これは一体何なのか。今の時代の映画ではない。60年代の香りがする。山田洋次の若かりし日の空気だ。「時代錯誤のアナクロ映画」とこき下ろすことは、意味を為さない。最初からそんな映画を作っているのだから問題はそんなことではない。なぜ、今、こんなテイストの映画を作るのか、その意図の方が気になる。しかも、これは山田監督と立命館大学による共同作業である。20歳前後の学生らとともに作った映画だ。
彼らはこ . . . 本文を読む
今年の1本目の映画は、2011年12月16日、本土公開の中国映画超大作だ。正月、久しぶりに北京に行った。そこで、まず、最初にチェックしたのは、今、何を上映しているのか、で、たくさんの映画の中から、今一番人々の興味が集まっているもの、あるいは、純粋に僕が見たいものを選んだ。まぁ、出来ることなら、言葉がわからなくても十分理解できるものが望ましい。本当なら、チャン・イーモウの新作『金陵十三釵』も見たか . . . 本文を読む
今年(というか、もう去年なのだが、お許し願いたい)は、152冊を読んだ。8割が小説だ。面白い本ばかりで、毎日楽しい。ただ、読んだ本の内容が思い出せないから、このベストテンを選ぶのに、苦労した。自分がこのブログに書いた文章をもう一度読めば思い出すのだろうが、そんな余裕はない。だから、どうしても記憶に残っているものが、上位にくる。
今年のヒットは、偶然手にした濱田京子に尽きる。彼女の本と出会えて . . . 本文を読む
151本見た。これは劇場で見た本数より51本も多い。まぁ、現状では当たり前のことだろう。家で見るのなら、時間の融通がつくからだ。ほとんどが早朝に見ている。夜は疲れてしまって、見れない。見ていても、途中で寝てしまうからだ。早起きして、仕事の前に見る。でも、ウィークデーは無理だ。週末の早朝、4時から5時に起きて見る。結構集中して見れるし、その後すぐに仕事に行く。早くても、クラブは8時からだ。だから充 . . . 本文を読む
とても読みやすい短編集だ。すらすら一瞬で読めた。7つの食を巡る小さなお話は、そのひとつひとつが読んでいる僕らの心を暖かくしてくれる。それはおいしい料理を食べたときの幸せと同じだ。『食堂かたつむり』の小川糸が、なんでもない7つの料理を通して、「食べること」と「生きること」を教えてくれる。
ここに描かれる生と死、出会いと別れのドラマの中心には、いつも食事をする姿がある。わざとそういうドラマを作っ . . . 本文を読む
こういう歴史劇が今の時代に作られるって凄い。しかも一見アナクロ企画に見えるのだが、実はそうではない。ここには人間の営みの愚かさがきちんと描かれてあるから、今の時代に充分通用するし、意味がある。
宗教戦争という人間が今も延々と繰り返していることを、この紀元4世紀のエジプト、アレキサンドリアを舞台にした映画が、とてもわかりやすくモデルケースとして、示す。多数の論理で、少数派を駆逐していくやり方は . . . 本文を読む
バンパイアが全人口の95%を占め、彼らが支配する世界である地球。人間は絶滅種と化していた。彼らは人間を保護する政策を打ち出す。しかし、人間は、彼らの奴隷にはならない。そんなのはまっぴらごめんだ。だから、バンパイアから隠れて生きる。人間であることの尊厳を失いたくはない。これは『猿の惑星』のバンパイア・ヴァージョンである。
バンパイアは、人間の血液が無くなれば滅びる。血がなくては生きられないから . . . 本文を読む
見た本数は、157本である。まぁ、こんなものだろう。スケジュール的に、これ以上は見ることは不可能だった。これでもよく見たものだ、と思う。お陰で映画の本数に影響しているのではないか。どうしても週末は芝居を優先してしまう。でも、ウイーク・デーは仕事のせいで映画は見れないから、映画を見る時間はどこにもない、ということになる。
持ち時間には限界がある。そんな中でやりくりして見た芝居だ。つまらないも . . . 本文を読む
今年劇場で見た映画の本数はなんと100本。これはここ30年間で最低最悪の本数だ。昨年でも131本見ていたし、ここ30年で最低だった年でも126本なのだから、これが自分としてはどれだけ少ないか、推して知るべし、であろう。まぁ、そんなこと、他人にとってはどうでもいいことなのだろうけど、自分としてはかなりの衝撃だった。
だんだん、忙しさから、映画館に行くことが少なくなってきたのは、わかっていたが . . . 本文を読む
2011年、最後の1本はワン・ビン監督初の劇映画『無言歌』にした。ストイックでとてもいい映画だった。ただ、余りに重く、暗過ぎて、見終えた瞬間は、ちょっとへこんだ。ここには映画を見るということの快感はない。まるで苦行のような映画である。でも、それは当然のことだろう。僕たち観客は、その痛みに耐えるべきだ。
これまでずっとドキュメンタリーを撮ってきたワン・ビンが、その従来のスタイルそのままで、劇映 . . . 本文を読む
スピルバーグ製作の感動の親子愛を描いた映画で、この冬のファミリーピクチャーとしてはピカイチの傑作だ。悪いけれど、自身の監督作である『タンタンの冒険』より、ずっとこちらの方が出来がいい。単純なお話だが、それが近未来のロボットものというパッケージングを纏うことで、こんなにも新鮮で古典的な感動を素直に受け止めれる映画になるなんて、まさにスピルバーグマジックという他ない。監督は『ナイトミュージアム』の人 . . . 本文を読む
こんな企画が通る時代がやってきたのだなぁ、と驚かされる。しかも、劇場は、当然の如く若い人はひとりもいない。ターゲットは50代から60代の夫婦か。でも、そんな客層で商売になるのか、と心配した。だが、案ずるよりもなんとやらである。それが、なんと、ちゃんと商売に「なる!」 みたいなのだ。高齢者用の映画のニーズはどんどん高まる。60歳以上は1000円だから、その年代の人がけっこう映画館に来るのだ。今の時 . . . 本文を読む