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映画・演劇のレビュー

『戦場のナージャ』

2012-01-20 21:27:14 | 映画
久々のニキータ・ミハルコフ監督の新作だ。(あっ、でも数年前に『12人の怒れる男』があったなぁ)しかも今回は戦争大作である。渾身の力作だった。スターリン政権下、不可侵条約を破棄して侵攻してきたドイツとの戦いを描く。だが、作分自体は前作である(でも、あれから16年も経っている!)『太陽に灼かれて』(84)の完全な続編というスタイルを取る。平和な田園風景を背景にした前作の父と娘のたどったその後が描かれ . . . 本文を読む
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『パラダイスキス』

2012-01-20 21:14:19 | 映画
新城毅彦監督の映画は好きだ。でも、さすがに今回だけはつき合いきれない。マンガの映画化だからではない。ここまでマンガそのものとして、映画化するのは、作り手の意図なのかも知れないが、それにしても、ここまで徹底してやられると、あっぱれと言うよりもバカバカしくって、見ていられない。ペラペラのマンガ世界を映像化して見せると、マンガの読者は喜ぶのかも知れないが、一般の観客はひく。別にリアリティーなんかいらな . . . 本文を読む
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椎名誠『そらをみてます ないてます』

2012-01-20 21:00:27 | その他
 『黄金時代』に続く作者の自伝的長編小説。帯には「『黄金時代』を超える」と書かれてある。まぁ、それほどの渾身の一作なのだ。椎名さんは人生の総決算としてこの作品に取り組んだはずだ。自分の人生のクライマックスはどこだったのか、を考え、それを小説として書きあらわす作業は結構勇気がいることだったはずだ。まだ、人生は終わったわけではない。だが、60代の後半戦に入り、改めて自分の人生を振り返ったとき、自分の一 . . . 本文を読む
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佐川光晴『おれたちの青空』

2012-01-20 00:14:36 | その他
一昨年の『おれのおばさん』の続編なのだが、普通の意味での続編ではなく、作品がスピンオフのようなスタイルになっている。前作の主人公である「おれ」(陽平)の視点から描かれた話が、今回はもうひとりの主人公である卓也の方から語られる。前作と同じ話が視点を変えて描かれる部分もあるが、それ以前も含めて彼がこの施設にやってくるきっかけとなる両親の話から(要するに彼の出生から)始まる。この第1話『小石のように』 . . . 本文を読む
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『ロボジー』

2012-01-20 00:09:56 | 映画
 矢口史靖監督の最新作だ。前作『ハッピーフライト』はあまりに真面目で、まともすぎる映画で、そのことに驚いたが、今回はあまりに不真面目で驚いた。こんないいかげんな思いつきで映画を1本作れるはずもない。  見始めてしばらくすると、なんか退屈してくる。こんなの嘘じゃん、と思い、もう話に乗れない。だが、終盤、主人公である3人が、大学の講演会に呼ばれて大学生からいろんなことを学んでいくシーンは、面白かった . . . 本文を読む
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『婚前特急』

2012-01-17 22:13:49 | 映画
 こんなにも嫌な女を主人公にして、それに輪をかけて嫌な男を相手役に迎えてシチュエーションコメディーを作るだなんて、この監督はなんて大胆なんだろう。どこまで意図したのかわからないけど、これは全然気持ちがよくない映画だ。不快ですらある。なのに、最後までちゃんと見せてしまう。しかも、なんだかよくわからないままハッピーエンドを迎えたりもする始末だ。こんなことでいいのだろうか、と不安になるくらいである。だが . . . 本文を読む
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『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』

2012-01-17 22:01:51 | 映画
 トム・クルーズの思い入れがしっかりと伝わってくるからこのシリーズは好きだ。単純でただ観客のためだけの娯楽映画を、仕事として嫌々やるというのではなく、彼はこのイーサン・ハントという主人公を心から楽しんでいる。そんな彼の興奮が伝わってくるから、このシリーズはホットな映画となるのだ。  更に過激に、エキサイティングな映像を見せるためハードルを上げるのは、以前のジャッキー・チェンみたいだ。でも寄る年波 . . . 本文を読む
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『ヒミズ』

2012-01-15 20:44:00 | 映画
 園子温の新作だ。3・11以後を描く再生と希望をテーマにした作品、ということらしい。昨年の2作品に続いて怒濤の新作ラッシュだが、彼のフットワークの軽やかさには恐れ入る。震災直後台本を書き直して、被災地に入り、カメラを廻す。主人公、住田(染谷将太)のドラマの周辺に、震災によって生活の拠点や糧を失った人たち(渡辺哲や吹越満たち)を配して、彼らとの交流をサイドストーリーにする。  本筋の話自体は、相変 . . . 本文を読む
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『しあわせの雨傘』

