たった16分の短編映画である。7歳の中国系の女の子が1日ニューヨークの街をさまよい歩く。学校に行かず、ゴミを拾って小銭を稼ぎ、万引きして、花を売る。ダイヤを拾ったと思い持って買取店に行くとただのガラス玉だと言われる。豪華なオープンハウスに入ってテーブルのパンを食べ、高価な腕時計を盗む。
夜になってチャイナタウンにある自宅のレストランに戻ってお母さんから晩御飯のピリ辛チキンをもらう。店はもうすぐ閉鎖されるのだろうということがラストでなんとなくわかる。
こんなふうな時間が、なんの説明もなく描かれる。映画はただ彼女の1日を追いかけるだけ。学校をサボって1日を過ごすことが日常なのか、それとも今回だけが特別なのか、それさえわからない。移民の子で、両親は店を持ちしっかり働いているはずだった。だけど経営は上手くいかないからここを手放さなくてはならないのだろう。そんなことは何も言わないけど、少女にはわかる。彼女の抱える不安がこの1日には凝縮されていた。ロイド・リー・チョイ監督作品。