黒沢明が亡くなりましたね。
歳が歳だけにそれほどの感慨もないのですが、なんといっても、私は黒沢明
の映画で映画に目覚めたものですから、黒沢映画と私の出会いを書いてみます。
私が初めて黒沢映画(と意識して、実は子供の頃観ていた)を観たのは、そ
の頃月に1回開催されていた東京都文京区立小石川図書館の「名作映画鑑賞会」
(という名前だったような)でした。
私が19歳のときだったと思う。本郷三丁目の小さな(従業員7、8人)試
薬会社(この会社を私が辞めた後に、赤軍派の大導寺綾子が入社してきました)
で私は働き、夜はお茶の水のある予備校の夜間部に行っていた。15日と月末
に私は、集金のために本郷、神田、お茶の水界隈の大学の医学部や医療機器の
会社などを自転車で集金のために回っていた。そんなときに、小石川図書館の
「名作映画鑑賞会」のポスターを見たのだと思う。
図書館の小さな上映室ですから、スクリーンは畳三枚ぐらい(へたな表現で
すね)だったかな。そのとき観たのは「羅生門」でした。初めのシーン、雨の
中の羅生門で心を打ち抜かれた。あのシーンで“ほんもの”と感じました。私
はそのとき芥川の「藪の中」をまだ読んでなく、ストーリーにも引き込まれた。
それから黒沢映画を観ましたね。おもに池袋の文芸座でした。
黒沢映画に出会えたことは、私にとって幸せでした。
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