Uの涙

2000年11月22日 | 家族

 昨日、Uのグリークラブの男性定期演奏会があった。
 女房は仕事の関係でどうしても行けなくて、私ひとりで行った。
 私も5時まで仕事をして行ったので、会場の新宿文化センターに着いたのが
7時だった。
 ロビーには沢山の人がいた。曲の途中では入れないからだ。1部の第1ステ
ージが終わり、私は客席に入った。
 第1ステージは、皆川達夫さんの指揮です(Missa Mater Patris)。
 昨年もそうだった。これを聴けなかったのは残念です。
 前の方が空いてたので前から5列目の左の通路脇の椅子に坐った。
 第2ステージが始まった。薄暗いステージにグリークラブの学生が入場する
のを、私は目を凝らして見ていた。Uの姿を見つけた。うちにいるときと同じ
姿勢で歩いてる。あたりまえか。
 ステージのライトがついた。Uは、私の真っ直ぐ前10メートル先にいた。
Uと目が合ったような気がした。ちょっとテレくさい。なるべく正面は見ない
ようにした。しかし、どうしてもUに目がいく。
 一所懸命歌っていた。
 第2ステージは、トスティ歌曲集だった。中学のときな音楽の時間に習った
トスティのセレナーデに私の胸は熱くなった。
 休憩をはさんで2部の第3ステージは、川崎洋の詩による五つの男性合唱曲
「やさしい魚」。第4ステージは、北原白秋作詞の男声合唱組曲「柳河風俗詩」
というふうにプログラムは進んだ。
 もう眠たくなったので話を飛ばします。
 アンコールの最後の曲を歌いながら、Uが泣いているんです。前列の子は、
アンコールの曲になってから泣いていた。向かって左から2番目の胸にバラを
つけた4年生も号泣といってもおかしくないくらいな状態で泣いてた。
 Uのそういう状態を見て、私も目頭が熱くなった。
 歌を聴いているとき、Uの赤ちゃんのときの頃、幼稚園、小学生、それ以降
のことをいろいろ思った。あんなちっちゃかったUが、いっちょまえにグリー
クラブだ。
 私が高校生のときのブラスバンドの定期演奏会に、親父が来てくれたっけ。
あのときの親父も私と同じようなことを思ってたのかな、なんて考えた。
 さっき、Uが帰ってきたので、
「なんで泣いたんだ。金髪の子も4年生もひとり泣いてたな」
 と訊くと、
「4年生と2年生は仲がよくて、いろいろ世話になったんだ」
 という。
「定演で最後だから、感極まって泣いたのか」
 アンコールの2曲目が泣かせたらしい。
 昨日は、徹夜で大学の近くの飲み屋で打ち上げをしたという。
 Uは、まずまずの大学生活を送っているようだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 落ち込み中年の自慢話 | トップ | おやじのせなか »
最新の画像もっと見る