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映画・演劇のレビュー

宇野碧『繭の中の街』

2024-05-23 05:22:00 | その他

神戸の街を舞台にしたラブストーリー。時空を超えて出会ったふたり。街をさまよい歩く日々。浪人中の彼女はある日彼と出会う。萌黄の館に行き、さまざまな異人館を巡り、彼の住む古ぼけたアパートに行く。

 
短編集ではなく、中編に短編も混ざっている7編。タイトルの繭の中をメインにした冒頭の中編『エデン102号室』ともうひとつの中編『つめたいふともも』(10歳以上年上の別れさせ屋の女性との恋)を中心にして幻想的な恋が綴られる。
 
神戸という街を背景にしたドラマは淡い色彩に彩られ、ふわふわしている。まるで夢の中にいるようだ。
 
そしてラストの2編に辿り着く。『赤い恐竜と白いアトリエ』『プロフィール』という対になった物語はリアルと幻想というアプローチで同じことを示す。海と山に挟まれた街を舞台にしたこの作品は7つの叶わない恋愛を通して出会いと別れを描く。
 
大地(港湾労働者)と空(鳥)の出会いと別れ、新しい家族(卵)の誕生を描く。

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