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映画・演劇のレビュー

井戸川射子『共に明るい』

2023-12-13 20:19:00 | その他

芥川賞受賞(『この世の喜びを』)後の第1作らしい。タイトルがなんだか凄い。『共に明るい』って普通じゃない。あまりにストレートでなんなんだと思う。何が共に明るいんだか、それが気になる。さっそく読む。短編だから一瞬で読める。早朝のバスの中の話。新神戸から山の方に向かう。ほとんど話がない。ないままで終わる。だから唖然とする。

 
続けて次の『野鳥園』を読む。やはり同じパターンだった。ない。話のようなものが。これがこの作家のやり方なんだと理解する。公園にある野鳥園。そこでたまたま出会った人。一瞬の邂逅。
 
次は、付き合って間もない恋人の部屋が舞台になる。(『素晴らしく幸福で豊かな』)そこに足を踏み入れた女の子の話。これは少し話はある。つまらない男に惹かれる女たち。

島への修学旅行を描く『風雨』は、雨と風で足止めされた高校生たちと先生たちのつぶやき声。複数の声が交錯する。

最後はバイト先の工場が舞台だ。電池の不良品チェックをする作業場での会話が描かれる。(『池の中の』)

いずれも、まずある空間を設定して、そこでのなんでもない会話が描かれる。そんな5作が並ぶ。いずれもほぼ同じパターン。つまらないわけではないけど、だからそれがなんなんだ、と僕は思う。作者は詩人だから、かもしれないが、短い小説は余白だらけで戸惑うばかりだ。確かに面白い試みだけど、僕は買わない。

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