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映画・演劇のレビュー

川上弘美『三度目の恋』

2020-10-17 18:34:57 | その他

「破天荒な芝居と映画とを見て、小説も読んだ。たまたま重なっただけだけど、なんだかうれしい。だいたい本格的な芝居を見るのも久しぶりのことだ。」と、  まず、今朝は書いた。これはその破天荒すぎる小説のお話。今日は1日この小説も読んだ。

こんな小説ありか、と思う。2歳の頃から好きだった男性と結婚する。彼は幼馴染とかではなく、ずっと年上で、出会ったときは彼はもう中学生だった。ということは10歳くらいの年の差か。ひと回りくらいかな。でも、2歳児がする愛情表現を「恋」とはふつうはいわん、わな。ということで、そういう異常な設定からスタートとするのだけど、そこから先がまた異常。

恋をして生まれ変わりではなく、夢の中で昔の恋をする。ここでいう昔って、江戸時代の吉原!そこで遊女としての体験をする。さらにはもっと時代が遡り、平安時代、とある姫様の女房になる。今の恋をベースにして、夢の中のお話がそれだけで十分1本の小説の分量で挟み込まれてくる。現実の時間を生きながら、同時進行する現実の自分の意識も持ったまま、夢の時間を生きていく。お話のベースは『伊勢物語』の芥川の段。業平を描くのだ。現実の時間を起点にして。そこから二つの時代のお話が派生していく。3つの恋物語は同じ「私』の意識を持ちながら、進行していく。

大好きな男と結婚した。それだけでハッピーエンドなはずなのだけど、これはそこから始まる物語。でも、そこから始まる壮大な物語は、まったく別の世界で、あり得ない設定で、展開していく。でも、3つはちゃんとつながっていく。その先には何があるのか。これはラブストーリーなのに、冒険譚を読むようなワクワクと興奮がある。この先彼女を待ち受けるものは何か。ワクワクしながら読む。まだ、200ページまでしか読んでいないので、あと半分ある。

と、書いた後、昼寝をしてから、午後の時間で残りを読み切った。後半、業平の話になる(というか、彼の妻である姫さんの女房の話なのだけど)。お話の核心に入るけど、ここからはあまり面白くはなかった。霊愛ってなんなのだろうか、とかいうとても大きなテーマなのだ。しかも、「恋」と「愛」の違いだとか、そんなこんなをいろいろ考えさせられる。終盤ではそれを仕事と絡めて。3度目の恋ではなく、3度の恋なのだけど、3度を同時に体験することを通して、本質に迫っていく。芥川の段を中心に据えて、その先にあるものを描く。生きていくうえで必要なものはなに何か、なんてことすら考えさせられる。

久々の完全な休みで、この数日怒濤のような毎日で、くたくただったけど、その間、休息のようにして見た映画と芝居と、小説が自分を和ましてくれた。

 


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