2012-01-13 19:12:01 | 映画
 フランソワ・オゾンの映画は見逃さない。初期の頃から、必ず見てきた。最近はどんどんまるくなってきて、以前の毒は薄まっているが、それはそれで悪くはない。今回、なんとカトリーヌ・ドヌーブにジャージを着せた! あのポスターは衝撃的だった。天下のドヌーブさまが映画でジャージ、である。  しかも、本編の方も冒頭からジャージ姿を披露する。お年を召し、かなり肥満体になられた天下の美女が、オゾンの映画で、何を見 . . . 本文を読む
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沢木耕太郎『ポーカー・フェース』

2012-01-13 18:59:43 | その他
これは沢木さんの3冊目のエッセイ集だ。もちろん厳密に言えば、もっとたくさんのエッセイを書かれているが、ジャンル分けを明確にして、これこそが沢木さんの考えるエッセイ集、という意味で3冊目となるということだ。沢木さんのこだわりは細部まで染みわたっている。敢えて「フェイス」ではなく、「フェース」とするのも、そうだ。『バーボン・ストリート』『チェーン・スモーキング』に続く最新刊だが、タイトルひとつにまで . . . 本文を読む
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『世界』

2012-01-12 20:22:42 | 映画
6年ぶりの北京は前回と、大幅にイメージチェンジしていた。北京オリンピックを挟んでどんどん近代都市としてのリニューアルが進んできている。まぁ、北京だけでなく、アジアの都心部の発展は凄まじい勢いだ。古いものがどんどん取り壊され、近代的な高層ビルが所狭しと建ち並ぶ。表通りはどこに行っても東京や大阪とまるで変わらない街並みが続く。というか、日本なんかより凄いくらいだ。  しかし、この北京では、表通りか . . . 本文を読む
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椎名誠『下駄でカラコロ朝がえり (ナマコのからえばり5)』

2012-01-12 20:17:02 | その他
久しぶりで、椎名さんのエッセイ集を読んだ。それにしても、彼のこの手の本を今まで何十冊読んだことだろうか。椎名さんは若い頃から、ずっと複数の雑誌にこういう身辺雑記を連載し続けてきた。これは日記みたいなものだ。椎名さんが何を感じ、何をして日々生きているのか。これらの本を読んでいるとよくわかる。 さて、今回の一冊を読みながら、感じたのは老いの問題だ。還暦過ぎて、さすがの椎名さんも老人の域に達してき . . . 本文を読む
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原田マハ『永遠をさがしに』

2012-01-10 23:06:15 | その他
 いかにも、な小説だ。でも、なんか嵌ってしまう。どんどん読んでしまうし。だが、このパターンに則った感じがちょっと、鼻につく。  11歳の少女、和音が両親の離婚に傷つき心を閉ざしてしまう。それから4年。母に続いて今度は父もいなくなる。自分は天涯孤独だと思う。そこにわけのわからない女、真弓さんがやってきて、自分はあなたの新しいお母さんよ、なんていう。彼女は和音の父親と再婚したからだ。彼女と父親が一緒 . . . 本文を読む
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001『WWW』

2012-01-10 22:03:59 | 演劇
 昨年の7月に東京で上演された作品を大阪で再演する。関西圏で活躍するスタッフ、キャストによる作品なのに、東京先行、というより、これはもともと東京で上演された作品なのだ。Ugly ducklingの樋口ミユさんが活動の拠点を東京に移しただけで、その他のメンバーは、関西圏の人間ばかりなのに。それってなんとも不思議な感じだ。この作品の成立事情はよくわからないけど、これが7月段階で、東京で上演されたという . . . 本文を読む
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『SOMEWHERE』

2012-01-08 20:00:21 | 映画
 ソフィア・コッポラの新作だ。昨年4月公開。父と娘の愛情物語なんて、なんか見たくない、と公開時は敬遠していたのだが、予想したような甘い映画ではなく、とてもすばらしい映画で、惜しいことをした。ちゃんと、劇場で見ておけば、ベストテンに入れたかもしれない。先日の『リアル・スティール』は、これと同じパターンだ。あの映画の子供は男の子だったが、こちらは女の子。でも、どちらも今までちゃんと接することのなかった . . . 本文を読む
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