
とても抑えたタッチで、のほほんとこの異常な事態を描いていく。全体は、8ヶ月、16ヶ月、27ヶ月という3つの時間から構成されている。コメディーではなく、一応シリアスで、このとんでもない出来事の顛末を見せる。
いつまでたっても生まれてこない子供を待ち続ける母(中島知子)と父(西島秀俊)の心の成長を描くのが眼目のようだ。過剰なリアクションで笑わせるなんて事はしない。人間関係の微妙さでなら、少し笑わせたりもするが、この映画の設定に対してはどこまでも真摯に見せる。あまりに静か過ぎて、少し退屈するくらいである。ドラマ作りの上でのメリハリはない。ひとつの寓話として見せていく。あくまでもシリアスがベースなのはいいが、その先に設定した作者の見せたかったテーマにまでは届いていかない。見終えて少し拍子抜けする。だからなんなんだ、と思ってしまうのだ。
主人公の中島知子はとても静かで、受けの芝居に終始する。彼女の強い意志は内に秘められたままだ。出産に対する不安、いつまでも生まれてこないことへの恐怖、そんな感情が見事にすっぽりと抜け落ちている。わざとそうしている一面もある。彼女の葛藤を描かないことを通して(そんなもの描かなくてもわかる)この映画はもう少し別の次元に到達している。あたりまえのことが当たり前ではなくなることで見えてくるもの。10ヶ月が過ぎても生まれてこない子供は一体何を怖れていたのか、さらにはどんどん膨れていき、身動きすら取れなくなっても、腰を据えて待つ母親は、尋常ではないこの事態すら自然に受け止めていく。その強さに驚く。
このさらなる高みを通して、もう少し明確な形を持って伝わってこないことがもどかしい。すべてを包み込んでいく母性。それが子供と夫にどう伝わっていくのか。ひいては家族というものの一番大事な絆とは何なのか。それを映画を通して見せて欲しかった。
唯野未歩子監督は女優だからか、理屈ではなく感覚的に世界を捉えているようだ。それが、結果的にもどかしさを生む。面白いのだが、物足りない映画になった。
いつまでたっても生まれてこない子供を待ち続ける母(中島知子)と父(西島秀俊)の心の成長を描くのが眼目のようだ。過剰なリアクションで笑わせるなんて事はしない。人間関係の微妙さでなら、少し笑わせたりもするが、この映画の設定に対してはどこまでも真摯に見せる。あまりに静か過ぎて、少し退屈するくらいである。ドラマ作りの上でのメリハリはない。ひとつの寓話として見せていく。あくまでもシリアスがベースなのはいいが、その先に設定した作者の見せたかったテーマにまでは届いていかない。見終えて少し拍子抜けする。だからなんなんだ、と思ってしまうのだ。
主人公の中島知子はとても静かで、受けの芝居に終始する。彼女の強い意志は内に秘められたままだ。出産に対する不安、いつまでも生まれてこないことへの恐怖、そんな感情が見事にすっぽりと抜け落ちている。わざとそうしている一面もある。彼女の葛藤を描かないことを通して(そんなもの描かなくてもわかる)この映画はもう少し別の次元に到達している。あたりまえのことが当たり前ではなくなることで見えてくるもの。10ヶ月が過ぎても生まれてこない子供は一体何を怖れていたのか、さらにはどんどん膨れていき、身動きすら取れなくなっても、腰を据えて待つ母親は、尋常ではないこの事態すら自然に受け止めていく。その強さに驚く。
このさらなる高みを通して、もう少し明確な形を持って伝わってこないことがもどかしい。すべてを包み込んでいく母性。それが子供と夫にどう伝わっていくのか。ひいては家族というものの一番大事な絆とは何なのか。それを映画を通して見せて欲しかった。
唯野未歩子監督は女優だからか、理屈ではなく感覚的に世界を捉えているようだ。それが、結果的にもどかしさを生む。面白いのだが、物足りない映画になった。