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映画・演劇のレビュー

小手鞠るい『美しい心臓』

2013-11-30 23:16:26 | その他
これは失敗だった。この小説を高校の図書館に入れても、意味がない。高校生にこの本を読ませる意味がないからだ。選書段階では、詳しい内容までわからないから、ときどきこういう失敗が起きる。

恋愛小説であることは想像できたのだが、こういう不倫ものとは、知らなかった。しかも、共感できない。まぁ、最初から最近の小手鞠るいは、危険か、とも思ったけど、なんか、安易に選んでしまった。まだ、不倫とかいう言葉もなかった時代の話らしい。読み終えて気づく。

夫の暴力に耐えかねて、家を出て、ひとり暮らす30前後の女。妻子持ちの40代の男と出逢い、お互い好きになる。死んでしまえばいい、と思うくらいに彼のことが好き。でも、自分たちには未来はないことは重々承知している。だから、今だけを見つめる。一緒にいる時間、ひたすら彼を求める。こういうのを究極の恋愛小説とかいうのなら、僕は興味ない。凄い、とは思わない。愚かだな、と思う。なぜ、こういう小説を作者は書こうとしたのか、僕にはよくわからない。純粋な愛を描きたかったのか。それにしては、男がズルイし、女の思い詰めたところもコワイ。まるで、共感できないアホな男女のつまらない恋物語にしか、見えないのだが、それは僕の偏見か? 

純愛を描くドラマならいい。恥ずかしいほどの純粋さがどこに到達するのか、ということになら、興味は湧く。だが、この小説はそうではない。わざとこういう俗な男女のつまらない恋愛と取り上げたのなら、その意図が知りたい。




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