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映画・演劇のレビュー

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版』

2019-02-20 20:23:15 | 映画

前日、TVをつけたときこの映画が放送されていた。たまたまジェニファー・コネリーが躍るシーンで、ついついしばらく見とれていた。少年時代のエピソードのハイライトであり、導入部分でもある。悠々たるタッチで綴られていく。20分くらい見てしまった。さすがにそれ以上をTVで見るのはしんどかったし、CMになったので、やめたけど、30数年ぶりにほんの少しだけどこの映画を見て、その圧倒的なスケールとさりげなさに魅了された。だから、今回「午前10時の映画祭」の1本として、しかもディレクターズカットである4時間11分のヴァージョンが公開されると知ってぜひ見ようと思った。たまたまタイミングよく今週休みが取れたので、見ることができた。


初公開の時に見て、面白かったことは覚えているけど、細部はもう忘れていた。しかも、あの時の上映時間は2時間22分だったらしい。(ウイキペディアではそうなっていた。)84年の公開時に見ているから、今回35年ぶりの対面ということになる。35年というのは、(たまたま、だが)デ・ニーロがこの町を離れていた時間と同じだ。この「昔、昔の話」を、長い歳月を経て見直すというのは、なんだか運命的なものを感じる。


映画の前半が素晴らしかった。これは凄い傑作かもしれない。そう思った。2時間55分の前半まで、なんとか息切れはしない。しかし、休憩の10分後の後半1時間15分は残念だった。ロバート・デ・ニーロが主役であるにも関わらず、彼が登場するまでの部分がこの映画の見どころだ。それと冒頭の35年後の年老いたデ・ニーロ。そこもいい。だけど刑務所から出所したところから、映画の本題に突入するはずなのに、まるでそこはつまらない。

さらには謎解きの結末部分である後半、1時間15分は映画がこんなにも萎んでいっていいのか、と悲しくなる。何もない話なのに、それが、あまりの緩やかなタッチで綴られたとき、そこに映画ならではの興奮が生じる瞬間がこの映画の冒頭の2時間だった。回想に入るまでも、その長さにも痺れた。4時間以上の映画だから、ありの見せ方だと思った。こんな贅沢な映画はもう今の時代には作れないし、作られないだろう。こんな映画が昔はあったのだということを、改めて感じさせられた。

ジェニファー・コネリーが素晴らしすぎた。大人になってからのエリザベス・マクガヴァンは、頑張っているけれど、無理。デ・ニーロの少年時代を演じた男の子も実によかった。



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