バリ山行

2024年10月04日 | 小説 エッセイ

9月25日に図書館で文藝春秋9月号を借りられた。
図書館では雑誌の最新号は借りられない。
10月号が棚に並んだら、文藝春秋9月号を借りたいと思っていた。
でも芥川賞の作品が載る9月号は借りたい人が多いので、諦めていた。
そしてやっぱり文藝春秋10月号が発売になった日には、9月号は借りられていた。
それでも図書館に行くたびに文藝春秋の棚は見ていた。
そして9月25日に、奇跡的にそれはあった。

私ははじめに「サンショウウオの四十九日」(朝比奈秋 著)を読んだ。
双子のことを書いた小説だというので、この小説を先に読んだ。
ラジオの「高橋源一郎の飛ぶ教室」(NHK)に、朝比奈秋が出て話していた、のを聴いていた。
私の息子たちは双子だが、この小説の姉妹は結合双生児だった。
二人の女性がひとつの身体を共有していた。
私の頭のわるさなのか、この小説がよく分からなかった。

そして今週から「バリ山行」(松永K三蔵 著)を読んだ。
この小説は私の心にストンと入ってきた。

古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年、
会社付き合いの苦手な波多は、同僚に誘われるままに会社の山岳部に参加するようになった。
波多は親睦を図る目的で気楽な山登りと思っていた。
あるとき、職人気質で職場で変人扱いされているベテラン社員妻鹿(めが)が、
山登りに参加するということだった。
彼はいつもは、あえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしている男だという。
波多の転職から気にかけてくれた藤木常務が定年退職してから、会社の営業方針が変わって、
そのために会社は景気がわるくなった。
そのうちに、波多に早期退職の話などもくるようになる。
ある日、波多は妻鹿にお願いしてバリ山行に連れて行ってもらう。
あらすじはここまでにします。

私も転職を何度もしてきた男です。
会社内の人間関係のいろんなことに、心当たりがあります。
そういうわけで興味深く小説を読んだ。
この人の作品はこれからも読みたいと思った。

「サンショウウオの四十九日」は、もう一度読み返してみます。



 

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