こんなにもオーソドックスな小劇場っぽい芝居を見るのって、ほんとに久しぶりのことだ。最近、いかにもこれぞ小劇場ならでは、と思わせるようなケレン味たっぷりの芝居が珍しくなっている。エンタメではなくても、こういう芝居は、かっては盛んにあった。しかし、この芝居は「いかにも小劇場演劇」というような見せ方は敢えて狙ったわけではない。
始まった時には、「これはかっての小劇場のパロディーなのか」なんて思った . . . 本文を読む
今年の2月、ひっそり公開され一瞬で消えていったこの映画をようやくDVDで見ることが出来た。とても見たかったから期待が大きすぎて、ちょっと肩すかしを食う出来だったのが、少し残念だが、何も思わずこれに出会っていたなら軽い衝撃を受けていただろう。
これはひっそりと見るべき映画だ。だから、誰にも知られず公開されたのも、この映画にはふさわしいことだったのかもしれない。難波のTOHOシネマズで2,3週間 . . . 本文を読む
さすがに神木隆之介くんを小学生には設定できないので、主人公の少年は、中学1年生に設定し直してある。そうすると、その行動が幾分子供っぽく見えることになるのだが、さすがに神木くんが演じるから、違和感なくドラマの展開を受け入れさせてくれる。天才子役神木隆之介は見事に作品を自分の力でドライブする。
原作は甘い話なのに、納得させる力を持つ佳作だった。今時白血病ものなんて、と思い読み始めたのに、その語り . . . 本文を読む
角田光代は、怖ろしい。ここまで不快な気分にさせてくれる小説はめったにない。三面記事に載る小さな囲み記事から妄想される人の営みを、さらりと(でも、ドロリ、としてるが)描き、どこまでが、実際の事件に取材した事実で、どこからが彼女の想像力の産物なのかよくわからない世界へと僕たちを誘う。
6つの小さな新聞記事にインスパイアされた世界は、事実をベースにして、真実に至る小説の王道を行くショート・ストーリ . . . 本文を読む
キム・ギドクの映画を見て、初めて違和感を覚えた。もちろん作品の出来、不出来は、今までだってあった。しかし、その方向性に関しては揺るぎはない。彼が行こうとするところは、しっかり伝わってきた。
その過激な描写は人を驚かそうとしてするのではなく、彼が人間というものを描く上で必要なことなのだ、と了解してきたから嫌ではなかった。
なのに、今回初めて彼に対して不信感を抱く。まず、どうしてここまで全て . . . 本文を読む