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映画・演劇のレビュー

伊坂幸太郎『残り全部バケーション』

2013-03-22 19:52:30 | その他
 これはまぁ、いつもの伊坂幸太郎だ。今回は短編連作なので、5つのバラバラのお話が、最後に、ひとつになるわけでもない。だが、ひとつひとつの話はいくつかのサブプロットが用意され、ひとつに収斂するという形で、裏稼業コンビの溝口と岡田が5つの事件(出来事)に関わっていく。

 ただし、岡田は溝口のせいで、途中退場を余儀なくされる。本来ならこの2人の掛け合いのおもしろさで見せていくべき話なのに、早々第1話で姿を消す。まぁ、時間を巻き戻して2,4話でも、登場するけど(4話なんて、岡田の少年時代の話だ)全体的には不在の岡田と、溝口の話というスタイルになる。だから、これはかなりひねくれたコンビもの、ということになる。

 伊坂幸太郎は本当にひねくれた男だ。あの手この手を使いまくって、あざといくらいに好き勝手してくれる。でも、出来ることなら、溝口、岡田コンビが活躍する事件ものが読みたかった。この2人のコンビがいい。それくらいに魅力的なのだ。ということで、復活した2人のお話は第2作に期待する。というか、これって、既にこの2人を主人公にした作品があるのか? 僕が知らないだけで。というか、僕は既に読んでいるのに忘れている、とか。まぁ、そんなことどうでもいいけど。

 それにしても、この小説のタイトルはすばらしい。こういう考え方で、これから先の人生を生きられたなら、なんか素敵ではないか。まぁ、ぼくは生まれたときからバケーションみたいにしてすっと生きているから関係ないのだけど。

 ここまで書いてきてようやく気付く。まるで僕はこの小説自体の中身には触れていないのだ。けど、まぁそんなことはどうでもいい。これは読めばわかる。とても面白いし、一瞬で読み終わる。だから、書くことはない。


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