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…アジット・S・バラとフレデリック・ラペールは社会的排除を「社会的排除は多次元的で構造的な過程である。すなわちそれは一方では労働の不安定さや失業をふくみ、他方では福祉国家の危機、フレキシブルな[資本]蓄積のパターン、個人主義の台頭、そして第一次的連帯(たとえば家族のネットワーク)の弱体かなどを通じた、社会的なつながりの崩壊をふくんでいる」と定義している。」
…排除さrている個人の問題としてではなく、排除するコミュニティを変革しない限り、社会的排除の問題の展望は開かれないのである。
…近年「支援の狭間」と言われるような問題が顕在化し、主に「個別支援」として展開されているソーシャルワークの限界が顕在化してきている。そのなかで「支援の狭間」の問題を解決する方法として「地域支援」であるアウトリーチや予防的福祉を含むコミュニティソーシャルワーク、コミュニティワークが注目されつつある。
…地域において、住民の要求運動として、また民間の先駆的な福祉、さらにはボランティア活動、住民参加型福祉として、生存権を「公共」として担保してきた歴史でもある。今日そのような地域福祉における住民主体の実体化としての「公共」が「新しい公共」としても期待されている。しかし、この住民に移民は含まれているのだろうか。…宮島喬は「日本的な福祉の考え方の特質として、第一に、公の全面的な給付に頼ることを恥とする独特の「自助」意識、第二に、家族・親族への依存(あるいは活用)を当然とする傾向、第三に、企業内福利厚生に肩代わりを求める傾向があって、これらが実は、外国人住民たちを疎外する方向に作用してきた」と指摘している。…宮島の指摘は、そもそも日本の福祉制度が、家族福祉と企業福祉を前提にしていることから、移民は、より深刻な状況にあることを示している。さらに序章でも紹介したとおり、現時点でも、外国人の問題の大半は、日本語教育支援者や外国人支援ボランティア、通訳者による献身的な活動で支えられているのが実情である。
…地域福祉は,地域住民、さらにはその住民が居住する地域を対象として支援を行ってきた。しかし地域福祉は、生活困窮者、なかでもホームレス支援をしてきたのかという問いに対し、小野達也は「地域福祉が生活困窮者問題に対して的確に対応してきたとは言い難い」として、その理由を地域福祉は、対象別・領域別の発想ではなく、地域という場を基盤として対象を横断した総合的な視座をもつことが前提であったはずなのに、「いつの間にか想定が対象別・領域別になってしまい、制度を前提とするものになっていたのではないか。それによって制度の狭間だけでなく、地域福祉の狭間というものを生み出してしまった」と述べ…
…多文化共生地域福祉とは、地域福祉の推進主体である住民に移民などマイノリティを権利主体として明確に位置づけ、現在の地域を変革し、グローバルな枠組みのなかで、多文化共生コミュニティという新しいコミュニティを想像する地域福祉である。
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「多文化共生地域福祉への展望 多文化共生コミュニティと日系ブラジル人」朝倉美江
…アジット・S・バラとフレデリック・ラペールは社会的排除を「社会的排除は多次元的で構造的な過程である。すなわちそれは一方では労働の不安定さや失業をふくみ、他方では福祉国家の危機、フレキシブルな[資本]蓄積のパターン、個人主義の台頭、そして第一次的連帯(たとえば家族のネットワーク)の弱体かなどを通じた、社会的なつながりの崩壊をふくんでいる」と定義している。」
…排除さrている個人の問題としてではなく、排除するコミュニティを変革しない限り、社会的排除の問題の展望は開かれないのである。
…近年「支援の狭間」と言われるような問題が顕在化し、主に「個別支援」として展開されているソーシャルワークの限界が顕在化してきている。そのなかで「支援の狭間」の問題を解決する方法として「地域支援」であるアウトリーチや予防的福祉を含むコミュニティソーシャルワーク、コミュニティワークが注目されつつある。
…地域において、住民の要求運動として、また民間の先駆的な福祉、さらにはボランティア活動、住民参加型福祉として、生存権を「公共」として担保してきた歴史でもある。今日そのような地域福祉における住民主体の実体化としての「公共」が「新しい公共」としても期待されている。しかし、この住民に移民は含まれているのだろうか。…宮島喬は「日本的な福祉の考え方の特質として、第一に、公の全面的な給付に頼ることを恥とする独特の「自助」意識、第二に、家族・親族への依存(あるいは活用)を当然とする傾向、第三に、企業内福利厚生に肩代わりを求める傾向があって、これらが実は、外国人住民たちを疎外する方向に作用してきた」と指摘している。…宮島の指摘は、そもそも日本の福祉制度が、家族福祉と企業福祉を前提にしていることから、移民は、より深刻な状況にあることを示している。さらに序章でも紹介したとおり、現時点でも、外国人の問題の大半は、日本語教育支援者や外国人支援ボランティア、通訳者による献身的な活動で支えられているのが実情である。
…地域福祉は,地域住民、さらにはその住民が居住する地域を対象として支援を行ってきた。しかし地域福祉は、生活困窮者、なかでもホームレス支援をしてきたのかという問いに対し、小野達也は「地域福祉が生活困窮者問題に対して的確に対応してきたとは言い難い」として、その理由を地域福祉は、対象別・領域別の発想ではなく、地域という場を基盤として対象を横断した総合的な視座をもつことが前提であったはずなのに、「いつの間にか想定が対象別・領域別になってしまい、制度を前提とするものになっていたのではないか。それによって制度の狭間だけでなく、地域福祉の狭間というものを生み出してしまった」と述べ…
…多文化共生地域福祉とは、地域福祉の推進主体である住民に移民などマイノリティを権利主体として明確に位置づけ、現在の地域を変革し、グローバルな枠組みのなかで、多文化共生コミュニティという新しいコミュニティを想像する地域福祉である。
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「多文化共生地域福祉への展望 多文化共生コミュニティと日系ブラジル人」朝倉美江