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映画・演劇のレビュー

『メリーポピンズ リターンズ』

2019-02-15 18:30:18 | 映画

 

なんとメリーポピンズが帰ってきた。さすがにジュリー・アンドリュースが演じるわけにはいかないけど、正統的な続編として登場する。映画のテイストもちゃんと前作を踏襲する。ということは、クラシックな映画になる。今の時代にそぐわない。古き良き時代の映画。のんびりしていて、テンポも遅い。悪く言うとかったるい映画。あまり何も考えないで、ふわふわした世界に浸っていればいい。悠々たるタッチで2時間11分。

 

こういう本格的なクラシックミュージカル映画は近年なかった。アニメと実写の共演というのも、今更、だ。そこには何一つ驚きはない。でも、最初からそういうものをここに期待してはならないし、誰も期待していない。では、何を期待して見るのか。それは古き良き時代の映画の空気を肌で感じるため。そんなくらいのことか。だから、この映画に新しい何かを期待してはいけない。そんなことを望んでも詮ないばかりだ。何一つ新鮮さのない映画にほっとする。ただぼんやりと、スクリーンを見守る。優しい気持ちさえあればいい。ただ、大人になってもう長い歳月が経ちすぎた僕には、ノスタルジアも、それだけでは力にならない。今この映画を見る意味を考えてしまう。そして、少しがっかりする。

 

前作から25年後のロンドンを舞台にした。大恐慌時代。世の中には暗い空気が漂う。そんな時代背景を今の時代とシンクロさせる、とかいうわけではない。前作の子どもたちが大人になり、彼らの子どもたちがメリーポピンズから教育を受ける。25年で何が変わったのか。そこからの発想はない。別に今の時代を描く映画にしてくれとか、そんなヤボなことは一切言わないけど。でも、どこかで2019年に公開される映画としての矜持は欲しい、気もする。そんなのいらない、とみんなが(僕も含めて)言っても、作り手にはほんの少しでいいから、今作る意味を考えて貰えたら、うれしい。2019年にこの映画が存在する意味なんて、ないものねだりでしかないのだろうけど。


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