唐茄子はカボチャ

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善き人のためのソナタ

2007年09月04日 | 映画 ま・や・ら・わ行
善き人のためのソナタ スタンダード・エディション

アルバトロス

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東ドイツの話。
社会主義国と呼ばれていた国の内情は、自由のない、お互いを監視する体制に支えられていたわけです。

西側になびく裏切り者をつぶして行くことでしか国と体制を守れないというのもそもそもの国家として最悪なわけですけれども、それが進むと、体制に忠実な人でさえ犠牲になっていきます。その犠牲の中で、あらたな反対者がつくられて行き、末期的になって行くわけですが、まさにその物語ですね。

芸術のは、自由な表現が必要です。表現の自由を押さえつけても、心までは縛れないわけです。体制に迎合してしか生きる道がないと、心を押し殺して、その仕事をつづけていく人もいるだろうけど、絶対にどこかで押さえがきかなくなります。心が自由なんだから、その心に忠実に生きようとするのが人間の姿だと思うんです。
だから、体制に忠実だった人でも、立ち上がらざるをえなくなることになるわけですね。

そして、人の心に忠実だったからこそ、国家権力の犬だった人の心を動かせたのだと思います。まさに心の自由を描いた映画です。

ベルリンの壁の崩壊はそれまでの過程があったから、涙が出てきますね。本当に解放されて民族が一つになったという喜びに満ちた時間だったのだと思います。・・・と同時に今までの価値観が崩れ去った瞬間でもあったわけで、その動揺も大きかったのではないかと思います。

それと、女優さんがセックスを強要されて帰ってきてからの2人がいいです。お互い傷ついて・・・・でも、悔しいけど男はそれを責められない。ただ抱くしかないというのがつらいところです。あのとき、盗聴した人は、大喧嘩になるとおもったのかも知れません。そうならなかったところで彼も同じ痛みを感じてしまったのかもしれません。それが彼を2人の援助者にしたきっかけだったと思います。

女優さんがかわいそう。弱い人間だから裏切ってしまい、弱い人間だから自分の裏切りに耐えられなくなってしまったということでしょうか。悲しいですね。
彼女は周りが認めているようには自分に自信がなかったようです。クスリにたよって、体でことを済ませようとするところもありましたが・・・・そこがまた人間ですね。自ら身を滅ぼすところが・・・

社会主義の名を語っていた国が崩壊して、資本主義はどうか。日本の政治の激動は、資本主義の中で起こっています。貧困の拡大や環境問題、平和の問題を日本の資本主義の国家は何も解決できません。

それでも、日本がこのまま体制を維持しようと、国民を押さえつけようとするならば、必ず、東欧やソ連と同じ結果になります。
社会主義を名乗ろうが、資本主義国であろうが、民主主義の土台がないと、結局、崩壊の道をすすむわけです。