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映画・演劇のレビュー

クロムモリブデン『猿の惑星は地球』

2006-10-27 20:41:32 | 演劇
 分かっていたことだけど、とてつもなくバカバカしく、無意味でナンセンス。青木さんは東京に行っても少しも変わりなく、おバカをしておられて、うれしい。思いっきりの筋金入りバカだと思う。こういうネタを使いながら、ここまでどうでもいい芝居にしてるのに、面白いというのはどういうことだろう?才能というのは恐ろしい。

 ストーリーを追いかけていくタイプの芝居ではない。もちろんコントのようなものでもない。ただ笑えるという芝居でも当然ない。なのに、ここまで無意味の限りを尽くす。その無意味の限りが快感となる。そんな芝居である。

 底抜けに明るいのもいい。小手先の技術でくだらない笑いを取る凡百の芝居とは全く違う。

 ここには深い意味はどこにもない。ネタバレ殺人とか言いつつも、そのネタで芝居を見せる気はなく、最初の5分で、もう尽きる。ネタバレ殺人を起こしたら、殺した奴が死なない。これは殺しても殺しても死なないサルたちが自殺に憧れる話、という骨格があるよな、ないよなそんな話で、ある?

 サルに支配される世界で、ニンゲンは知能を持たず言葉も喋れない、と言った鼻から、ニンゲンが喋りだす、という設定。これでは設定なんて意味を持たない。すごいスピードで芝居は進む。夢のデーターを取り戻すための冒険なんてことも描かれるが、ストーリーラインは平気で反古にされるのは当たり前のこと。

 ラストでは、サルがさらに進化するというオチもこれってオチになってないやんと、突っ込みいれたくなるようなバカバカしさ。とてもいい加減なくだらなさを、とびっきりスマートに見せるのだ。こんなベタベタなオチで納得させられるのは、この芝居のクオリティーの高さの証明になろう。

 ノーテンキになってしまったクロムのハイテンションな舞台を十二分に楽しみつつも次回は、また以前のような気狂いじみた悪夢が見たいな、と思ったりした。

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