
昆虫は苦手だな、と思いつつもこの本を手に取っている。別に昆虫を手にするわけでもない。昆虫を介したお話を読むだけである。
15歳という微妙な年齢とマッチしない昆虫という取り合わせに心ひかれた。これが12歳ならまず読まないだろう。これは敢えて15歳。のはず。だから気になったので読むことにした。15歳になっても昆虫図鑑を手にしている少女と、その周囲にいるクラスメイトの話。
5つの話で、5人の視点から描かれる彼らの出会いの物語。同じクラスにいたのにお互いを知らなかった。夏休みのボランティア活動でチームを組むことになるまでのお話。ホタルが住める町作り、川沿いのゴミ拾いに参加する。ホタルを見ることができるかもしれないから蛍子は参加に手を挙げた。だけど参加条件は5人以上でなくてはならない。誰も手を挙げない。
変わり者の昆虫大好き少女。彼女の周囲にいた4人。別々だった彼ら5人のそれぞれの事情。どこかで重なり合い、仲間になる。これは独立した短編としても面白い。だけどひとつになることで大切なものが伝わってくる。15歳の不安と孤独が,どこにでもあることとして描かれる。だからこれは特別なことになる。
大人向けの本ではない。YA小説だからこそ可能な世界が綴られる。大事なのは作品がいいか、わるいかで、ジャンル分けなんかには意味はないけど、ターゲットになる世代に向けて書かれているからこそ伝わることもある。伝えたいものもある。