『ベガスの恋に勝つルール』

　こういうノーテンキなラブ・コメディーは嫌いではない。これはきっとなかなかよく出来た映画なのかもしれない。お客さんは劇場でもよく笑っていた。だが、僕はなんだか乗れなかった。アメリカで大ヒットしたらしい。さもありなん。きっと、僕だけがへそ曲がりなのだ。

　だいたい、本当ならここまで当たり前に定石を踏まえた展開をされると、それはそれで気持ちがいいはずなのに。キャメロン・ディアスもアシュトン・カッチャーもよくやっている。なのに、なんだか・・・

　定番過ぎてなんの仕掛けもない。３００万ドルを手にするため半年間の結婚生活を強いられるうちになんだかお互い好きになる、なんてこの手の映画の王道なのだが、すべてが計算された枠に収まったままで、一切はみ出すものがない。まるで、マニュアル本を読んでいるような気分なのだ。コンピューターに情報を入力して、みんなが喜ぶ要素を満載し作った映画みたい。悪くはないがなんとも思わない。