鬼熊酒屋

2016年01月11日 | 健康・病気

剣客商売「辻斬り」(池波正太郎著 新潮文庫)を正月から読んでいる。
「鬼熊酒屋」は、その文庫の最初の小説です。
六十になった小柄な秋山小兵衛が主人公だ。
老人だが、堀川国弘一尺四寸余の脇差をあやつることは巧みだ。
それと同じような小兵衛の人間への心くばりがいい。
居酒屋〔鬼熊〕は熊五郎の店だ。
「なんで、あんなじじいのところへ、銭をつかって飲みに行くのか、行く奴の気が知れねえ」
という近辺の評判だが、もう十年余も店をやって来られたのは、
「酒がよくて、勘定が安くて、食いものがうまい」からだそうな。
〔鬼熊〕には、養女のおしんと聟(むこ)の文吉がいた。
文吉はおだやかな気性で、口やかましい舅と、おとなしい女房の間をうまくとりもち、
客あしらいもよく、包丁もかなりにつかう。
初孫のおかよが生まれ、それから、いくらか〔鬼熊〕の空気も変わってきたようだ。
ある日の夕暮れ、したたか酔った浪人三人が店に来た。
「喧嘩を売って酒を売るというおやじは、どやつだ?」
「けしからん。客商売の身分もわきまえず、威張り返って酒を売るとは、まことにもってけしからん」
「われわれ三人は、ちょいと、そこらあたりのごろつきとわけがちがうぞ。さ、そのつもりで喧嘩を売れ、酒を売れ」
ここからこの短編のクライマックスに入ります。
池波正太郎の筆はすばらしい。
10年前ほど「鬼平犯科帳」を読んで、池波正太郎にはまったことのある私です。
また、「剣客商売」に心をうばわれそうです。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 藤山直美 | トップ | 選曲に悩む »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
池波正太郎 (ぷろべんざ)
2016-01-12 21:01:58
もう25年くらい前に中村吉右衛門の「鬼平犯科帳」のドラマを見ていました。盗人や密偵の一人一人に個性があっておもしろかったです。(江戸屋猫八の「相模の彦十」が味があってよかったですね。)
近頃では、図書館に池波正太郎の朗読CDがあるのを発見し、「鬼平」や「梅安」をたまに借りて聴いてます。「剣客商売」もあったはずなので、今度「鬼熊酒屋」を探してみます。
返信する
Re:池波正太郎 (九想)
2016-01-13 01:46:18
朗読CDはいいですね。
こんど図書館で探してみます。
軽井沢の図書館にはCD関係が少ない。
埼玉の家の近くの図書館にはそこそこあります。
私は落語のCDをよく借りて聴いてます。
相模の彦十、懐かしいです。
小説でしか知りませんが。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。