しみじみ、当たらないかな、と思う。
 当たるはずないだろうな。

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