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映画・演劇のレビュー

大阪府職員演劇研究会『5分まってやる』

2008-07-15 00:33:57 | 演劇
 引き籠ったまま出て来ないあっちゃんを巡るお話。両親、担任、教頭、クラスメート、さらにはいかがわしい占い師までが入り乱れて彼の部屋の前にやって来て入れ替わり立ち代り、説得を繰り広げていく。だが、彼は返事もしないし、もちろん姿を現すことはない。ドアに向かって虚しい説得と、言い争いを繰り広げていく。  ラストになっても彼は出て来ない。クラスメートの女の子がドアに手をかけるとすっと空く。彼女は部屋の中 . . . 本文を読む
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France_pan『Hamlet!!!!!!!!~創る編~』

2008-07-14 23:31:06 | 演劇
 前作『Hamlet!!!!!!!!~遊ぶ編~』から1ヶ月。もう新しい作品が見れる。3ヶ月連続公演のハムレットで遊ぶシリーズ最終編『創る』。だが、前作でやりたい事を遣り尽してしまった感がある。正直言って今回はかなりキツイのではないか、と思っていたが、さすが伊藤さんである。ただでは終わらせない。 坪内逍遥の翻訳を使用することで理屈よりも感覚を大事にしたのは今回の企画意図を明確にしている。完成版で . . . 本文を読む
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『ぐるりのこと』

2008-07-14 23:22:42 | 映画
 正直言って、嫌な映画だ。タイトルの『ぐるりのこと』とは僕らの生活のこと。ぐるり(周囲)のあれこれをそのまま綴っただけのこと、という意味だ。  1993年夏から2001年春まで。ある夫婦の約10年間が淡々と描かれていく。あまりのそっけなさにドキュメンタリーでも見ている気分にさせられる。30歳から40歳直前までにのかなり微妙な時間。2人とその周囲の人々の動向が、社会的な出来事を背景にして(主人公が . . . 本文を読む
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空の驛舎<fragment>vol.2「マスク・THE・忍法帳~怪人二十面相・伝・外伝」

2008-07-10 21:17:36 | 演劇
 北村想による小説『怪人二十面相・伝』を「一人語り」として再構成した『MONO語り「怪人二十面相★伝」』の第2弾である。作、北村想、演出、中村賢司のチームが再び二十面相に挑む一人芝居。前回の船戸香里さんから今回は主役を津久間泉さんへとバトンタッチして、同じように一人語りによってノンストップ100分間の大冒険が始まる。  「血湧き肉踊る」なんていうクラシックな言い回しがぴったり合うような活劇仕立て . . . 本文を読む
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A級MissingLink『裏山の犬にでも喰われろ!』

2008-07-10 20:01:37 | 演劇
 3つの話がひとつの部屋で展開していく。もちろんその3つの話は、別々の場所での話だから、この共有空間となる舞台美術は、本当なら別々の部屋でなくてはならない。だが、そんなことはしない。セットな飾り付けを変えるとか、なんとか。必要ないから。  ここは何の変哲もない6畳間であり、アパートの一室だ。どこにでもある同じような部屋。そこで、3つのお話が流れるように並行して描かれていく。何の違和感もなく、なん . . . 本文を読む
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トリオ天満宮MAX 『半分人間』

2008-07-09 22:32:31 | 演劇
 とてもおもしろい芝居だ。昭和51年なんていうなんとも中途半端な時代設定をして、その風俗の表層をサラサラなぞっていきながら、そこに何らかの意味とか、意義とか、薀蓄なんかを垂れるわけではない。ショート・コント連作のようなスタイルを取りながら、ひとつの時代の持つ曖昧な気分を捉えていこうとする。  オリバーくん(チンパンジーと人間の中間にあたる未知の生物)という存在を芝居の中央に据えて、普通の家庭のど . . . 本文を読む
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演劇舎しゅん『煙が目にしみる』

2008-07-09 19:36:13 | 演劇
 普通なら絶対に見ないタイプの芝居を春演の講評係を頼まれたために見ることになった。今年は粟田さんが降りられて、一人で担当しているため16本、絶対に欠かすことが出来ない。それって、正直言って、かなりきつい。4月からこの7月まで、ほぼ毎週、自分の見たい芝居と並行してプラネットSに通い続けてきた。そのうち何本かは全く僕の趣味とは合わない作品があり、つらい時間だったが、それでも各団体が、自分たちの信念に基 . . . 本文を読む
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『アフタースクール』

