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映画・演劇のレビュー

『あなたになら言える秘密のこと』

2007-11-25 21:06:28 | 映画
 今年の2月、ひっそり公開され一瞬で消えていったこの映画をようやくDVDで見ることが出来た。とても見たかったから期待が大きすぎて、ちょっと肩すかしを食う出来だったのが、少し残念だが、何も思わずこれに出会っていたなら軽い衝撃を受けていただろう。

 これはひっそりと見るべき映画だ。だから、誰にも知られず公開されたのも、この映画にはふさわしいことだったのかもしれない。難波のTOHOシネマズで2,3週間上映されていたはずだ。

 工場に通い、決まった食事だけ(白米、チキン、りんごだけのお弁当)を取り、ストイックな生活をするハンナ(サラ・ポーリー)彼女の静かな生活を淡々と描いていく。誰とも話さず、ただ黙々と仕事をこなし、真面目に、休みもせず決められた仕事をこなす。

 そんな彼女が、会社の方針で仕方なく1ヶ月の休暇を命じられる。旅の途中、偶然から北海に浮かぶ油田(このロケーションが凄い)に連れて来られ、ここで看護師として、過ごすことになる。全身火傷を負ったジョセフ(ティム・ロビンス)の世話をする。一時的に失明しているこの饒舌な男の相手をしながらも、彼女は全く心を開くことはない。

 頑なに心を閉ざす彼女の秘密を知ることが大事なのではない。こういうふうにして生きることしか出来ない、そこまで傷つけられた彼女にしっかり寄り添うようにして、この映画は綴られていく。この映画は何も語らない。ただ、彼女の姿を見続けるだけだ。そして、それがこの映画のすべてだ。

 ラストのハッピーエンド自体には何も意味はない。ある種の答えが提示されたこのラストよりも、彼女の無口な日々の姿が心に沁みる映画だ。

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