2008-07-09 18:59:27 | 映画
 内田けんじ監督の本格劇場用映画デビュー作。PFFのスカラシップで撮った『運命じゃない人』、さらにはそのPFFに出品して入選した『ウイークエンド・ブルース』という先行する2作品を継承して、そのやり方が商業映画でも充分に通用することを証明して見せた記念すべき作品。  もちろん先の2作品がインディペンデントで撮られたものであったとしても、メジャー並みの面白さを持っていたことは見た人なら充分承知のこと . . . 本文を読む
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『告発のとき』

2008-07-07 22:17:03 | 映画
 ポール・ハギスの第2作。『クラッシュ』の衝撃は今も消えない。あんなにも強烈なドラマを組み立ててしまった彼が、あの後何をするのか。何をしたったあの映画を超えれない、それくらいの映画を彼はもう作ってしまったのだ。そんな彼の新作である。内容なんて知らなくてもいい。まず、劇場へ!  前作と較べると(いきなり比較かい!)これはとても普通の映画で、前半はテンポも遅く、少し期待はずれ。トミー・リー・ジョーン . . . 本文を読む
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突劇金魚『しまうまの毛』

2008-07-07 20:56:25 | 演劇
 「世界 対 あたし」。そんなに大きく構えなくてもいいのに。でもそれくらいの気持ちを持たなくてはとても立っていられない。倒れてしまうくらい、弱い。ここに出てくる女の子たちは、弱い。弱いから現実世界では生きていけない。だから、ここにいる。ここは寮か何かで、彼女たちはここで暮らしている。屋上には出てはいけない規則があるのに、屋上は彼女たちの憩いの場。そこから、小さな動物園が見える。  サリngROC . . . 本文を読む
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『スピード・レーサー』

2008-07-07 19:48:28 | 映画
 竜の子プロの昔なつかしのアニメ『マッハGO GO GO』の映画化だ。しかも、原作の主題歌が全編に流れていて、ウォシャゥスキー兄弟の日本製アニメへのマニアックな偏愛ぶりがしっかり伝わってきて、むず痒くなるくらいの映画だ。この60年代のノリのマンガ的設定ドラマがそのままハリウッド大作として甦り、しかもオリジナルのスピリッツをここまで大切にしておバカな漫画映画として見せてしまうなんて。なんだかすまない . . . 本文を読む
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6月のDVD

2008-07-07 19:10:56 | 映画
 6月はなんだか忙しくてDVDは7本しか見れなかった。けっこうマニアックな選択でちょっとハズレが多い。そんな中でも一番面白かったのはユ・ジテ主演の『ノートに眠った願いごと』。ガスの爆発事故でデパートが吹っ飛んでしまって多数の死者が出る。その事故で恋人を失ってしまったユ・ジテの悔恨の日々を描く。2人で行くはずだった新婚旅行の場所を事故から10年以上も経ってひとり旅する。そこで、偶然出逢った女性との因 . . . 本文を読む
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岸田るり子『めぐり会い』と6月後半の読書

2008-07-07 18:49:05 | その他
 6月後半に読んだ本の中で、一番面白かったのは岸田るり子の『めぐり会い』。これはきっとそのうち映画化されるであろう。映画会社が大喜びするようなアイデァの小説。  主人公は箱入り娘で、今まで自分の意志で行動をしたことがない。親の言いなりになって意に染まぬ結婚をしたが、満たされない毎日を送っている。夫はいい人だと思っていたが、彼女と結婚する以前からずっと付き合っていた女がいて、親に反対されたから、し . . . 本文を読む
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『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』

2008-07-05 11:20:20 | 映画
 正直言ってこんな映画を見ている暇はないのだが、誘われたらついつい見てしまう。今週は芝居がたくさんあって、ほんとうは映画見てたら芝居見れなくなるのに、また見てしまった。ほんとは少し期待していたのだ。前作があまりに酷すぎて笑うに笑えなかったが、今回はあの反省に基づき、きちんと映画らしい映画を作るはずだと信じた。『てなもんや商社』(古いなぁ)の本木克英監督だから。なんてね。でもこの人『犬と私の10の約 . . . 本文を読む
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『イースタン・プロミス』

2008-07-05 10:45:42 | 映画
 クロネンバーグが超能力やらホラーから足を洗ってこういう犯罪ものに取り組むようになったのは、なんだか少し寂しい。彼には一生「げてもの」を作り続けてもらいたかった。『ラビット』や『スキャナーズ』の昔から、キャリアの最初の頂点になったバロウズ原作の『裸のランチ』まで。何をやってもクロネンバーグだ、と思わせてくれた日々が懐かしい。メジャー大作『ザ・フライ』であっても同じなのだ。この人は一生これしか出来な . . . 本文を読む
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